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ヤマトグループ 宅急便個数拡充へ、長尾HD社長が総量抑制から転換宣言

2019年 4月18日 13:31

 ヤマトグループは新たな経営トップによる新体制がスタートし、長尾裕ヤマトホールディングス社長が4月11日に設けた記者団との懇談の場で2019年度1年間における宅急便の取扱個数について数パーセント増加させることを明かした。一昨年から行ってきた荷受け数を抑制する総量抑制から拡充へ転じる。宅急便の取扱個数は17年度、18年度が2年連続で前年割れとなった状況だが、19年度は3年ぶりに増加となる見通し(写真左から栗栖運輸社長、長尾HD社長、小菅ロジスティクス社長)。

 宅急便の取扱個数の拡充は、セールスドライバー(SD)に加え、夜間などの配達を専門に受け持つ「アンカーキャスト」5000人(3月末現在)を配置することで可能にする。長尾社長は「アンカーキャストによるセールス増強により、この4月から1年間に一定量を増やせると考えている」と語る一方、「同時にまだ働き方改革を進めている途上でもあり、特に基幹社員のSDの年間労働時間を今期も大きく縮めていく計画であり、(アンカーキャスト増加分の)サービス提供力がそのまま増加するわけでない」と語り、数パーセントの増加を見通しているとした。

 宅急便の過去2年間の実績は17年度が前年度比1・7%減の約18億3668万個、18年度が同1・8%減の約18億353万個。17年10月から総量抑制を本格的に取り組み始めたことに伴い、2年度ともマイナスになった。ただ、月別の取扱数自体は総量抑制開始から1年を経た18年10月からはプラスに転じるようになっている。

 また長尾社長は「通販が生活を支える業態へと変化してきているとの認識を持っており、例えば宅配便ロッカーの『PUDOステーション』などによる新しい受け渡し方法なども組み合わせてサービス提供していく」と通販事業者の商品の配達に前向きに取り組んでいく姿勢を示した。

 長尾社長によると、昨年と一昨年の配達先の不在率が各1%ずつ低下し、2年で2%改善したという。この数値自体はサービス提供力が2%アップしたことを意味するとし、配達予告や配達時間・場所の変更などが行える個人会員制度「クロネコメンバーズ」やSNSの活用を一層進めることなどで、サービス提供力を増強することが可能になると見られる。

 さらに長尾社長は宅急便のサービスの今後のあり方について言及。「宅急便はECと親和性が高いが、ECに対して最適解かどうか疑問が残る。持続的な品質、成長を遂げられるようモデルチェンジを行うことが命題」とした上で、「持続的に提供するためには労働集約型でないサービスにする必要がある。そこで宅急便のオペレーションの中でも仕分けの領域からメスを入れるべきと考えている。省人化のため標準化を図り、アナログオペレーションでなくデジタルオペレーションに変えることが鍵になる。その結果としてサービスも変わっていくことになる。そのためのプロジェクトもいろいろと取り組んでいる」と話した。

 一方、長尾社長の後任としてバトンを受けた栗栖利蔵ヤマト運輸社長は「宅急便やネットワークなど全体最適がどうあるべきかを見て、組織固めに取り組む。働き方改革もまだ途中だが、平均としては改善している。ただ課題1点1点、社員1人1人で見ると行うべきことはまだあり、例えばセンターにおけるパートタイマーなどの働き方なども変えていく必要がある」と今後の方向性について述べた。

 懇談の場では4月1日にヤマトロジスティクスのトップに就任した小菅泰治社長も登壇し「ヤマトロジスティクスは法人向けにソリューションを提供するのが役割で、新たな3PL事業を展開したい。そのためにクライアントへと深く入り込む必要がある。宅急便事業と相違するのはクライアント1社1社をより深く知ることが大事であり、最適なソリューションを提案できるよう、グループ全体の営業マンを通じて行えるようにしていく」と抱負を語った。

 長尾社長もヤマトロジスティクスの法人向け事業について触れ「宅急便の半数は大口クライアントからの荷物であり、このボリュームへのサービスが宅急便だけで良いかと言えば、そうではない。この顧客基盤に合うヤマトロジスティクスのサービスを展開していく必要がある」とした。

 ヤマトグループは今年11月に創業100周年を迎えるとともに、19年度が中期経営計画「KAIKAKU 2019 for NEXT100」の最終年度ともなる。働き方改革を中心に据えた同計画を3人の新トップが一致団結して遂行していく姿勢を示した。

 
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