楽天がAIエージェントを提供 まずは通話アプリに、楽天市場にも導入

2025年08月06日 16:43

2025年08月06日 16:43

 楽天グループと子会社の楽天モバイル(同)は7月30日、エージェント型AIツール「Rakuten AI」の本格提供を開始した。楽天モバイル向け無料通話アプリ「Rakuten Link」に搭載している。「楽天市場」や「楽天トラベル」など、同社が提供するサービス内で、自分が欲しい商品などに関して、テキストや音声、画像を使った横断的な検索を可能にした。今秋には楽天市場にも導入する予定。


0806164314_6893079281733.jpg 同日開催されたビジネスイベント「楽天AIオプティミズム」の基調講演において、三木谷浩史社長(=写真)が発表した。

 Rakuten Linkでは昨年10月より、チャット形式のAIサービスを利用することができたが、同日よりAIチャットと自動で提案されるプロンプトを活用した「楽天エコシステム(経済圏)」内の横断的な検索が用可能となった。ユーザーはテキスト入力、音声テキスト変換、または画像検索により問い合わせができ、さらにAIが生成する追加質問に対して複数のプロンプトから回答を選択することで、よりスムーズに求めている情報へアクセスできる。

 今秋導入予定の楽天市場においては、統合された専門家エージェントを活用し、同社が提供するECサービスの利用状況から得られるユーザー属性や好み、購買傾向といった多様なデータを分析することで、一人ひとりに最適化された商品を提案していく。


 基調講演で三木谷社長は「単純にショッピングのレコメンデーションをするだけではなく、金融・旅行・教育・エンタメといった、楽天エコシステムが提供している、さまざまなサービスのエージェントとして機能していく」と、同社のAIエージェントについて説明した。

 講演ではデモも実施。同氏は愛好しているという万年筆を購入するにあたり、エージェントを活用した。愛用の万年筆画像をアップロードすると、エージェントは「伝統的な日本の蒔絵技法を用いている」などと分析した上で、楽天市場における似たような万年筆の商品リンクを提示。さらには音声で「予算2万円で」などと指定すると、条件に合った商品を紹介した。

 「ショッピングだけではなく、『明日ゴルフがやりたいんだけど、1時間以内で行けるゴルフ場の予約枠はありますか』と聞いてそのまま予約をしたり、さらには帰りの新幹線や飛行機も予約したりできる。今までは検索をして、クレジットカード番号を入力してから予約をして、ということをやっていたわけだが、それもエージェントがやってくれる」。

 さらに三木谷社長は「エージェントというコンセプトが、今までのインターネットの使い方の概念を根本的に変えるだけではなく、デジタルの世界に『スーパー秘書』が登場し、どんどんどんどん賢くなっていく。賢くなるだけではなく、皆さんのことを良く理解している」と熱弁。例えば検索についても、これまでは言葉に紐づいた結果を示していたが、今後はユーザー個々の購入履歴やプロファイルに基づいた結果を表示する。さらには、常用しているサプリメントが切れそうな時期には、「スーパー秘書」が「そろそろ買っておきましょうか」と問いかけてくれる。

 AIエージェントの開発競争が激化する中、同社の強みについて三木谷社長は「圧倒的なデータ量と、国際的な組織を持っていることによる開発力」とした上で、「これにポイント経済圏を付け加えることで、われわれのエージェントを使ってもらえるようになっていく」と自信を示した。

 また、基調講演に来場した楽天市場の出店店舗に向けて、「皆さんのライブな感覚が重要になってくる。最終的には『人』。あくまでもAIはツールであり、人間的なサービスも大事。そこが楽天市場の強さだ」とアピール、さらに、「『全部ロボットが作り、サービスもロボットが手掛けている』というバッグと、『職人が作った』バッグのブランド力は異なる。最終的には人と人のつながりが重要で、それをより効率的にしていくのがAI。皆さん一人ひとりのサービスや商品に対するこだわりが集合になり、それにAIをかけ合わせると、世界でも類を見ない『人間味がある、最強のAI』が完成する」と呼びかけた。

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