三省製薬が体験型店舗でブランド育成、顧客の声分析し訴求に活用

2025年08月20日 16:36

2025年08月20日 16:36

0820163631_68a57affd6b01.jpg 三省製薬は色づき美容液のブランド育成をすすめている。東京都内の百貨店での商品展示をきっかけに、容器のデザイン性や使用感、企業の歴史や商品開発力などの認知度を向上。売上データに加えて顧客の声から購買動機やニーズを紐付けて分析し、通販や直営店での訴求に活用する。バラエティショップなど全国のセルフ店85店舗での取り扱いを通じて新規顧客層との接点拡大につながっている。


 展開するのは色づき美容液「IROIKU(イロイク)」。年齢や性別を問わず使用できるジェンダーフリー美容液として2022年に発売した。

 トーンアップ機能を備える。健やかな肌の色に近づける3色と、肌のアラが目立たなくなる2色、夜のケアにおすすめするクリアカラーを用意した。ひと塗りでいつでも健やかな肌印象に仕上げるという。

 ライン展開する化粧水で肌を整えた後の使用を推奨。夏の紫外線ケアの需要にと顧客の声に応えてUVパウダーも提案している。

 昨年9月から、百貨店「大丸東京店」の9階に構える複合体験型ストア「明日見世」に出品している。東京におけるプラットフォーム構築を狙った取り組みで、企業の歴史や美白有効成分「コウジ酸」など約130の美容成分を開発した研究開発力、「イロイク」を含む化粧品3ブランドを紹介した。「来店するだけで、通販の同梱ツールで紹介するすべてを一瞬で伝えられる」(取締役マーケティング部担当藤井章夫氏)と説明する。

 売り上げは毎月上昇しており、容器デザインの良さやテスターによる使用感、大丸東京店のアンバサダーによる接客、ブランドへの信頼感などが寄与。大丸東京店の買い回り施策を追い風に、新規顧客層との接点拡大につながっている。

 「明日見世」は5分以上の接客が約7割を占める接客力が強み。「明日見世」からは売り上げデータだけでなく、接客を通じて収集した顧客の声に紐付いたインサイトがフィードバックされる。三省製薬ではこれを活かして、通販や福岡市の天神エリアに構える直営店、ポップアップでの訴求を改善。新規顧客層として女子高生向けの訴求をテストするなど新たな取り組みにもつながった。

 「イロイク」の認知度向上は、BtoB取引の拡大にも貢献している。東京駅に近い百貨店の立地が寄与し、他の百貨店やセルフ店のバイヤーの認知や信頼を獲得。独自性を追求するドラッグストアやバエティショップの引き合いが増え、セルフ店の取り扱いが85店舗に拡大した。

 他社と協業も増え、ライフスタイルやスポーツなど他ブランドとのコラボや産学連携企画を積極的に展開。これまでにAIアバターなどデジタル技術を活用して、無人販売を行うポップアップストアを出店する実証実験に参画した実績がある。

 「明日見世」は重要なチャネルの1つと位置付け、今秋以降も出品を継続する。通販やECモール、直営店、セルフ店、ポップアップ店などと連携し相互送客を推進する。SNSだけでなく店舗の掲示や店員の接客、メルマガを活用した情報発信を多発することで情報量を増やして顧客の拡大や離脱を防止していく。「昨今は情報量が多く新規顧客獲得が難しくなっている。セルフ店や百貨店、通販を絶えず情報でつなぐことが重要」(藤井氏)とした。

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