厚生労働省は、食品衛生法の改正議論で、サプリメントを扱う事業者の把握が検討課題に浮上した。食衛法は許可業種、届出制で事業者を把握するが、サプリメントは定義がないため対象にならない。網羅的に健康被害情報を把握することを念頭に、制度設計を見直す方針とみられる。
改正議論は、監視行政を担う厚労省、食品衛生基準行政を担う消費者庁にまたがる。厚労省食品衛生監視部会は、営業許可制の要否、健康被害報告について検討する。消費者庁は、食品衛生基準審議会で、サプリメントの定義、製造管理(GMP等)の在り方を検討する。
サプリメントのうち、機能性表示食品、トクホは紅麹事件を受けて健康被害報告、GMPが義務化された。一方、サプリメントは定義がないため、制度から漏れる「いわゆる健康食品」は一般食品と同じ区分になり、健康被害報告も努力義務にとどまる。そもそも営業許可や届出の対象でないため事業者数も把握できていない。
許可業種では、例えば菓子製造で許可を受けた企業が、サプリメントを製造している場合もある。届出制では、常温保存の食品を扱う場合に届出の必要がなく、サプリメントも届出せず販売できる。輸入事業者、輸送事業者も実態を把握できない。「健康被害等の情報は企業に集まるため、把握する手段は課題の一つ」(厚労省)との見方を示す。現在、32業種を定める許可業種に追加するか、届出であればサプリメントの取扱いのある企業の記載を必須にして把握する選択肢が考えられる。
ただ、事業者把握は、定義の確立が前提になる。消費者庁でサプリメントの定義の要否を検討した上で、これを前提にサプリメントに横断的に健康被害報告を義務化する必要性について議論する。11月14日に行われた厚労省部会でも、委員から「一般食品と区分する必要がある」との意見が出た。
食衛法の前回改正で創設された「指定成分含有食品制度」も同様の課題がある。
リスクの高い特定成分を含む食品に健康被害報告、GMPを義務化する制度は、現在、4成分を指定する。20~25年の5年間で下痢や肝機能障害、月経不順など「コレウス・フォルスコリ―」で484件、「ドオウレン」は0件、「プレラリア・ミリフィカ」は70件、「ブラックコホシュ」は144件の健康被害が報告されている。報告事業者数は0~6社ある。被害報告を受けて厚労省で行政措置を検討する仕組みになっている。
ただ、事業者把握は、営業許可申請の際に「指定成分含有食品」の取扱いがある場合、表示責任者となる製造企業、販売企業が任意でチェック記載する仕組み。このため事業者数は把握できていない。販売数や事業者の母数が把握できないため実態が分からず、因果関係やアレルギー症状の判断が難しい。問題のある製品の注意喚起や行政措置を比較検討できない状況にある。
厚生労働省は、食品衛生法の改正議論で、サプリメントを扱う事業者の把握が検討課題に浮上した。食衛法は許可業種、届出制で事業者を把握するが、サプリメントは定義がないため対象にならない。網羅的に健康被害情報を把握することを念頭に、制度設計を見直す方針とみられる。
サプリメントのうち、機能性表示食品、トクホは紅麹事件を受けて健康被害報告、GMPが義務化された。一方、サプリメントは定義がないため、制度から漏れる「いわゆる健康食品」は一般食品と同じ区分になり、健康被害報告も努力義務にとどまる。そもそも営業許可や届出の対象でないため事業者数も把握できていない。
許可業種では、例えば菓子製造で許可を受けた企業が、サプリメントを製造している場合もある。届出制では、常温保存の食品を扱う場合に届出の必要がなく、サプリメントも届出せず販売できる。輸入事業者、輸送事業者も実態を把握できない。「健康被害等の情報は企業に集まるため、把握する手段は課題の一つ」(厚労省)との見方を示す。現在、32業種を定める許可業種に追加するか、届出であればサプリメントの取扱いのある企業の記載を必須にして把握する選択肢が考えられる。
ただ、事業者把握は、定義の確立が前提になる。消費者庁でサプリメントの定義の要否を検討した上で、これを前提にサプリメントに横断的に健康被害報告を義務化する必要性について議論する。11月14日に行われた厚労省部会でも、委員から「一般食品と区分する必要がある」との意見が出た。
食衛法の前回改正で創設された「指定成分含有食品制度」も同様の課題がある。
リスクの高い特定成分を含む食品に健康被害報告、GMPを義務化する制度は、現在、4成分を指定する。20~25年の5年間で下痢や肝機能障害、月経不順など「コレウス・フォルスコリ―」で484件、「ドオウレン」は0件、「プレラリア・ミリフィカ」は70件、「ブラックコホシュ」は144件の健康被害が報告されている。報告事業者数は0~6社ある。被害報告を受けて厚労省で行政措置を検討する仕組みになっている。
ただ、事業者把握は、営業許可申請の際に「指定成分含有食品」の取扱いがある場合、表示責任者となる製造企業、販売企業が任意でチェック記載する仕組み。このため事業者数は把握できていない。販売数や事業者の母数が把握できないため実態が分からず、因果関係やアレルギー症状の判断が難しい。問題のある製品の注意喚起や行政措置を比較検討できない状況にある。