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出版社の通販戦略「エンターブレイン」 高い〝付加価値〟追求

2010年 7月28日 19:29

232.jpg オリジナル商品や動画番組など、自社媒体の特性をフルに発揮した仕掛けで通販を行っているのが、ゲーム情報誌「週刊ファミ通」などを発行するエンターブレインだ。同社では、複数の媒体のネット販売をまとめた総合通販サイト「エビテン」を展開する。その中でもっとも売り上げシェアの大きい「ファミ通」では、商品のゲームに限定でオリジナルグッズを付けるなど高い付加価値を追求。また、商品ページでは実況プレイ動画などのプロモーションビデオを、ユーチューブ上では声優と担当者による"掛け合い"が売りの商品紹介を行うなどの取り組みも実施。「エンターテインメント性の高さ」を重視した"ならでは"な通販展開を行っている。



  同社が総合通販サイト「エビテン」を開設したのは2008年5月。それまでは自社出版物を販売する「やや読者サービス寄り」(セールスプランニング部・酒井朋喜部長)のサイトだったが、ネット販売が軌道に乗り、業績も上がってきたため「幅を広げて本格的にやっていこうと」(同)考え、より収益を意識した通販サイトにリニューアル。雑誌と連動する複数の通販サイトをまとめた現在の形になった。

  現在、「エビテン」に設置しているのは「ファミ通」の通販サイト「ファミ通販」やゴルフ雑誌の「ゴルメカ セレクト」、アーケードゲーム専門の「アルカディ屋」など11サイト。すべてが雑誌と連携しているわけではないが、それぞれが独自の「色」を出し、他のサイトとは異なった商品を構成している。

  これらの中で、もっとも売り上げシェアの大きいのが「ファミ通販」だ。売り上げは月々の取り組みによって差が出やすいため正確値を取るのは難しいが、大体「(通販全体の)20%前後を占める」(同)とし、同社通販の核の部分を担っている。

  「ファミ通販」の特徴のひとつが、商品のゲームソフトに限定のオリジナルグッズを付けた「ファミ通DXパック」だ。例えば、7月はDSソフト「メタルマックス」に、ゲーム中に登場するアイテムの「ドラム缶」をセット品として付加。椅子やゴミ箱として使用できるもので、当然制作費はかかるが、ここでしか買えない「ファミ通ならではの付加価値」(同)を付けることでゲームの売り上げにつなげる狙いがある。

  現在はゲームとのセットだが、今後はそれに限らずDVDなどでの展開も検討。「看板商品」(同)を強化し付加価値戦略を進めていく方針だ。

  これと並ぶもうひとつの「ファミ通販」の特徴が、動画による訴求だ。エビテンの商品ページにゲームの実況プレイ動画などを掲載するほか、有料動画「ファミ通TV」のダイジェスト版「ファミ通832」をユーチューブ上で毎週金曜更新で展開。この中で、3分程度で声優とネット販売の担当者が通販商品を紹介している。

  同コーナーは声優と担当者らの軽妙な「掛け合い」が売りで、特に制約はなく、「面白おかしく紹介してもらっている」(同)。商品説明を担当者が行い、声優が「視聴者目線」で説明を受けるというのが基本線で、視聴者が楽しめて商品の特徴も伝わりやすい構成となっている。動画経由の流入の正確な計測がしづらいため実績は不明だが、視聴者数は順調に増えており、今後はログを埋め込むなど何らかの手法を確立し、マーケティングに活かしていく考えだ。
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