業界大手の責任とはなんぞや
8月半ばに、DHCが全国に広く出稿した新聞広告を巡って、通販業界の内外から批判の声が噴出している。当該広告は全面2面分を使った見開きの広告で「ありがとうございます。DHCは、『利用している(利用したい)機能性食品メーカー』第1位に選ばれました。」という文言とともに、1位から42位までの機能性食品メーカーの企業名が入ったランキング表を掲載している。ちなみに1位は断トツで「DHC」となっている。
こうした他社の実名を挙げたランキング表を自社広告に掲載する形は、健康食品業界ではあまり見受けられない。健康食品はその適用を受けないが、薬事法が適応される化粧品などの場合、「他社の製品のひぼう広告の制限」という広告基準があり、「製品の比較広告を行う場合、その対象製品は自社製品の範囲で行い、その対象製品の名称を明示した場合に限る」とされ、そうした形の広告はルール違反になる可能性が高いためだ。こうしたこともあり、健康食品でもそうした比較広告は見受けられない。加えて、互いにしのぎを削りあう競合とは言え、同じ業界でビジネスを行うもの同士の言わば仁義があり、無論、成分や価格などを比較するものは多々、見受けられるものの、「競合の実名をあげつらうような内容の広告はまずしないし、見たこともない」(某健食販売会社幹部)という。
とは言え、当該広告への批判はそうした実名をあげつらう業界の仁義に反していることについてだけで噴出しているのではない。当該広告を見た消費者に誤認を与える可能性があるからだ。というのも、DHCの広告によると、このランキング表の作成に「主管」という形で携わったとされる「経済産業省管轄 中部経済産業局 電力・ガス事業北陸支局」は当該ランキング表を含む調査結果の公表をすでに取りやめている。詳細は不明だが、以前はホームページ上で公開していた当該データをその後に、あえて削除したわけだから「公表に足らない何らかの理由」があったからのことだろう。
同支局ではDHCが何らかの問題のある当該調査結果を広告で掲載しようという動きを把握し、掲載しないよう再三要請したようだ。DHCは何を思ったのかそれでも掲載を強行したという。
実際には異なるが、公的機関が実施したと思われる調査に自社が断トツの1位となっていれば、広告に使用したくなる気持ちは分からないでもいない。ただし、掲載しないよう再三の要請を無視してまで掲載するというのは通常の、まして大手企業では有り得ない尋常ならざる行為だ。まして、「公表に足らない何らかの理由」を抱えている訳で、内容が適切でない可能性もあるわけだ。その場合は消費者に誤認を与える懸念も出てくる。
DHCは当該広告の最後に「業界最大手の責任として―ここまでやるのが、DHC品質」という文言を残している。逆にDHCに問いたい。業界最大手の責任とは何ぞや。もはや何も求めはしないが、せめて通販業界の信頼を失う行為だけはしないようお願いしたい。
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こうした他社の実名を挙げたランキング表を自社広告に掲載する形は、健康食品業界ではあまり見受けられない。健康食品はその適用を受けないが、薬事法が適応される化粧品などの場合、「他社の製品のひぼう広告の制限」という広告基準があり、「製品の比較広告を行う場合、その対象製品は自社製品の範囲で行い、その対象製品の名称を明示した場合に限る」とされ、そうした形の広告はルール違反になる可能性が高いためだ。こうしたこともあり、健康食品でもそうした比較広告は見受けられない。加えて、互いにしのぎを削りあう競合とは言え、同じ業界でビジネスを行うもの同士の言わば仁義があり、無論、成分や価格などを比較するものは多々、見受けられるものの、「競合の実名をあげつらうような内容の広告はまずしないし、見たこともない」(某健食販売会社幹部)という。
とは言え、当該広告への批判はそうした実名をあげつらう業界の仁義に反していることについてだけで噴出しているのではない。当該広告を見た消費者に誤認を与える可能性があるからだ。というのも、DHCの広告によると、このランキング表の作成に「主管」という形で携わったとされる「経済産業省管轄 中部経済産業局 電力・ガス事業北陸支局」は当該ランキング表を含む調査結果の公表をすでに取りやめている。詳細は不明だが、以前はホームページ上で公開していた当該データをその後に、あえて削除したわけだから「公表に足らない何らかの理由」があったからのことだろう。
同支局ではDHCが何らかの問題のある当該調査結果を広告で掲載しようという動きを把握し、掲載しないよう再三要請したようだ。DHCは何を思ったのかそれでも掲載を強行したという。
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DHCは当該広告の最後に「業界最大手の責任として―ここまでやるのが、DHC品質」という文言を残している。逆にDHCに問いたい。業界最大手の責任とは何ぞや。もはや何も求めはしないが、せめて通販業界の信頼を失う行為だけはしないようお願いしたい。