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マガシークのEC総合支援事業の戦略は? "サテライト戦略"の強み発揮

2016年10月 6日 10:58

 7-1.jpgマガシークは、同社が推進する"サテライト戦略"を武器に、ファッションブランドや百貨店などの自社通販サイト構築や運営代行などを手がけるECソリューション事業を強化する。

 同事業は、2012年にマガシークの新規ビジネスとして発足。当時は主力サイト「マガシーク」で扱うブランドの公式ECを受託することを基本路線にスタートし、1号案件はファッションブランドの「レッセ・パッセ」だった。現状では百貨店の自社ECも支援しており、ブランドと百貨店合計で11件を受託するほか、早ければ年内にも新規1案件が始まるという。

 加えて、親会社の伊藤忠商事がライセンスを保有する約10ブランドの入荷やささげ業務、保管、出荷といったEC物流を請け負っており、サイト構築とEC運営代行、物流支援の3本柱でECソリューション事業を展開する。

 マガシークならではの強みは"サテライト戦略"にあり、「マガシーク」サイトの在庫と取引先ブランドが持つ在庫を一元管理して連携させることで品ぞろえの強化を図っているほか、NTTドコモとの共同運営サイト「dファッション」や大手百貨店のECなどとも在庫連携することで、商品調達力と販売力の強化につなげている。

 最近では、ギフトが中心の百貨店ECへのアプローチを強化。ファッションカテゴリーの拡充に向けたEC支援に乗り出しており、8月には三越伊勢丹ホールディングスが運営する「三越オンラインストア」と「伊勢丹オンラインストア」の後方支援を開始。第1弾として婦人服ブランドを手がけるフランドルやレリアンなど4社13ブランドを対象に商品情報の連携や在庫共有をスタートした。

 三越伊勢丹は、これまで通りサイト運営や顧客サポートなどを継続しながら、マガシークのフルフィル力を活用できるほか、手薄な中価格帯ブランドの品ぞろえ強化につながる。ブランドにとっても、マガシークに商品を納品することで百貨店ECでも販売できるため、在庫が分散せずに消化率の向上が期待できる。

 マガシークにとっては、三越伊勢丹のブランド力を背景に、とくに百貨店が強い高額ゾーンの販売力が高まり、マガシークとしてトータルの取扱高の伸長が見込める。実際、一部ブランドでの在庫連携開始後、商品単価が2万円を超えるファッションアイテムは「マガシーク」サイトよりも百貨店ECでよく売れているようだ。

 マガシークでは、まずは三越伊勢丹との取り組みで30ブランドとの在庫連携を目指すとともに、百貨店通販サイトにしか出店していないファッションブランドや、百貨店店頭で扱う雑貨ブランドとの関係性を築き、「マガシーク」サイトへの出店にもつなげたい意向だ。


レリアンを支援


 百貨店との取り組みだけでなく、ファッションブランドの公式EC受託も順調に進展しており、レリアンが展開する高級婦人服ブランド「レリアン」など全6ブランドを販売する「レリアン オフィシャル オンラインストア」(右上画像)を10月3日に開設し、運営支援を始めた。

 レリアンがアパレル事業で公式ECを開設するのは初めてで、サイトの機能面に加え、在庫連携先の百貨店と相性が良いことなどもあってマガシークをEC運営のパートナーに選んだようだ。
 
 また、新サイトにはマガシークが運用する通販サイトでは初めて店頭在庫表示機能を実装。ECを起点としたリアル店舗への送客強化を目指し、オムニチャネルを推進するという。

 マガシークでは、百貨店などの大口案件を年間1~2件、アパレル企業の公式ECも同3~4件の受託を目標とし、今後はEC専業やアパレル以外のブランド、メーカーもターゲットに据える。

 アパレルに関しては、自社ECをスタートして5年程度が経過する企業が多く、システム刷新や物流面などでの課題が表面化する時期でもあることから、部分的なサポートも含めて新規案件に力を注ぐ構えだ。


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