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在京キー局5社の上期通販業績 日テレ編――"魅せ方"で特番伸ばす

2010年12月16日 17:19

 日本テレビ放送網は今上期(4~9月)の通販売上高が前年同期比5・9%増の55億1000万円と在京キー局5社の中で唯一、テレビ通販売上高が50億円を突破した。

 主力の平日午前枠の売上高は約23億円と前年上期とほぼ横ばいだった日テレが通販売上高を伸ばせた要因は大きく2点。1つは深夜枠の増加だ。前年上期の深夜枠の総放送分数は約7500分。対して、今上期は1万232分と大幅に増えた。日テレは経費削減の一環から特に視聴率がとりにくい深夜帯に関しては通常番組よりも物販売上高が見込め、番組制作費も抑えられる通販番組に放送枠を充てることが多かったようだ。

 こうした「売り場の拡大」が上期の通販売上高をけん引した1つの大きな要因なのだが、着目すべきはもう1つの増収の理由にある。それは「商品の魅せ方の工夫」だ。

 同社によると今上期に放送した通販特番が好調に推移したようだ。「好調」とは売り上げだけを指すのではない。視聴率もだ。近年、毎年7月には中元特番として通販特番を放送している。今上期も同じく7月に通販特番を放送したのだが、この特番は例年のものと少し内容が異なっていた。いわゆる通販番組的な作りではなく、テレビ局ならではとも言えるニュース番組のような構成の通販特番としたものだ。

 従来の中元特番はタレントを起用して、そのタレントから「お世話になった○○さんへお中元」という構成で商品を紹介、販売していた。こうした形を今年7月11日に放送した通販特番「みのもんたの売れるにはワケがある!」(午後3時から90分)では一新。陳腐化してしまった"中元"という言葉はあえて使わず、番組の構成を司会に起用したみのもんたさんからの指令で、各タレントが売れている商品がなぜ売れているのか調査するという内容とした。「初めに商品を見せてしまって、その商品がなぜ売れているのか探るという報道番組のような作り方」(宇井野通販事業部長)とした。

 通販特番で紹介した商品はファンデーションや鞄、真珠、カーナビ、マッサージチェア、寝具、食品(鰻の蒲焼、明太子)など平日午前の主力通販枠などでも販売している売れ筋商品であり、特段、目新しいものではなかったようだが、番組自体の面白さで視聴率は6・7%と前年の中元特番の視聴率3%と比べて大きく伸びた。そして視聴率が伸びたことで売上高も受注ベースで11億5000万円(前年の中元特番は7億8000万円)と大きく伸びた(※同通販特番を放送した日テレおよび系列局、BS日テレの売上高も含む)。

 通販枠が拡大して通販売上高が増加するというのはある意味で当たり前の話だ。放送枠には上限がある以上、こうした要因による売上拡大には限界があろう。そういった意味でこの「みのもんたの売れるにはワケがある!」は魅せ方の工夫が生み出した売上増と言え、テレビ局が手がける通販事業が目指すべき成功事例とも言えそうだ。

 今上期はこのほか、ネット販売も好調で売上高は同250%増の3億1500万円まで拡大。テレビ通販の受注ツールとしてはもちろん、人気ドラマの関連グッズや毎週土曜の夕方に放送中の「満天☆青空レストラン」で紹介した食材を「通販サイトで購入できる」と番組内にPR。多いときには1回で800万円の売り上げを上げる場合もあったようで好調だったようだ。

 下期からは通販の基礎固めを進める意向。今年4月から一部の商品で実験的に開始した時間指定、日時指定の配送サービス、当日午後3時までの注文分を翌日に配送する各種配送サービスの対象商品を広げていくほか、今秋からは各種電子マネーによる決済対応を開始した。今後は当該電子マネーのポイントを商品購入額に応じて付与する試みも開始予定。また、カタログ通販にも着手。11月に商品同梱で約13万人に売れ筋商品約50点を掲載したミニカタログ「マイポシュレ」(A5判、28ページ)を配布して購入回数の拡大を図っている。今後は不定期で配布していく予定。通期通販売上高は約110億円を見込む。
(つづく)

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