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経産省、日中間のEC市場調査実施へ――中国当局と連携

2011年 8月25日 11:33

 経済産業省は、中国当局との連携による日中電子商取引(EC)市場調査の実施を構想しているようだ。今秋に日中の流通政策対話が行われる可能性があることを踏まえ、EC分野における検討テーマとして考えているもの。今年6月、2010年度の国内電子商取引市場調査とあわせ、初の日中越境EC市場調査の結果を公表しているが、中国当局と連携により、中国への進出検討や、既に事業展開をする日本のネット販売事業者に、より詳細なデータを提供していく考えのようだ。

 EC分野を担当する経産省の情報経済課では当初、中国のECの制度整備等について、有店舗を担当する流通政策課と中国当局との協議の中に盛り込むことを構想。その布石として、今年3月下旬に流通政策課が中国側と協議を行う予定だったが、東日本大震災の発生により中止となっていた。

 その後、特に中国側からもコンタクトがない状況が続いていたが、今秋にも流通政策対話が開かれる可能性が浮上。EC分野の独自テーマとして中国との連携によるEC市場調査を打診することを検討しているという。

 テーマの検討に当たっては、ネット販売事業者とも話をしているが、EC分野独自のテーマとして「これといったものがなかった」(情報経済課)。事業者側の要望として多かったのは通関に関するものだが、これについては物流分野の政策対話での協議の方が話は進みやすい。「流通政策対話でいかに"実利"をあげるか」(同)を考えた結果、浮上したEC分野独自のテーマが日中連携による市場調査というわけだ。

 経産省が6月に公表した日中の越境EC市場調査は、民間調査会社に業務を委託して実施したもの。現状の市場規模や今後の見通しのほか、現地消費者へのヒアリングなどを通じた購買実態など細かなデータを盛り込むが、情報経済課では中国当局との連携で、制度の運用状況などのデータを収集し、事業者側のニーズに対応した調査としたい考え。

 流通政策対話の開催は、まだ確定してはないが、経産省としては日中連携の市場調査で取り組みの実績を作り、さらにECに関する制度整備の協議につなげる考えのようだ。
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