〈市村智樹社長に聞くストリームのこれからは? ㊤〉 「社員一人ひとり大事に」、売り上げ増へ商品数拡大

2025年09月17日 15:29

2025年09月17日 15:29

 家電の通販サイト「ecカレント」を運営するストリームでは3月、右田哲也取締役(当時)が代表取締役社長に就任する人事を発表していたが、4月24日に開催された株主総会が紛糾するなど、お家騒動が勃発。裁判沙汰を経て、家電卸の電響社で執行役員営業企画部長を務めていた市村智樹氏が7月7日に代表取締役社長に就任した。市村氏はベスト電器出身で、ストリーム子会社・エックスワンで社長を務めた経歴の持ち主。同社をどう舵取りするのか。市村社長に聞いた。


0918152908_68cba6b433051.jpg ――株主総会では何があったのか。

 「株主総会において出席した株主の多くが、われわれ新経営陣の役員候補案に賛同した形となった。そのため、私を含めた新経営陣が選出されたわけだが、議長交代を求める動議が可決された際に、旧経営陣の議長が議長資格を喪失したにもかかわらず、総会の流会を宣言し、旧経営陣は退席してしまった」

 「旧経営陣は当社建物を占拠して新経営陣による立ち入りを拒否、新経営陣による業務執行を不能な状態にしていた。旧経営陣が東京地方裁判所に対して仮地位仮処分の申し立てを行ったものの、7月3日に地裁が却下、新取締役が正当な取締役であるとの判断を示した。これにより、7月7日に代表取締役異動を発表することができた」

 ――これまでの経営方針をどう変えていくのか。

 「例えば、私が社長に就任した段階で、夏のボーナスが社員に支払われる日時も金額も全く決まっていない状況だった。また、ここ数年は昇給もないため、社員の離職などもあったわけだが、補充もほとんどされていなかった。私はここ数年、外からストリームを見ていたが、成長しない一番の理由は、新しい血が入ってこないこと。また社員の平均年齢も高くなっているので、そこも考えていかなければならない」

 ――社員とのコミュニケーションも密に取っていく。

 「これまでは社員は放ったらかしにされていた印象があるので、社員一人ひとりを大事にしたい。まず、夏のボーナスは就任後すぐ支給したし、額も前年の2倍とした。さらに、8月にはほぼ全社員が昇給した。また、全社員が書く日報制度があるが、これまでは全く活用されていなかった。社員側も『まじめに書いても見ないだろう』となり、Xにおけるつぶやきのようになっていた。そこで『毎日どんな仕事をして、何を感じたのか。良いことも悪いことも、こんな情報が入ったとか、何かしらのアイディアでもいい。時間をかける必要はないけど、何でも書いてくれ』という方針に変えた。私は毎朝午前6時に出社するが、まず全員の日報を見るのが習慣だ。『これはフォローしなければ』という内容の日報には返信するし、『全体で把握すべき』という内容なら、該当する部署の責任者に共有する。これらはその日のうちにやる。2カ月間続けてきたが、疑問や問題点に対して『こんな風にしたらどうか』といった提案が増えるなど、日報の内容もかなり変わってきた」

 「問題をどんどん洗い出して活性化させる、というのが最初の目標だった。会社は社員で成り立っているので、全員がモチベーション持って頑張らないと発展しない。『今日も平和で終わった』を毎日繰り返しても意味がない。何か一つでも変えていこう、改良していこうという姿勢こそがモチベーションアップにつながる」

 ――筆頭株主であるヤマダデンキとの関係は。

 「非常に良好だ」

 ――売り上げ増に向けた施策は。

 「まず、メルカリのECプラットフォーム『メルカリShops』に出店した。今後も出店先は増やしていきたい。また、家電以外も含めて取扱品目数を拡大する。ECの売上高ランキングを見れば分かるが、家電に関しては品目数が多い企業順に上位から並んでいる。例えば、家電ECでは一番売っているヨドバシカメラのアイテム数は800万以上だ。やはり、いろいろな商品を売っているサイトに消費者は集まるわけで、品揃えの拡大は売り上げの拡大につながる。とはいえ、在庫を抱えすぎると問題が出てくるので、ドロップシッピングで対応したい。販促に関しても、生成AIの活用も含めてどんどん進化している。最先端を行かなければ淘汰されてしまうだろう」(つづく)

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