都は責任と影響力を自覚せよ
東京都医薬食品局が発行する「東京都食薬eマガジン」に掲載された広告に「薬事法」上問題となる表示のがあったことを受け、都が事態の収拾に乗り出した。問題の広告は、11月27日(139号)に発行されたメルマガに掲載されていた中堅健食通販企業「えがお」のPR広告で、コピーの内容が「薬事法」に抵触するのではないかとして、一部の健食通販関係者が都に問い合わせをしていた。無論、広告を制作したえがおには非があるが、事業者を指導する立場にある都が、自ら発行するメルマガに掲載されていた法令違反の広告を見逃していたのは、失態としか言いようがあるまい。
「東京都食薬eマガジン」は月2回発行のメルマガで、都の食品衛生と薬事衛生の所管部署の報道発表やホームページ更新内容、中央官庁の報道発表などの情報を掲載したもので、健食通販事業者などのメルマガ会員も少なくない。問題の広告は、同メルマガの冒頭に掲載されていたもので、「ポッコリ」「スリム」「パワー」といった文言がコピーに使用されていた。明確に医薬品的な効能効果を謳ってはいないが、広告表示に関わる者であれば、一目で「薬事法」上問題があると察しがつくものだ。メルマガが「薬事法」違反事業者の処分情報などを含み、健康食品通販等の購読会員が少なくないということを考えれば、こうした広告が掲載されていたのがどれだけ異常なことか分かるだろう。
都からすれば、メルマガに掲載する広告は配信の委託事業者が決めているもので、どうしようもなかったという思いもあろう。だが、そうした事情を汲んだとしても、対応はお粗末過ぎる。
本来であれば、自ら問題に気付き必要な対応を講じるべきだが、都が問題を察知したのは、メルマガを見た事業者からの指摘で、薬事監視課に問い合わせた関係者によれば、メルマガを読んでいた担当者すらいなかったという。常日頃、事業者に対して広告の表示に事細かな注文をつけている都が、自ら発行するメルマガの内容をチェックしていないというのはあまりにもおかしい。
その後、メルマガの臨時号を出し、本文以外の、委託事業者が掲載する広告は都と一切関係ないと告知しているが、同様の広告が掲載される恐れが払拭されないという点で、この対応は不十分だ。都のメルマガに掲載された広告表示をお墨付きと受け止めた事業者が法に違反した表示を行うという恐れがあることを考えても、但し書き一本で済む話ではあるまい。都でも、メルマガに広告を掲載しない方向で検討を進めている状況だが、初動が緩慢だったのは明らかだ。
東京都薬事監視課では、メルマガに掲載されたえがおの広告が医薬品的な効能効果を暗示しているとの見方で、熊本県を通じ同社を処分する意向だ。だが、自ら発行するメルマガの不適切な広告表示を見逃した挙句、事業者側の混乱を招いた都の失態は看過できるものではなく、事業者を指導する立場にある責任と影響力に対する自覚の薄さを感じさせる。その意味でも東京都は、今回の問題を重く受け止めるべきだ。
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「東京都食薬eマガジン」は月2回発行のメルマガで、都の食品衛生と薬事衛生の所管部署の報道発表やホームページ更新内容、中央官庁の報道発表などの情報を掲載したもので、健食通販事業者などのメルマガ会員も少なくない。問題の広告は、同メルマガの冒頭に掲載されていたもので、「ポッコリ」「スリム」「パワー」といった文言がコピーに使用されていた。明確に医薬品的な効能効果を謳ってはいないが、広告表示に関わる者であれば、一目で「薬事法」上問題があると察しがつくものだ。メルマガが「薬事法」違反事業者の処分情報などを含み、健康食品通販等の購読会員が少なくないということを考えれば、こうした広告が掲載されていたのがどれだけ異常なことか分かるだろう。
都からすれば、メルマガに掲載する広告は配信の委託事業者が決めているもので、どうしようもなかったという思いもあろう。だが、そうした事情を汲んだとしても、対応はお粗末過ぎる。
本来であれば、自ら問題に気付き必要な対応を講じるべきだが、都が問題を察知したのは、メルマガを見た事業者からの指摘で、薬事監視課に問い合わせた関係者によれば、メルマガを読んでいた担当者すらいなかったという。常日頃、事業者に対して広告の表示に事細かな注文をつけている都が、自ら発行するメルマガの内容をチェックしていないというのはあまりにもおかしい。
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東京都薬事監視課では、メルマガに掲載されたえがおの広告が医薬品的な効能効果を暗示しているとの見方で、熊本県を通じ同社を処分する意向だ。だが、自ら発行するメルマガの不適切な広告表示を見逃した挙句、事業者側の混乱を招いた都の失態は看過できるものではなく、事業者を指導する立場にある責任と影響力に対する自覚の薄さを感じさせる。その意味でも東京都は、今回の問題を重く受け止めるべきだ。