過度な〝通販規制〟を改めよ
日本の通販事業者のアジア諸国を中心とした海外進出が相次いでいる。先日も健康食品のネット販売大手のケンコーコムが来年から海外でネット販売を開始すると発表した。通販事業者が海外へと進出する理由の1つは活況なマーケットへのリーチだ。国内の消費環境は長引く不況で冷え込むばかり。国内だけでは思うような業績が見込めない各社は海外という新たな市場に活路を見出そうとしている。そしてもう1つ、各社を海外に向かわせる大きな理由は事業者のビジネス活動をやりにくくさせている世界でも稀な"雁字搦めの通販規制"にあるだろう。
通販事業者にとってみれば、「消費者保護」を声高に謳い、その結果としての過度な規制の弊害で「売りにくくなった」国内市場で試行錯誤するよりも、馬鹿げた規制のない海外に進出するほうがはるかに効率的で将来の展望も描きやすい。実際、国内の通販関連法に嫌気がさしたことを理由に自由な商売ができる海外へと進出する通販企業も多い。無論、日本企業の海外進出は悪いことではない。ただ、行政は国内の通販事業者の海外進出を喜ぶだけではなく、裏にある原因をよく認識すべきだ。
日本には通販を取り巻く規制が諸外国と比べ多すぎる。例えば通販市場をけん引する健康食品や化粧品についても、効果・効能の表記に関しては異常なほど規制を課している。薬事法の「効果・効能を謳えるのは医薬品だけ」という定義を杓子定規に振りかざし、違反する事業者を断罪するが、現実的に健康食品や化粧品を購入する消費者は「何に効くのか」を確認して購入したいわけだ。規制は事業者にとっても消費者にとっても不利益を及ぼしている。
先ごろ、通販での販売が実質禁止された医薬品についても同様だ。近くに薬局がない辟地の消費者、または薬局まで薬を買いにいけない高齢者にとって、医薬品が購入できる通販は便利なツールであった。これを然したる理由がなく、「とにかく通販は危険性がある」として規制したために、事業者および消費者はやはり不利益を蒙ることになったわけだ。
こうした規制は社会ニーズと明らかに乖離しているだけでなく、有望な通販市場の発展を著しく阻害している。一方で海外諸国は日本ほど過度な規制はない。無論、一定の制限はあるが、広告の表現についても比較的自由であり、また、日本のように医薬品の通販に規制を課しているような国もまた少ない。
なぜに日本だけ特殊な環境下で商売を行なわなければならないのか。このままでは国内の有力な通販事業者は今後、海外に軸足を置くことになるだろう。当然、国内の事業者がそっぽを向くようなマーケットに海外の企業が興味を持つはずはない。そうして国内外の有力事業者から見捨てられた市場の行く末に明るい未来はなかろう。
社会ニーズの変化を考えずに省益のためだけに通販に勝手な規制をかけてきた官僚による通販に対する縛りは、政権が変わった今こそ、見直すいい機会ではないだろうか。有望な国内産業の1つである通販市場の疲弊を招きかねない過度な規制の再考を新政権には強く期待したい。
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先ごろ、通販での販売が実質禁止された医薬品についても同様だ。近くに薬局がない辟地の消費者、または薬局まで薬を買いにいけない高齢者にとって、医薬品が購入できる通販は便利なツールであった。これを然したる理由がなく、「とにかく通販は危険性がある」として規制したために、事業者および消費者はやはり不利益を蒙ることになったわけだ。
こうした規制は社会ニーズと明らかに乖離しているだけでなく、有望な通販市場の発展を著しく阻害している。一方で海外諸国は日本ほど過度な規制はない。無論、一定の制限はあるが、広告の表現についても比較的自由であり、また、日本のように医薬品の通販に規制を課しているような国もまた少ない。
なぜに日本だけ特殊な環境下で商売を行なわなければならないのか。このままでは国内の有力な通販事業者は今後、海外に軸足を置くことになるだろう。当然、国内の事業者がそっぽを向くようなマーケットに海外の企業が興味を持つはずはない。そうして国内外の有力事業者から見捨てられた市場の行く末に明るい未来はなかろう。
社会ニーズの変化を考えずに省益のためだけに通販に勝手な規制をかけてきた官僚による通販に対する縛りは、政権が変わった今こそ、見直すいい機会ではないだろうか。有望な国内産業の1つである通販市場の疲弊を招きかねない過度な規制の再考を新政権には強く期待したい。