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ファンケル 店舗の「価値」再定義、商圏・客層など特性に合わせ設計

2024年 2月22日 12:00

 ファンケルが店舗改革を進めている。コロナ渦で来店が落ち込む中、店舗の価値を再定義。商圏や商業施設、来店客、年齢層の分析を通じ、個々の顧客に合わせた店舗設計を行う。2月9日には、10年ぶりに「ジューススタンド」を併設する店舗を出店した。
 
 ジューススタンドを店舗に併設するのは、「福岡天神地下街店」。地下街は福岡を南北に貫き、平日はオフィスワーカーが多く利用する。飲料の提供を通じ、新たな顧客との接点を築く。

 店舗では、ケールの青汁を利用した「ストレート」(350円)や、「レモンソーダ」(500円)、「マンゴースムージー」(700円)、冬季限定の「ホットココア」(500円)など4種類のメニュー(いずれも200ミリリットル)を提供。コラーゲンやカロリミット茶、食物繊維、大豆たんぱく、関節ケア関連など5種類の粉末サプリメントからトッピングを選べる。

 今後、利用動向の分析などテスト展開を通じて、地域の特性に合わせた併設店の出店、地元食材を使った新メニューの開発を検討していく。

 ジューススタンドは、98年から2014年まで全国で展開していた。通勤客への認知や来店の機会創出が目的。07年には100店舗あった。

 価格は約200円。青汁をりんごジュースで割るなどしていた。ただ、人件費の負担など、収益性に課題があったとみられる。新たな併設店は、オリジナルジュースの提供で付加価値を高め、採算性も確保する。

 過去のジューススタンドの提供時間は10~15秒ほど。提供時間も短く、提案の機会を得るのが難しかった。新店舗は、飲料をその場でつくる。このため、1~2分の待ち時間が生じる。その間に店内の回遊やカウンセリングの提案など機会創出を狙う。利用をきっかけに来店を促し、AIパーソナル角層解析、血管年齢測定など、カウンセリングサービスの提供につなげる。

 ファンケルは、過去に健食の提案強化、男性客の来店を促すため、化粧品と健食の区画を分けたハイブリッドショップなど複数の業態を横展開していた。同業態は、内外美容の提案強化を通じて集約。直営店の数も、212店舗(20年3月末)後は集約を進め、現在、161店舗。今期末に158店舗を計画する。一方で、リアルならではの接点は重要とみて、各直営店の特性に合わせた店舗改革を進めている。

 「有楽町マルイ店」(今年3月にリニューアル)は、若年層の来店が多い。このためこれまでより間口を広く取り、セルフで気軽に製品を試せるテスターを店舗前面に配置してブランドスイッチを促す。店舗単独のインスタグラムアカウントも初めて開設。新製品やイベント情報の発信を始めた。店内は白とグレーを基調にした内装で透明感を表現する。

 「横浜西口店」(同2月)は、港町を印象づけるマリンブルーの什器や洗面台、船内をイメージした間接照明など内装設計にこだわる。短時間で体験できるカウンセリング機器も設置する。

 「京阪モール店」(昨年8月)は、若年層を含め幅広い年齢層の来店が多い。このため、店頭にテスター台、カウンセリングカウンターを2席用意することで、専門知識を持つスタッフと会話を楽しみつつ購入できる環境を整備した。

 「阪急西宮ガーデンズ店」(今年1月)は、ブランド発信の拠点に位置付ける。大阪・西宮地区の住民に認知のある伝統工芸品、名塩和紙を照明に使うことで、話題提供や会話のきっかけにする。

 
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