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出版社の通販戦略③ 集英社 委託から〝自社通販〟へ、「ノンノ」で通販大特集

2010年 7月 1日 19:16

032.jpg 「『ノンノ』史上最大規模」。  集英社では、5月5日発売号の女性ファッション誌「non―no(ノンノ)」で、右のコピーを掲げた「通販特集」を実施した。コピー通り過去最大規模となる約50ページの特集で、複数の企画を立ち上げて人気ブランドの商品などを通常の数倍紹介。PCやモバイルサイトへの誘導を行ったほか、「失敗なしの通販マニュアル」など読み物系ページも通販で統一するなど、徹底した通販特集を展開した。「ノンノ」は約1年前から自社通販型に切り替えており、同社の通販売り上げの多くの部分を占める。今期、「ノンノ」を含めた自社通販売上高は約40%増の10億円を見込んでおり、広告収益が減少するなか、「ノンノ」などを原動力とし通販を「新たな収益源」として成長させたい考えだ。

 集英社では現在「ノンノ」を含め、「エクラ」や「モア」など8誌で通販事業を展開している。通販を収益の柱とする「エクラ」では電話やFAXでも受注を行っているが、雑誌からPC・モバイルのサイトへ誘導するのが基本的な通販モデルだ。

  以前はマガシークに委託する形で通販を行っていたが、倉庫やコールセンターを稼動させるのに必要な「一定の在庫量を確保できるようになった」(ブランド事業部ダイレクトマーケティング室・佐野明夫室長)ため、自社通販型に変更。「ノンノ」は昨年の2月から自社通販に切り替えた。マガシークへの委託は現在1誌のみで行っている状態だ。

  通販サイト「FLAGSHOP」の会員数は約10万人。売り上げの半分は「エクラ」「モア」が占めるが、「ノンノ」も自社通販へ移行した今後、有望と見ているようだ。

  5月に実施した特集「50Pまるごと!ノンノ通販大特集」では、通常4~6ページの通販企画を大幅に拡大。「コラボ通販大祭り」「3900円福袋」など複数のコンテンツを用意し、通常の約8倍となる約250型を掲載した。受注は「FLAG SHOP」内の「non―no s☆mall」やモバイル通販サイトで対応。PCでは電子化した誌面で商品をクリックすると商品購入ページに移動する仕組みにした。

  モバイルへは各商品に印刷したQRコード経由で誘導。「モバイル経由の売り上げが約6割」(同)だった。モバイルサイトには本誌と同じキャッチコピーを入れるなど、購買を喚起する見せ方を重視した。特集では、福袋が販売開始後すぐに完売するなど単価の安い商品が好評だったという。

  今後は、通販企業のような「雑誌から離れた通販展開も必要」(同)と見ている。OEMなどによる独自商品の開発も視野に入れ、さらなる通販強化を図っていく構想だ。
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