「サプリメント」が法的に定まることになりそうだ。厚生労働省は食品衛生法の見直しに関連して、定義と規制のあり方を俎上にあげる。対象が定まることで製造等のルールが設けられる公算が高い。単に規制強化では業界の反発も予想され、機能性表示食品など既存の制度との整合性も問題となる。議論の展開次第では「サプリメント法」へと繋がる可能性もある。法的な検討が始まることで通信販売を中心とする1兆2000億円のサプリ市場は転換期を迎えることになる。
〈通販新聞11月6日付 第2012号(2025年10月23日発行)1面〉
「食品業界の実態を踏まえつつ、サプリメントに関する規制のあり方、許可業種や営業許可施設の基準の在り方などについて、必要に応じて検討を進める」。紅麹事件を受けた昨年5月の関係閣僚会合の検討課題だ。これを踏まえ、10月23日に厚労省が開く厚生科学審議会でサプリメントがテーマとして浮上してきたことになる。法的な受け皿は食品衛生法。同法は監視が厚労省。基準が消費者庁の役割となっており、両省庁の協業となりそうだ。
厚労省健康・生活衛生局食品監視安全課の今川正紀課長は「さまざまな意見があることは重々承知しているが、すべてを満たす制度はこの国に限らずできない。すべては議論しなければ分からない」とする。
一丁目一番地 定義はどうなる
議論の一丁目一番地はサプリメントの定義だ。これまでは「いわゆる健康食品」という妙な呼び名が、これに相当していた。ただ、具体的な定義となると絞り込みは難しくなる。
米国のサプリメントの定義は①目的(通常の食事の補完)②形状(カプセル・錠剤等)③成分(ビタミン、ミネラル、ハーブ等)――の3つ。ただ、これらを総合的に判断して事業者側が自ら「サプリメント」と名乗る。サプリとなれば、使用原料、製造管理などの規制を受けるが、簡便な形で機能性表示が可能でメリットの方が大きいからだ。
これら先行事例を踏まえ、先の三要件の組みあわせなのか。新たな要件を用いるのか。広すぎても狭すぎても定義の意味はなくなり、知恵の絞りどころであろう。
営業許可、健康被害報告で規制強化?
検討課題の通り、紅麹事件から派生していることもあり、定義化で一定の規制が加わることは不可避だろう。
では具体的にどうなるのか。食衛法では「製造又は加工の過程において特に衛生上の考慮を必要とする食品」について、許可基準を定め営業許可が必要となる。これについては政令で飲食店営業など32業種が指定されている。サプリは法的定義がなく、また腐敗や品質劣化による公衆衛生上の危害の可能性も低かったため、対象外だった。今回、これにサプリが追加され、製造基準等を設けて許可制となる可能性がある。これは販売側というより、製造側の負担となろう。
もう一つは健康被害の観点だ。同法8条で「食品衛生上の危害の発生を防止する見地から特別の注意を必要とする成分(=指定成分等)」について、健康被害情報の報告を義務化している。これにサプリメントを加える可能性もあろう。こうなると販売側には大きな影響が出ることになる。
「サプリメント」が法的に定まることになりそうだ。厚生労働省は食品衛生法の見直しに関連して、定義と規制のあり方を俎上にあげる。対象が定まることで製造等のルールが設けられる公算が高い。単に規制強化では業界の反発も予想され、機能性表示食品など既存の制度との整合性も問題となる。議論の展開次第では「サプリメント法」へと繋がる可能性もある。法的な検討が始まることで通信販売を中心とする1兆2000億円のサプリ市場は転換期を迎えることになる。
〈通販新聞11月6日付 第2012号(2025年10月23日発行)1面〉
「食品業界の実態を踏まえつつ、サプリメントに関する規制のあり方、許可業種や営業許可施設の基準の在り方などについて、必要に応じて検討を進める」。紅麹事件を受けた昨年5月の関係閣僚会合の検討課題だ。これを踏まえ、10月23日に厚労省が開く厚生科学審議会でサプリメントがテーマとして浮上してきたことになる。法的な受け皿は食品衛生法。同法は監視が厚労省。基準が消費者庁の役割となっており、両省庁の協業となりそうだ。
厚労省健康・生活衛生局食品監視安全課の今川正紀課長は「さまざまな意見があることは重々承知しているが、すべてを満たす制度はこの国に限らずできない。すべては議論しなければ分からない」とする。
一丁目一番地 定義はどうなる
議論の一丁目一番地はサプリメントの定義だ。これまでは「いわゆる健康食品」という妙な呼び名が、これに相当していた。ただ、具体的な定義となると絞り込みは難しくなる。
米国のサプリメントの定義は①目的(通常の食事の補完)②形状(カプセル・錠剤等)③成分(ビタミン、ミネラル、ハーブ等)――の3つ。ただ、これらを総合的に判断して事業者側が自ら「サプリメント」と名乗る。サプリとなれば、使用原料、製造管理などの規制を受けるが、簡便な形で機能性表示が可能でメリットの方が大きいからだ。
これら先行事例を踏まえ、先の三要件の組みあわせなのか。新たな要件を用いるのか。広すぎても狭すぎても定義の意味はなくなり、知恵の絞りどころであろう。
営業許可、健康被害報告で規制強化?
検討課題の通り、紅麹事件から派生していることもあり、定義化で一定の規制が加わることは不可避だろう。
では具体的にどうなるのか。食衛法では「製造又は加工の過程において特に衛生上の考慮を必要とする食品」について、許可基準を定め営業許可が必要となる。これについては政令で飲食店営業など32業種が指定されている。サプリは法的定義がなく、また腐敗や品質劣化による公衆衛生上の危害の可能性も低かったため、対象外だった。今回、これにサプリが追加され、製造基準等を設けて許可制となる可能性がある。これは販売側というより、製造側の負担となろう。
もう一つは健康被害の観点だ。同法8条で「食品衛生上の危害の発生を防止する見地から特別の注意を必要とする成分(=指定成分等)」について、健康被害情報の報告を義務化している。これにサプリメントを加える可能性もあろう。こうなると販売側には大きな影響が出ることになる。