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ゾゾ 表参道に初の実店舗開設へ パーソナルスタイリングサービスを無料提供

2022年11月 9日 20:00

 ZOZO(ゾゾ)は1216日、同社初となる常設のリアル店舗を東京・表参道にオープンする。服の販売はせず、独自のAIとプロスタイリストの知見を合わせて利用者の〝似合う〟が見つかるパーソナルスタイリングサービス「niaulab(似合うラボ) by ZOZO」を無料で提供する。今後、似合うラボで得られた知見を「ゾゾタウン」や「ウェア」といった既存サービスに移植し、スタイリングのレコメンドなどのサービス向上につなげるほか、ノウハウを機械化できれば、「無人店舗として全国に広げたり、海外展開の可能性も出てくる」(澤田宏太郎社長兼CEO)とする。


 ゾゾは今後の成長に向けて「買う」以外のトラフィックを増やす戦略を進めており、今年5月には経営戦略のひとつに「ワクワクできる『似合う』を届ける」を追加している。


 同社の商品取扱高は2022年3月期に5000億円を突破し、「ゾゾタウン」の年間購入者数は1000万人を超えるなどファッション販売では一定規模に達しており、次の成長に向けては、「自分のファッションに悩みを抱えている多くの人に対して『似合う』を届けることはビジネスとしての価値がある」(澤田社長)とした上で、「『似合う』を徹底的に追求すると、ネットだけでは完結できない」(澤田社長)とし、体験型店舗の開発に乗り出すことになった。


 「似合うラボ」には、来店するユーザーの好みに合いそうなアイテムを含め、「ゾゾタウン」で取り扱う幅広いブランドの中から定番品を中心に常時700点以上の商品を用意する。ひとり当たり2時間以上の貸し切りとし、プロのスタイリストが利用者に似合うスタイリングを提案。プロによるヘアメイクの後、写真撮影を行い、スタイリングのポイントが書かれたカードと写真を渡すという一連の体験を無料で提供する。
「似合うラボ」を利用するには、LINEの専用アカウントから応募し、当選者はファッションに関する悩みや好みをアンケートで回答する。


 ゾゾは「ウェア」が持つ約1300万件のコーデデータをもとに構築された「似合うラボAI」がアンケートの回答をもとに、利用者の好みに合いそうなコーデを3パターン用意。来店当日はスタイリストが利用者の悩みやなりたいイメージなどをヒアリングし、AIだけでなくファッションの知見をかけ合わせてユーザーに〝似合う〟スタイリングを提案するという。


 「似合うラボ」は1日4~5人の利用となる見込みで、年間1000人規模にサービスを提供する。「まずはラボを運営しながらサービスの質を高めるとともに、『似合うラボAI』を育てていきたい」(大久保真登CDO室本部長・似合うラボ事業責任者)とする。


 また、「似合うラボ」の取り組みと並行して、ゾゾでは「niaulab TV by ZOZO」というユーチューブチャンネルを開設。初回配信は1118日の午後7時からで、ゾゾのスタッフやスタイリストなどが登場し、「似合う」のノウハウやヒントを月8本程度の頻度で発信する。


 当初は「スタイリングカタログ」や「カバンの中身紹介」などの企画から配信を開始するが、今後は同社のビッグデータを生かした企画や取引先ブランドとのコラボ企画なども展開する予定だ。

 

 なお、11月9日に都内で開催した新サービス発表会にはお笑いコンビ、ラランドのサーヤさんとニシダさんが登場。「似合うラボ」のデモンストレーションとして、スタイリストの濱本愛弓さんがサーヤさんを変身させた。







大久保真登CDO室本部長に聞く:「似合うラボ」の強みは?


――実店舗の開設と新サービスを発表したが、「ワクワクできる『似合う』を届ける」という経営戦略を突き詰めるとリアルの場が必要になったということか。


 「その通りで、リアル店舗ありきの戦略ではなく、『ゾゾタウン』をもっと便利にしようと思ったときに、リアルでないと見い出せないものがあると判断した


――「似合うラボ」のサービス設計でこだわった部分は。


 「すでに数多くのアパレルショップがある中、接客に新たなテクノロジーを組み合わせることでゾゾの強みを出せるし、リアル店舗を持つ意味も出てくる


――テクノロジーとスタイリストの役割分担は。


 「LINE上で行う事前のユーザーアンケートによって、『似合うラボAI』が『ウェア』から3つのコーディネートデータを選ぶ。それをヘアカタログのように活用し、スタイリストさんが利用者と会話をしながら700着以上ある店舗内のアイテムからその人に似合うスタイリングを3つ提案し、利用者が選んだスタイルでヘアメイクをして写真を撮るという流れになる
「『似合う』を押し付けるのではなく、スタイリストさんが対面で利用者と会話をし、好みをしっかり引き出した上で、オシャレのセオリーやノウハウをベースにアドバイスするという、リアルだからこそ提供できる納得感のある『似合う』にこだわる


――オンライン完結型のパーソナルスタイリングサービスに対する優位性は。


 「サービスの強みとして、スタイリストさんと直接話をしながらスタイリングを組んでもらうという経験はリアルの場でないとできない。また、『似合うラボ』のサービスは無料なため、若い人も気軽に利用できる


――「ゾゾタウン」では数年前に、登録者に合ったコーデを定期的に届ける「おまかせ定期便」を展開していた。


 「『ウェア』も『おまかせ定期便』も私がかかわってきたサービスで、ユーザーに『聞く』というのは大事なファンクションだと感じる。『おまかせ定期便』も質問した上で商品を選定していた。ただ、『おまかせ定期便』の改良版が『似合うラボ』というわけではない」


――似合うラボで蓄積するノウハウを本業のECにも生かしたいとことだ。


 「スタイリストさんのノウハウや『似合うラボAI』の知見を『ゾゾタウン』や『ウェア』に還元していきたい。例えば、『似合うラボ』で聞くような事前アンケートを『ゾゾタウン』上でいくつか設定し、回答したらおすすめが表示されるような取り組みも考えられる




 
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