〈ペンの大塚崇行社長に聞くレスポンス獲得の戦略〉 クリエイティブを内製化 研究力強み、「成功例を壊し、進化目指す」

2026年02月05日 11:51

2026年02月05日 11:51

 ダイレクトレスポンス専門の広告代理店のペンは、同送広告のパイオニアとして知られる。オフラインの広告市場は低迷するが、クリエイティブ、媒体マッチングの研究を続け、実績を積み上げている。大塚崇行社長にレスポンス獲得に向けた取組みを聞いた。   


0205115018_6984056a0ada5.jpg ——広告市場の現状は。

 「扱える同送広告媒体は300ほどある。媒体数は増えているが1媒体あたりの出稿量や発行部数は減っている」

 ——レスポンスの状況は。

 「同送広告に限らず低下しているのは事実だ。ウェブシフトなどレスポンス低下の要因を媒体に求める風潮はある。広告媒体の増加、広告表示規制の影響もあるだろう。しかし、私たちの現場ではレスポンスを出せている企業がいるのも事実だ」

 ——レスポンスの違いは何か。

 「媒体に合わせたクリエイティブの差だ。店頭の呼び込みで気前の良さ、すみやかな説明といった要素が顧客を呼ぶのと同じだ。チラシはコピー、ビジュアル、ハガキの有無といった要素が店舗になる」

 ——高いレスポンスを叩き出せる要点は何か。

 「一言で言えば分かりやすさだろう。なおかつ、媒体に合わせたクリエイティブであること。感性、ひらめきで当たるクリエイティブもある。しかし問題はそこに再現性がないことだ。意図して高いレスポンスを出す広告を制作することは本来は難しい」

 ——課題にどう対応してきたのか。

 「ペンでは広告の企画・制作を内製化し、媒体、クリエイティブに精通した部署がある。レスポンスは、媒体×表現×仕掛けから生まれることを提唱し、知見と実績を積み上げている。消費者が購入に至るプロセスには必ずポイントがある。一般的には、悩みや気づき、解決策の提示、同様の境遇を持った人の体験談、購入を後押しするオファーなどの要素がある」

 「とはいえ、絶対当たるチラシを作れたら嬉しいが、どれだけ知見を積み重ねてもそれは難しい。商品、ターゲットのペルソナ、配布エリアなど変数は無限にあり、クリエイティブのバリエーションも無限だ。仮説のない感性によるクリエイティブは、レスポンスがあろうがなかろうが理由がない。仮説とテストを繰り返し、正解に近づける必要がある。そこに内製化を行い、購入決定における心理の変化、ロジックを研究してクリエイティブに落とし込む意味がある。このレスポンスをとるペンの理論は、テレビ媒体でも活かされている。テレビインフォマーシャルでも内製化したメディアプランナーとディレクションチームが活躍し短尺・長尺、どの尺でも対応する」

 ——内製化、知見の共有で「ペンのスタイル」に依存してしまうのではないか。

 「基本のロジック、フレームワークは同じでも全く同じということはない。十数人いるデザイナーの個性が反映され、バリエーションも無限だ」

 ——過去の成功例に依存してしまわないか。

 「経験値、実績が邪魔になることはある。ただ、社会の変化に応じてヒットの要素も常に変わる。制作部署である、『カタログ研究部』とは、研究を行う方針を明確に打ち出した組織名にしている。広告データの収集はどこもできるが、これを読み解き、どう変化させるかを各社員が磨きあげている。私達もよい広告を目にするし他社様の事例に学ばせてもらうこともある。絶えず研究を行い、過去の成功例を壊し、進化を目指している」

 ——競争優位を持っているポイントは。

 「強みの一つは、グループに自社通販を行う金氏高麗人参があることだ。当社としてもどんどんチャレンジすることができ、成功例をペンのクライアントにも還元できる」

 ——広告市場のウェブシフトの流れは続いている。取引先のレスポンス低下にどう対応しているのか。

 「広告展開は制作費と広告費が必要になる。クリエイティブがあたるまで繰り返し、かつ当たったチラシが未来永劫あたり続けるかといえばそうではない。残念ながら寿命がある。これは通販の宿命でもある」

 「当社には『レスQ』という広告メニューがあるが、引き合いが増え続けている主力メニューだ。なぜならレスポンスを考えたクリエイティブ制作・印刷・媒体手配までパックにしたもので、費用も労力も軽減でき、このメニューから離れない取引先が増え続けている。媒体費だけでいえばより安価な代理店もあると思うがペンの軸はぶれない。レスポンスとCPOにフォーカスし、通販会社が真に求める結果を追求する、そんな姿勢が、紙・テレビとも支持をいただいている」

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