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ショップチャンネルの現状と今後・小川吉宏社長に聞く㊥ 未認知層へのリーチに手ごたえ

2024年 7月11日 12:00

 前回に続き、通販専門放送を行うジュピターショップチャンネルの小川吉宏社長に現状と今後について聞いた。

 ――2024年3月期はファッション関連品が好調だったとのことだが他の商材についてはどうか。

 「化粧品や旅行の売れ行きも好調だった。アパレルでも言えるが、昨年5月に新型コロナウイルス感染症が5類に移行し外出機会が増加したことは大きいのではないか。特に化粧品はその恩恵を強く受けた。また、22年度から番組の画面上にQRコードを表示し、お客様がスマートフォンで読み取るとメッセージを送れ、番組画面にそのメッセージを表示する取り組みを行っているが化粧品は特にリピーターも多いため、特にこの取り組みとの相性が非常によい。メッセージを通じて出演者とのコミュニケーションでき、それによって購買につながっていると思う。旅行についてもコロナの収束で需要が高まって、阪急交通社と組んで旅行ツアーを企画して販売している国内および海外ツアーやクルーズも好調だった。海外旅行は台湾やベトナム、国内旅行は北海道、沖縄、四国などへのツアーだ。クルーズは22年から販売を開始していたもののコロナ禍に伴う検疫上の理由で予定していたクルーズが催行できなかったが、昨年から販売を再開して、旅客船『MSCベリッシマ』を部分チャーターして日本各地や韓国を巡るクルーズツアーを3月に販売(催行は同8月)し、売れ行きもよかった。また、当社としては初の全船チャーターのクルーズツアーとなる旅客船『ダイヤモンド・プリンセス』で同じく日本各地や韓国を巡る10日間のクルーズツアーも5月に販売した。催行は今年5月のため、売り上げは今期分となるがこちらも定員いっぱいとなるなど好評だ。例えば国内旅行では阪急交通社としっかりと話し合い、当社のお客様にあわせてツアーのスケジュールを少しゆったりめにして、旅先でゆっくりとリラックス頂けるような内容にしているがこれがお客様のニーズにマッチし、受け入れられているのではないか。当社はこの2年間は特に何よりも”お客様理解”を重視して売り上げ面よりも優先してお客様のニーズに沿ったもの、お客様が欲しいものを考え、商品を入れ替え、新たな商品を投入して、番組もより楽しんで頂けるものへ変えてきた。これによって購入回数が増え、お客様単価も上がり、アパレル、コスメ、旅行はもちろん、他のジャンルについても底上げしたのではないか」

 ――新規顧客獲得の状況は。新聞やテレビなどマス媒体への出稿を抑え、インターネット広告により注力している印象だが成果は。

 「昨年4月から各広告媒体へ個人情報(購入者の電話番号・メールアドレス)の連携を開始し、昨年8月からグーグルの『P‐MAX』(=1つのキャンペーンでグーグル広告の広告枠全てに広告を配信できるメニュー)を活用した広告出稿で新規顧客獲得数が大きく改善した。これまでより、お客様にリーチできる確率が格段に上がったためだ。新規顧客開拓ではこれは非常に貢献した」

 ――新たな顧客層の開拓のために35~54歳まででテレビをあまり見ないであろう層にタッチポイントを作っていくための施策などを立案・実施する「3554認知&新規獲得推進準備室」を昨年4月に新設したがグーグル広告はその一環か。

 「別だ。グーグル広告での狙いはすでにテレビを見ている、ショップチャンネルを知っている人など今のお客様の周りにいる人に向けて展開しているものだ。『3554』はこれまで接点のない人へアプローチして接触していこうという中長期的な取り組みだ。我々は前身として3年前に『コレイヨ』という動画コマースサービスを立ち上げてトライアンドエラーを繰り返しながら進めてきた。当初、我々が考えていたシナリオとは異なるような様々な気付きを得て、ある程度の成功パターンを掴みつつあり、お客様も順調に増えてきた。平均年齢も30代と既存顧客よりも若く、これまでのお客様と重なっておらず、一定の成果が出てきた。この取り組みを強化しようと新設したのが『3554』だ。昨年1年間、色々なビジネスモデルの検証を行っていた。今期からシステム構築を始めており、早ければ今期末、遅くとも来期には『コレイヨ』の進化系と言える新しいオウンドメディアを立ち上げる。若い世代の取り込みはもちろんだが、お客様の視聴方法への変化に対応していくためにこの取り組みは重要だ。家でテレビではなく、通勤中にスマホなど隙間時間に視聴する人も増えた。今後はよりシフトしていくだろう。早急に対応できる取り組みを進めねばならない」

 ――認知アップのアプローチでは東京・二子玉川で2月に売れ筋商品などを展示したポップアップストアを期間限定で開設した。

 「これは会社全体の認知度を上げたいという狙いからで『3454』とは別の動きだ。期間中、かなりの来店があり、(認知アップの)効果はあった。続けないと意味がないと思うので今年も継続して出店していく。毎回ターゲットや目的を設定してやっていく。『3454』の取り組みとしてもやるかもしれない」 (つづく)

 
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