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アスカコーポレーション・急成長の〝光と影〟 石油製品の有害性で訴求 創業わずか10年余りで100億円へ

2010年 5月20日 17:51

   昨年12月、通販業界の信頼を揺るがしかねない事件が起きた。化粧品や健康食品通販を手掛けるアスカコーポレーションによるJAS法違反事件だ。不適正表示を受けた商品は25品目。延べ約26万人に40万点、17億円分販売され、「健食では過去最大規模の偽装」「ウソ表示」などと一般紙に報道された。だが周辺業者から聞こえてくる声は「しょせんBクラスの会社」(取引業者)、「昔からひどい会社だと思っていた」(化粧品製造業者)というもの。事件後もネガティブな噂が絶えることはなかった。成長分野としてさまざまな事業者が注目する通販市場。仮に事業者が語る噂が事実であり、その企業体質に根本的な問題があるとすれば、通販市場の信頼を地におとしめるものだ。


 まず、設立から現在に至る業歴を振り返る。

 アスカコーポレーションは前身となる「アスカ」を1994年、大分県で興した。同社が倒産後、活動の舞台を福岡に移し、事業を引き継ぐ形で99年にアスカコーポレーションを設立する。

 昨年12月時点の役員構成は、代表の南部氏のほか、専務取締役の神田圭生氏、取締役の南部昭子氏、監査役の南部裕美氏。株式の8割を南部社長が、2割を神田専務が保有している。

 その販売手法も独特だ。南部社長自身、石油会社に勤めていた経験から石油製品の有害性を研究し、消費者に化学合成物質の危険性を徹底的に訴える手法を取る。そこから生まれたコンセプトが"天然主義"だ。スキンケアを主軸に健食など約500アイテムを取り扱う。

 販売チャネルも通販に留まらず、03年頃に店舗チャネルに進出。全国の百貨店へ出店を加速させ、一時は48店舗を展開するまでになった。最近では商品イメージを高める手段として、モンドセレクション受賞商品であることを積極的に訴求。登録顧客数も100万人を突破したとされる。

 民間信用調査機関の調べによると前期(09年8月期)売上高は前期比2%減の110億円。売り上げ構成は、化粧品が約7割を占め、健食などが3割程度とみられる。

 急成長を遂げる企業の多くは、その過程でインフラ整備やコンプライアンス体制の確立、コスト削減策の実施を迫られ、何らかの"ひずみ"が生じることも少なくない。これは致し方ない面もある。だが、そのバランスが行き過ぎたものになると、その存在は危ういものとなる。

 "天然主義"を謳い文句に創業わずか10年余りで売上高100億円超を誇る企業へと成長したアスカ。その事業展開の手法に行き過ぎの面はなかったのか。その光と影を探っていく。 (つづく)
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