健食は規制改革が必要だ

2013年04月25日 14:04

2013年04月25日 14:04

規制改革会議で検討が進む健康食品の表示規制改革が現実味を帯びてきた。先日、ヒアリングに参加した日本通信販売協会(JADMA)をはじめ業界団体のプレゼンテーションも素晴らしいものだった。説得力をもって改革の必要性を論じた各団体に敬意を表したい。委員の多くも改革に賛同しており、業界はかつてない好機を迎えていると言える。だが、消費者庁は改革の流れに否定的な見解を示してもいる。消費者庁は監視強化のみでは消費者利益を担保できないことを認めるべきだ。

 JADMAは、業界総意だけでなく、消費者利益の観点から制度の必要性に言及した点が素晴らしかった。事業者に対する問い合わせは、商品の機能性に関するものが最も多く、消費者の「知る権利」「選択できる権利」を担保すべきとした。

 このような実態を指摘できたのも、「サプリメント登録制度」を通じ、事業者の実態把握に臨んでいたからだろう。昔から情報提供できないジレンマは多くの事業者が抱えていたが、データとして集約されてはいなかった。10年末、消費者庁が健食表示の検討会を終えた後にその経験を活かして制度を導入した。健食を巡る規制は流動的であり、将来のいずれかのタイミングで再び議題に上がることが想像できたからだ。これを見据え、目に見える実績を積み上げてきた功績は大きい。

 健康産業協議会のプレゼンも説得力があった。制度の国際比較を通じ、"枠組み"としては整備されながら、実態として国内制度は不十分な点が多々あることを指摘。海外に比べ、栄養関連の研究が遅れていることにも言及した。近年のヒトが介入した栄養関連論文数は米国の約1500件に対し、日本は200弱。論文著者の所属機関の順位も欧米が大半を占め、日本の研究機関は46位に初めて名を連ねる。栄養学を学びたくても研究者を養成する機関は質、量ともに圧倒的に不足している。

 だが、これを受けてもなお、消費者庁は現行規制を妥当とし、改革に否定的なスタンスを崩さなかった。

 見解の背景にあるのは、米国における制度運用の実態だ。米国にはFDA(食品医薬品局)の許可を得ず、科学的根拠を前提に企業が任意で届出を行い、企業責任で自由度の高い表現が行える「ダイエタリーサプリメント」がある。これを一例に、届出制であることに加え、安全性や有効性の指針に強制力がなく、FDAの監視体制が不十分であることが米国内で指摘されているとした。

 だが、監視体制の未熟さはむしろ行政側の問題であり、米国制度の課題をもって国内制度の維持を論じるのもおかしい。制度整備と監視体制は車の両輪であり、双方の充実を進めるべきものでもあるからだ。

 一部の消費者団体のように、健食の存在自体認めないなら理由を説明すればいい。だが健食は2兆円もの市場が厳然と存在し、海外では定義も定められている。にもかかわらず、これを無視し続けるのであれば、それこそなんのための消費者庁か。消費者庁には、あいまいな範疇に置かれる健食に明確な位置づけを与える責任がある。それが消費者利益を叶える庁の本懐ではないか。

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