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注目企業の通販戦略・日本HP 自社サイト軸に販売拡大

2017年 2月16日 16:18

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パソコンやプリンター、その他周辺機器の製造・販売を行う日本HPは、ウェブによる個人向け通販の比率が年々高まっており、特に自社通販サイト「HP Directplus」(画像)を中心に売り上げを伸ばしている。

 同社の通販サイトでは顧客の好みに合わせてスペックや組み合わせなどを自由にカスタマイズできることを最大の特徴としており、以前は技術的にもPCに精通している男性顧客が目立っていたが、最近では初心者でもネットで購入する機会が増えてきたことから、カスタマイズのパターン数を抑えて気軽に買えるような「お勧め商品」も提示していくなどサイト構成を徐々に変化させていっている。

 主な商品展開としてはノートPC、デスクトップを筆頭にプリンターやその他周辺機器など。ノートPCは30~40SKU程度、デスクトップが約20SKUを展開。ノートPCに関してはモバイルに近い小型サイズから17インチの大画面など、価格帯で見ても3万円台のエントリーモデルからハイエンドの20万円台までラインアップを幅広くとっている。かつてはデスクトップが主流だったが、現在では市場の75%がノートPCとなるなどトレンドが変化しており、同社でもカラーバリエーションを含めてノートPCのラインアップを年々広げている。

 また、近年のPC、プリンターの個人向け市場は、買い替えサイクルが長くなったことや印刷自体の量が減少していることもあって市場全体で見ると伸び悩みが続いている。その状況下において同社では、デザイン性も重視したハイエンドな高価格帯製品が顧客に大きな付加価値と捉えられて、売り上げをけん引。直近の売れ筋として、ノートPCでは「Spectre」シリーズが使用感に加えスタイリッシュなデザインで支持を獲得。デスクトップについてもファブリック素材を使用して、リビングなど生活空間でインテリアとも調和がとれるように設計した「Pavilion」シリーズなどが好評のようだ。

 なお、同社の個人向けの主な販路としては自社通販サイトのほか、自社コールセンターによる電話受注、アマゾン、楽天といった仮想モール、リアルでは家電量販店でのショップインショップなどがある。売り上げ比率で見ると自社通販サイトがかなりの割合を占めているという。

 継続的な顧客の囲い込みに向けては、1年前に限定特典付きの無料会員制度「ゴールドクラブ」を開始。同会員に向けては過去の購買内容・時期に応じて顧客ごとにセグメントを絞った内容でクローズドのキャンペーンを告知。買い替え時期に合わせて過去の購入商品と同じシリーズの最新商品の発売情報や、追加で購入できる同じシリーズのアクセサリー情報の提案などを行い割引価格で販売している。

 個別接客や限定特典の効果は大きく、会員数は月次ベースで右肩上がりに伸長。「今はPCの買い替えサイクルが6年程度とも言われる。その間にも顧客との関係性を続けることが大きな課題で、購入に至らないまでも継続的に商品情報を送ることが大切なエンゲージのプロセスになると思う」(同社)とした。

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