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ショップチャンネルの現状と今後・小川社長に聞く 「“お客様視点”の施策が届いた」、ファッションが好調な売れ行きに

2024年 7月 4日 12:00

 通販専門放送を行うジュピターショップチャンネルの2024年3月期決算は増収増益で着地した。顧客のし好の変化や訴求のマンネリ化などで主力の衣料品の売れ行きが苦戦するなどで3期連続減収となっていたが衣料品の新たな拡販策の成功や化粧品、旅行商品などの売れ行きもよく、当期は4期ぶりに増収に転じ、増益も維持した。小川吉宏社長に現状と今期以降の方向性について聞いた。

 ――2024年3月期決算は増収増益だった。要因は。

 「お客様が何を求めているのかを22年度から愚直に追及し始め、お客様視点で様々な施策を打った結果がこの23年度は届いたと感じている。特にアパレル・ファッションアクセサリーの売れ行きが好調だった」

 ――顧客との接点、継続化などの観点からもファッションカテゴリーの回復にここ数年腐心してきたわけだが、その顧客視点の施策が奏功したのか。

 「そうだ。多くの取り組みを行っており、様々な取り組みが複合的に奏功していると思う。例えば昨年1月にファッションに特化したランウェイもある常設スタジオを作って商品の特徴を分かりやすくかつ魅力的に伝えるためのカメラワークにこだわったり、より商品が映えるようセットを改良したりとこの1年でもさらに色々と進化させてきた。また、番組で洋服を身に着けるモデルも当社のお客様にとって魅力のあるファッション誌などで活躍されている人を起用したり、モデルのヘアスタイルも以前は商品を目立たせるためにシンプルなものだったが、おしゃれなヘアアレンジをしたモデルが商品を身につけて登場したりなど、これまで当社ではあまりやってこなかったことなどにも取り組んできた。商品はどんどんと新しく新鮮味のある魅力的なものを紹介していっている。それに合わせて見せ方も変えた。商品の情報はもちろんだが、番組のすべてでお客様が見ていて楽しいと思えるものを提供したいと考えた」

 ――特別編成で1日中ファッションアイテムだけを紹介する「ファッションデー」も変わってきた。

 「従来まではその日に放送する各番組は独立していたが、22年度から共通のコンセプトを持ってお客様に楽しんで頂けるよう例えば時間帯によって50年代、60年代など年代ごとのテイストの商品を紹介したりなど全体の編成を変えていった。23年度も『日本のモノづくり』を共通コンセプトとした構成にするなどした。異なるコンセプトという意味では『ファッションデー』に限らず、23年度からスタートさせた新番組もそうだ。昨年8月から放送を開始してその後、12月、今年3月と定期的に放送している『24h×7Days Style Ind‐ex』というスタイリストの亀恭子さんがコーディネートして商品を提案・紹介する番組だ。スタイリストがコーディネートを提案する形の番組は以前から『VENUS NAVI(ヴィーナスナビ)』という番組を放映してきたが、ブランドの垣根を超えてファッションの提案する番組は面白くお客様からの評価も高い。制作するのは大変だが(笑)。こうした施策などで番組の視聴が増え、お客様の購入回数や客単価が増えてきている」

 ――ウェブ施策も売上増に寄与している。

 「当社のウェブサイト上で番組に出演するメーカー担当者や社員が当社で販売する商品を使ったコーディネート画像を紹介、提案するコンテンツ『ショップチャンネルピープル』を昨年1月からスタートしてお客様からは自身の体型や好みに合ったコーディネートを参考にでき、着用イメージの確認やサイズ選びなどに役立てられると好評だったが、昨年6月からは短尺の動画でもコーディネートを紹介できるようにし、静止画では伝えきれない情報が伝えられるようになった。合わせてウェブサイト内に掲載している番組表との連動も始め、番組表の各番組に記載する出演者の名前をクリック・タップすると当該出演者によるコーディネート画像・動画を表示する『ショップチャンネルピープル』のプロフィール詳細ページへ遷移するようにするとなど、より使いやすく進化させてきたが、これもファッションアイテムの買いやすさにつながっていると思う」

 ――コロナ禍が収束したこともファッションの好調要因か。

 「お客様の外出機会の増加はかなり貢献している。外出する際に新しい洋服や鞄が欲しいなど買い物需要が旺盛になってきた時に、その気持ちに応えられるよう様々な商品とその魅力をしっかりと伝えられる番組をお届けできるようファッションカテゴリーの番組を前年よりも増やした。当社では様々なバランスを考えて番組を構成しているため、(全体の占める割合は)数%程度のアップとなるが、それでもこの割合で構成比が増えるのはあまりないことだ」

 ――単価を考えるとファッションよりも優先すべきカテゴリーもあると思う。

 「ファッションに関して(他のカテゴリー以上に)お客様の関心が高い。先ほど申し上げた通り、我々はお客様目線を重視している。いかにショップチャンネルを楽しんで頂けるか。23年度は増収増益になったが、それを追い求めてきたわけでない。それが業績にもつながってくることだとは思うが、あくまでもお客様が求めているもの、楽しいものを提供したいと考えて結果的にそうなったと考えている」(つづく)

 
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