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再春館製薬所が「健康になる家」を販売 新領域開拓、住宅メーカーと開発

2025年 5月 1日 12:00

 再春館製薬所は4月26日、住宅メーカーと共同開発した住宅(=写真)を販売する。化粧品や食品、医薬品以外の新領域を開拓。製品など「モノ」の提供だけでなく、体験価値を含めた事業を強化していく。

 住宅販売を行うLibWork(=リブワーク)と共同で開発した。再春館製薬所が持つ養生や運動学など健康に関する知見とリブワークの建築技術を活かし、「健康寿命を延ばす住環境」を提供する。再春館製薬所がコンセプトやデザインの監修を行い、リブワークが住宅の設計・販売戦略を担う。

 都市郊外在住の30~40代のファミリー層向けに展開する。初年度は九州地区を中心に20棟の販売を計画。「保守的な数値」(リブワーク・瀬口力社長)として目標達成を見込む。将来的に千葉など全国展開を進める。

 販促は共同で行う。再春館製薬所は通販顧客向けに提案する。リブワークはウェブマーケティングやユーチューブなどSNSでプロモーション・集客を行う。リブワークのユーチューブの登録数は約13万件で、戸建て関連で最も多い。両社で体験イベントなど共同販促も行う。

 再春館製薬所はこれまで自己回復力の向上を掲げ、美容や健康領域で事業を展開してきた。創業100周年を迎える2032年に向けて、中長期の事業戦略を展開する。創業来培う漢方の知見を活かし、「自己回復力」の向上を図る。一つに、健康な生活を送るためのソリューションの提供がある。一環として、住宅販売にも取り組む。ほかに、旅行企画や宿泊施設の提供など、新たな価値観の提案につながる体験も事業化を進める。

 販売する住宅は利便性を持ちながら、身体への適度な刺激など日常生活で自然に運動量が増えるよう工夫する。省エネルギーを意識して太陽光を効果的に取り入れる設計手法、調光により生体リズムを整える寝室などの休息空間を提案する。日本の伝統的な建築技法で、床に凹凸のある「名栗床」を採用し、足裏から健康に貢献する。九州大学との共同研究では、身体のバランスを整える可能性が見えてきたという。

 販売価格(住宅のみ)は、間取りや仕様、延床面積で異なるが、2500~3000万円台後半を想定する。独自の価値提供について、「人生の約3分の2にあたる時間を過ごす住環境で、生活習慣病対策等にアプローチする余地はある」(再春館製薬所)とする。

 注文住宅市場は約29兆円あるが、需要は、人口や世帯数の減少、資材や人件費の高騰を受けて微減の傾向にある。リブワークは異業種とのコラボレーションによる住宅事業を14年に始めた。「無印良品」など複数の企業で実績がある。他社での取り組みはあまりみられず、住宅の差別化に強みがある。
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