〈比護則良社長に聞くNEの成長戦略 ㊦〉 「踊り場」否定する成長を、ネクストエンジンの伸びしろ大

2026年01月21日 17:15

2026年01月21日 17:15

 前回に続き、ECプラットフォーム「ネクストエンジン」を手掛けるNEの比護則良社長に今後の成長戦略などを聞いた。

〈通販新聞1月22日付 第2023号(2026年1月22日発行)5面〉



0121174601_6970924915d8e.jpg ——現在やB2CのECを展開する企業がターゲットだが、今後はB2BやECを手掛けていない小売り事業者もターゲットとする。

 「そういった領域にどうやって進出するかについては、内製もあり得るし、M&Aという考え方もあり得る」

 「自分たちの顧客基盤を活用しながらサービスを提供した上で、既存の顧客層以外の企業が使っていけるような、伸びしろのあるサービスを展開していかなければならない。例えば、『TikTok Shop』であれば、売れる商品が限定されている事業者にも大きな出店メリットがあるわけで、極端に言えばヒット商品が1つあればいい。こういった事業者にも使ってもらえるサービスが重要になってくるのではないか」

 ——ネクストエンジンというECプラットフォームを、EC以外のコマースも統合したプラットフォームにしていくということか。

 「コマース全体の基盤に変えていくイメージだ。EC以外のコマースでも、共通する課題は必ず存在するので、そういったものを解決するサービスをリリースしていきたい」

 ——3年後に売上高100億円を達成するためには、急ピッチで拡大していかなければならない

 「目指すべき数字があるなら、そこから逆算して動かなければならないわけで、現状の延長線上では達成できないのは事実。企業の成長性を重んじる東証グロース市場に上場したことを考えると、現在のSaaS銘柄に甘んじていたのでは、ここにいる意味がない。これから先は、ハイグロースな銘柄として認められるような成長の可能性を示さないといけない、という使命感もある」

 「当社に対して『もう踊り場なのではないか』『巡航ペースに乗っている』という見解を持つ投資家もいると思う。それは必ずしも間違いではなく、『堅実で確実に利益を生み出せるビジネスである』ことは事実。だとしても、当社がやらなければいけないのは資本効率を高めていくこと。ECプラットフォームで稼いだお金を、どのように成長投資に使うか。そう考えると、チャレンジングなことをしなければいけないと思っている。3年間という短い期間ではあるが、『踊り場にある』という声を否定するような成長をしたい」

 ——近年は「ロカルコ事業」において小売りにも進出している。

 「当社はECシステムを提供するという立ち位置にあるので、あらゆる小売り事業者の動きに適用できる基盤を作っていかなければいけない。リテールの動きそのものを支えられるようなコマース基盤を作り上げることができれば、当社が最終的に目指す企業形態が実現できる。リテール事業を大きくするというよりは、いわゆる『ドッグフーディング』ということになるだろう。つまり自社で開発した製品やサービスを、自身が日利用することで、品質向上につなげていくというやり方だ。いろいろなチャレンジをすることで、システムとしての汎用性を高めていきたい」

 ——EC以外も含めたコマース基盤を作り上げるための取り組みは、来期から着手するのか。

 「中長期、長期を見据えてやっていくビジョンなので、これをどう言語化し、定義していくかについては、来期公表する中期経営計画で示したい。ただ、これが売上高100億円に向けた起爆剤になるかというと、そうではない。パートナーエコシステムの強化や、TAMを広げていくといった取り組み、さらにはリテール事業の拡大がベースになる。ただ、100億円の内訳をどうするかについては、もっと詰めなければいけない。リテール事業に関しても、海外展開も含めて強化していきたい」

 ——2025年は仮想モールの人気店舗が自己破産に追い込まれるなど、EC事業者にとっては厳しい年だった。市況をどうみる。

 「物価高がEC事業者を苦しめている。仕入れや物流費用が上がっていく中で、利益率を確保しながら攻めていくことは、体力の少ない企業にとっては非常に厳しく、物価高が二重苦・三重苦としてのしかかったのではないか。こうした状況でこれから先も会社を成長させていくためには、ネクストエンジンのようなプラットフォームを活用しながら運営を効率化する必要がある。また、仮想モールを運営するプラットフォーマーは、出店者の広告出稿で収益を出す仕組みなので、広告依存からの脱却もしなければならない。さらに、いろいろなプラットフォームがあるので、さまざまな販売チャネルの展開も重要になってくる。当社としては、バックエンド業務をいかに省力化していくかに関して、EC事業者に重要性を伝えていきたい」

 ——アマゾンにおけるクリック単価など、広告費も高騰している。

 「広告費用が増えると、使うべきところにお金が使えなくなってしまう。販促費を減らしながら売り上げも伸ばしていくとしたら、大事になってくるのはリピート。既存顧客に繰り返し買ってもらう、つまりファン化していく仕組みが重要になる。販売チャネルという点では、本当に多様化してきているので、1つのチャネルに依存しない体制を作ることが、長期的な安定につながるはずだ。当社としては、ネクストエンジンのような複数チャネル管理への需要は、ますます高まっていくと思っている」

 ——ネクストエンジンの利用社数はまだまだ伸ばせるか。

 「現在の契約社数は約6600社だが、毎月500件超の問い合わせがある。この状況は、私がハミィに入社した2014年から変わっていない。ということは、ネクストエンジンに対する潜在的なニーズはまだまだ高く、EC化率自体も高まっていくことを考えれば、取りきっているとは全く考えておらず、むしろ『夜明け前』くらいの感覚だ。というのも、ECは物流などの課題がまだまだあるわけで、これが解決していない段階でのEC化率が10%程度。解決すれば諸外国のようにEC化率が30%程度になっても決しておかしくない。コロナ禍に象徴されるように、EC化率が高まれば契約社数が増えるのは間違いないわけで、まだまだ伸びしろはある」(おわり)

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