キリンホールディングスが免疫の理解浸透へ、「啓発」目的で大規模イベント

2025年12月04日 13:16

2025年12月04日 13:16

 キリンホールディングスは、「免疫」の重要性に関する浸透を図るイベントを始めた。親子の啓発を目的にした大々的なイベントの展開は初めて。免疫を健康関連事業の重点領域に位置付けるが機能を自覚しにくい点に課題がある。家族で参加できるアクティビティを通じて、免疫機能への理解の浸透、健康リテラシーの向上を図る。


 免疫は、さまざまな健康課題に影響するが、適切な理解は浸透していない。自社調べの健康課題調査でも、関心度はダイエットやアレルギー、ホルモンが高く、「免疫」はこれらの3分の1程度にとどまる。機能を自覚できず、可視化しにくいことが背景にあるとみる。

1204131524_69310adc77b42.jpg 「体内没入型バトル からだウォーズ」(=写真)は、11月26日から約2カ月の間、日本科学未来館で行う。来場者は、「免疫細胞軍」か「ウイルス連合軍」を選択肢、キャラクター化した免疫細胞やウイルスの特徴、免疫を高める生活習慣をクイズ、アトラクションを通じて学ぶ。リズムゲームや玉投げゲームを通じて直感的に分かりやすく体験できるようにした。親子が自然な形で関心を高め、家族間の会話のきっかけを生む。免疫機能の活性に重要な役割を果たすプラズマ乳酸菌についても伝える。

 これまで商品サンプリング等の施策で認知を図ってきたが、大々的なイベントは初めて。期間中に約7万人の来場を見込む。「新しい習慣として定着を図る上で信頼感や公共性が重要」(同社)として、日本科学未来館で開催する。

 近年、複数の感染症が同時流行するマルチデミックが発生している。特に免疫が未熟な子どもはり患や重症化のリスクが高い。未就学児の子どもと同居する家族に体調不良が連鎖する「時差倒れ」は、約8割の親が経験しており、親子への啓発が必要と考える。

 イベントでは、感染症対策を直感的に学べるボードゲームを数量限定で配る。愛知県の小学生3人が将棋ゲームを参考に体内で起こる細胞とウイルスの戦いを再現した。制作した子ども達は、「嬉しい気持ちとともに、皆さんに配られるから緊張した。ゲームを通じて免疫の大切さを知ってもらいたい」と話した。

免疫ケア製品の動向は?

免疫製品の販売20%増
サプリ、ミニペットが好調


1204131629_69310b1d0d9fb.jpg キリンホールディングスは免疫に関する啓発イベントを行う。ヘルスサイエンス事業部の桜井加奈子氏に免疫ケア関連製品の動向を聞いた。



 ――免疫に対する生活者の理解をどう捉えている。

 「理解はまだ浸透していない。目に見えず取っつきにくい領域という印象がある」

 ――イベント開催の狙いは。

 「訴求している内容は同じだが、科学的視点から難しく話すのではなく親子が直感的に分かりやすく理解できるようにゲーム性、エンタメ性など関心の入口を生活者側に置いた」

 ――設計の狙いは。

 「自ら体験したことは記憶に残る。家に帰り、家族間の発話につながる質の高い体験にチャレンジした。商品の認知、プロモーションとのひもづけに注意を払い、免疫の必要性に気づいてもらう」

 ――免疫ケア関連の製品販売の動向は。

 「第3四半期累計の売り上げは前年比20%弱で伸長している。今期計画は同約20%増。感染症がピークを迎える年末を含め目標も射程圏内にある」

 ――好調な製品群は。

 「サプリメント、チルドコーナーで販売するミニペット飲料は同約30%増で伸長する。継続しやすい剤型の支持が高い」

 ――プラズマ乳酸菌を配合した子ども専用の健康飲料「ムテキッズ」の動向は。

 「今年6月に一部流通チャネル限定で発売した。これまでの子ども向け飲料にない新規需要の開拓のため販売は好調に推移する。共働きの親世代の支持もあり、強化していきたい」

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