
カタログ通販を手がけるジェイオーディは、震災の影響から今期(2011年6月期)は若干の減収減益となる見通しだ。60歳以上の中心顧客に精度の高いカタログ事業を展開する同社の德田勝稔社長に、足元の業績や来期の取り組みなどについて聞いた。(聞き手は本紙取締役業務局長・青木実)
新客獲得に折り込み重視、PB化粧品で単品通販も
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足元の印刷インクの状況は。 「震災後、インクは溶剤不足から5月で在庫がなくなるという話が出たため、媒体計画の見直しも考えた。ただ、代替品の手当てがついたということで、現在は心配する状況にはない」
―
―震災後の業績は。 「3月の売上高は前年を14%割り込んだが、4月は8%減、5月が5%弱のマイナス、6月は前年並みに戻している。売り上げは落ちたが、一定の利益は確保できるように対応した」
―
―具体的には。 「当社はカタログの頻度が多いが、震災直後は発刊時期を遅らせたり、利益率の低い媒体を中心に部数を減らして経費削減に努めた。無理に売上を追わず、精度と効率を重視した結果、利益面は大きな影響を受けずにすんだ」
―
―投資については。 「3月は新規客の獲得を狙った折込みを減らしたが、4月下旬には全面的に再開し、4~6月の3カ月で前年の投資水準に戻した。守り過ぎて新客の獲得が滞ると、来年の売上に影響する」
―
―今期の着地点は。 「11年6月期の着地は、売上高が出荷ベースで前年の281億円に対して272億円程度になりそうだ。経常利益は前年の19億6000万円に対し、約17億円を見込んでいる」
―
―来期は攻めるのか。 「当社顧客の数%が東北の方だ。名簿を前年の水準に戻すために、折込みを増やして新規獲得を進めたい。少しくらいCPOが悪化しても取り組まなければいけないが、電気の問題や全体的な消費意欲の落ち込みもあり、状況を見極めて判断する」
―
―先行き不透明だ。 「いろいろな現象に対し、こまめに軌道修正する。実際に、原発の影響でカタログを送付できない地域も変化している」
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―増収増益を目指す。 「11年6月期は前年実績を割り込むので、来期は増収増益にもっていきたい。ただし、数字に固執しすぎると判断を誤りかねない」
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―単品通販の取り組みは。 「自社PBの化粧品シリーズとして『一花(ひとはな)』というブランドを作った。基礎化粧品ではなく、シワ隠しなどお悩み解消系の商品を数種類展開している。現状では自社媒体に商品を掲載したり、媒体にチラシを同梱している。アウトバウンドをするほどの品ぞろえにはなっていないが、将来的にはアウトバウンドも含めて、いろいろな販売手法を試す。単品通販は訴求ポイントが肝。消費者の心に響けば一気に広がる可能性がある」
―
―カタログ企業の動向をどう見ている。 「新しい技術やデバイスの登場、ネット化の流れもあり、若い層に軸足を移そうという動きもある。ただ、当社としては、高齢者層はまだ数年の間は新規開拓できると考えている。60歳以上の定着率が高い消費者の囲い込みを優先する」
新客獲得に折り込み重視、PB化粧品で単品通販も
――足元の印刷インクの状況は。
「震災後、インクは溶剤不足から5月で在庫がなくなるという話が出たため、媒体計画の見直しも考えた。ただ、代替品の手当てがついたということで、現在は心配する状況にはない」
――震災後の業績は。
「3月の売上高は前年を14%割り込んだが、4月は8%減、5月が5%弱のマイナス、6月は前年並みに戻している。売り上げは落ちたが、一定の利益は確保できるように対応した」
――具体的には。
「当社はカタログの頻度が多いが、震災直後は発刊時期を遅らせたり、利益率の低い媒体を中心に部数を減らして経費削減に努めた。無理に売上を追わず、精度と効率を重視した結果、利益面は大きな影響を受けずにすんだ」
――投資については。
「3月は新規客の獲得を狙った折込みを減らしたが、4月下旬には全面的に再開し、4~6月の3カ月で前年の投資水準に戻した。守り過ぎて新客の獲得が滞ると、来年の売上に影響する」
――今期の着地点は。
「11年6月期の着地は、売上高が出荷ベースで前年の281億円に対して272億円程度になりそうだ。経常利益は前年の19億6000万円に対し、約17億円を見込んでいる」
――来期は攻めるのか。
「当社顧客の数%が東北の方だ。名簿を前年の水準に戻すために、折込みを増やして新規獲得を進めたい。少しくらいCPOが悪化しても取り組まなければいけないが、電気の問題や全体的な消費意欲の落ち込みもあり、状況を見極めて判断する」
――先行き不透明だ。
「いろいろな現象に対し、こまめに軌道修正する。実際に、原発の影響でカタログを送付できない地域も変化している」
――増収増益を目指す。
「11年6月期は前年実績を割り込むので、来期は増収増益にもっていきたい。ただし、数字に固執しすぎると判断を誤りかねない」
――単品通販の取り組みは。
「自社PBの化粧品シリーズとして『一花(ひとはな)』というブランドを作った。基礎化粧品ではなく、シワ隠しなどお悩み解消系の商品を数種類展開している。現状では自社媒体に商品を掲載したり、媒体にチラシを同梱している。アウトバウンドをするほどの品ぞろえにはなっていないが、将来的にはアウトバウンドも含めて、いろいろな販売手法を試す。単品通販は訴求ポイントが肝。消費者の心に響けば一気に広がる可能性がある」
――カタログ企業の動向をどう見ている。
「新しい技術やデバイスの登場、ネット化の流れもあり、若い層に軸足を移そうという動きもある。ただ、当社としては、高齢者層はまだ数年の間は新規開拓できると考えている。60歳以上の定着率が高い消費者の囲い込みを優先する」