〈日本郵便の点呼問題〉 軽四輪にも停止処分か 全国約100局に処分案を通知

2025年09月10日 17:42

2025年09月10日 17:42

 国土交通省は9月3日、日本郵便の点呼不備問題を巡って全国の郵便局約100局に対し、貨物軽自動車運送事業の行政処分に関する処分案を通知した。対象となる軽貨物四輪車を一定期間、使用停止とすることなどを盛り込んだ内容になると見られている。今後、監査の状況が進むことで、処分対象の営業所が拡大していく可能性もあるとしている。


 日本郵便では、各郵便局において配達員の点呼を実施しないまま配達業務を行った事を受け、6月に一般貨物自動車運送事業の許可取り消しを受けている。これにより、拠点間の近距離輸送や一部大手顧客への集荷を行っていた全国約2500台のトラックが5年間の使用停止となった。そのため、保有する約3万2000台の軽貨物四輪車両やグループ会社の車両での代替輸送、外部の物流事業者への委託などを進めていた。

 今回は軽貨物四輪についても、国交省が監査を行って事実関係を精査しており、その中で監査が終了した営業所に対して先行して処分案を通知。弁明の機会を付与している。9月5日時点では全国約100カ所の郵便局に対して処分案を通知しており、今後、監査の状況が進めばさらに拡大していく可能性がある。

 処分案の中身については現時点で開示していないものの、一般的には「記録の不実記載」の場合60日車、「点呼の実施違反(未実施)」の場合は件数に応じて最大で100日車の使用停止となる。加えて、それ以外の違反があった場合はまた別途処分内容が加算される。

 なお、1つの営業所での停止車両数は最大で5割を超えないようにする規定もあり、1台のみしか保有していないような営業所を除けば、全ての車両が同時に一律停止することはないと見られる。

 今回の処分に関して同省では「大臣会見でもあったように、物流の影響については、(日本郵便が)軽自動車の業務は他の運送会社への委託などを通じて利用者に迷惑をかけないように取り組むという見解を出されていると承知している」(物流・自動車局安全政策課)とした。

 一方、処分案の通知を受けた日本郵便では「以前の(事業停止を受けた)トラックと同じで、委託や処分を受けていない局からの応援などでオペレーション確保に取り組んでいく」(同社)と説明。引き続き、佐川急便やトナミ運輸など他の物流事業者への委託を進めていく。

 現在、軽貨物四輪ではゆうパックなどの集荷・配送を行っており、今回の処分を受けて、輸送力の更なる低下が懸念されているが、これについては「今まで通りの配達日数で遅れが無いように届けていく」(同)とした。

カテゴリ一覧