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坂西健治常務執行役員に聞く、ユーキャンの海外事業の現状
坂西健治常務執行役員に聞く、ユーキャンの海外事業の現状
2013年09月27日 16:31
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2013年09月27日 16:31
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ユーキャンは今年1月、中国企業との折半出資で通信教育事業を手がける「成都生涯科技有限公司(英名:U―CAN CHINA)」を設立し、海外展開のスタートを切った。中期計画で売上高1000億円構想を掲げるユーキャンにとって、目標の達成には新規事業の育成が不可欠だ。中国子会社の董事長も務めるユーキャンの坂西健治常務(=写真)に海外事業の現状や展望について聞いた。
中国政府から〝お墨付き〟中計で100億円以上へ
――いよいよ海外事業が始まる。
「実は、私自身が40年ほど前に先代会長から『日本文化を輸出する』と言われていた。先代会長は華道や茶道などの文化を通信教育で世界に広めたいと考えていて、当時から欧州と米国、アジア3極での展開を描いていた」
――40年越しということになる。
「2年ほど前に策定した中期計画の中で、いよいよ海外事業に本気で取り組むことになり、昔の経緯もあって私が責任者になった。中国進出については知人から四川省成都市の良さを伝えられていたことと、内陸部の南に進出したいという当社の戦略が合致して、紹介してもらったのが成都ウィナーソフトグループだった。2011年夏に成都へ行って以来、率直な対話を重ねた結果、今年1月に折半出資で子会社を設立した」
――当初から合弁を考えていた。
「中国で『教育』という非常にセンシティブな分野に進出するには現地企業との合弁が有利になると判断した。中国で事業を展開する以上、現地の人材が業務を行うべきと考え、8人の従業のうち当社駐在員の1人を除いてみな中国人だ」
――すでに注目を集めていると聞くが。
「中国展開にブランド力は欠かせないが、それには膨大な費用がかかる。漠然とではあるが、中国政府のお墨付きをもらえるのが一番良いと考えていた。そのことを合弁相手に話したところ、偶然にも話が進み出した」
――偶然というと。
「中国では09年11月に商務部と教育部の官庁が連名で、北京の清華大学に社会人向けの職業訓練の仕組み作りを委託している。第三次産業の強化が中国の成長には不可欠で、そのためには人材を育成するしかない。政府が運営する社会人向けの職業訓練学校はたくさんあるが、通う時間がなくて受講生はほとんどいない。そこで、『どこでも勉強できる』という利便性が大事だとなったときに、当社の通信教育を知ったようだ」
――具体的にどこを評価されたのか。
「当社では大量の受講生が同時に受講しても耐えられるシステム設計となっている。こうしたキャパシティーに加え、他社の通信教育講座を比較的簡単に乗せられるシステムであることも評価された」
――その後は。
「結果的に中国政府のお墨付きをもらい、清華大学が発表した職業訓練の仕組みのインフラを成都生涯科技が担うことになった。中国政府推進の下で事業ができる環境にあるのはありがたいこと。スタートするまで気は抜けないが、高い可能性を感じている」
――波及効果も。
「国の政策の一部を担うようになったことで、中国の複数の国営企業から社員向け通信教育システムの引き合いがきた。どこも従業員が100万人を超える大企業だ。教材だけでなく、ウェブを活用した受講者のサポートなど、ハイブリッド型の仕組みも評価された」
――中国で求められる講座は。
「中国進出を念頭に置きながら日本向けに開発したIT系講座として基本情報処理、応用情報処理、プロジェクトマネージャ、システムアーキテクトの4講座を開発しており、中国でも国家試験に対応した講座として9月末には第1弾として始まる。それがそのまま、清華大学が進めるプロジェクトの1分野を担当することになる」
――今後の流れは。
「プロジェクトのポータルサイト『NISO(国家サービスアウトソーシング人材研究院)』を合弁会社で開発している。10月下旬に立ち上げ、主要4カテゴリーのうち「職業訓練」の項目をクリックすると中国子会社のサイトに遷移するようになる。受講の申し込みが始まるのは春節が明ける来年2月中旬くらいだ」
――講座の価格は。
「日本の半値くらいで、例えばプロジェクトマネージャ講座は約4万4000円になる。売値の半分以上が当社に入ってくる契約を結んだ」
――中国での目標は。
「当社はグループでの中期計画の中で売上高1000億円の構想を持つが、中国事業では最低でも100億円(合弁会社で200億円)を目指す。中国での土台固めに力を注ぎながら、来年は米国、再来年には欧州でも通信教育を始めたい。先代会長の思いもあり、3極に進出してはじめて海外展開だと考えている」
――IT系以外に中国での講座開発は。
「中国文化に照準を当て、書道で古い中国の文字『繁体字』を教える講座などを検討している」
――通信教育以外への広がりは。
「有料老人ホーム事業を神戸で展開しているが、中国も高齢者の介護政策を見直してきており、日本での経験を移植することで、中国の高齢者問題にも貢献したい」
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中国政府から〝お墨付き〟中計で100億円以上へ
――いよいよ海外事業が始まる。
「実は、私自身が40年ほど前に先代会長から『日本文化を輸出する』と言われていた。先代会長は華道や茶道などの文化を通信教育で世界に広めたいと考えていて、当時から欧州と米国、アジア3極での展開を描いていた」
――40年越しということになる。
「2年ほど前に策定した中期計画の中で、いよいよ海外事業に本気で取り組むことになり、昔の経緯もあって私が責任者になった。中国進出については知人から四川省成都市の良さを伝えられていたことと、内陸部の南に進出したいという当社の戦略が合致して、紹介してもらったのが成都ウィナーソフトグループだった。2011年夏に成都へ行って以来、率直な対話を重ねた結果、今年1月に折半出資で子会社を設立した」
――当初から合弁を考えていた。
「中国で『教育』という非常にセンシティブな分野に進出するには現地企業との合弁が有利になると判断した。中国で事業を展開する以上、現地の人材が業務を行うべきと考え、8人の従業のうち当社駐在員の1人を除いてみな中国人だ」
――すでに注目を集めていると聞くが。
「中国展開にブランド力は欠かせないが、それには膨大な費用がかかる。漠然とではあるが、中国政府のお墨付きをもらえるのが一番良いと考えていた。そのことを合弁相手に話したところ、偶然にも話が進み出した」
――偶然というと。
「中国では09年11月に商務部と教育部の官庁が連名で、北京の清華大学に社会人向けの職業訓練の仕組み作りを委託している。第三次産業の強化が中国の成長には不可欠で、そのためには人材を育成するしかない。政府が運営する社会人向けの職業訓練学校はたくさんあるが、通う時間がなくて受講生はほとんどいない。そこで、『どこでも勉強できる』という利便性が大事だとなったときに、当社の通信教育を知ったようだ」
――具体的にどこを評価されたのか。
「当社では大量の受講生が同時に受講しても耐えられるシステム設計となっている。こうしたキャパシティーに加え、他社の通信教育講座を比較的簡単に乗せられるシステムであることも評価された」
――その後は。
「結果的に中国政府のお墨付きをもらい、清華大学が発表した職業訓練の仕組みのインフラを成都生涯科技が担うことになった。中国政府推進の下で事業ができる環境にあるのはありがたいこと。スタートするまで気は抜けないが、高い可能性を感じている」
――波及効果も。
「国の政策の一部を担うようになったことで、中国の複数の国営企業から社員向け通信教育システムの引き合いがきた。どこも従業員が100万人を超える大企業だ。教材だけでなく、ウェブを活用した受講者のサポートなど、ハイブリッド型の仕組みも評価された」
――中国で求められる講座は。
「中国進出を念頭に置きながら日本向けに開発したIT系講座として基本情報処理、応用情報処理、プロジェクトマネージャ、システムアーキテクトの4講座を開発しており、中国でも国家試験に対応した講座として9月末には第1弾として始まる。それがそのまま、清華大学が進めるプロジェクトの1分野を担当することになる」
――今後の流れは。
「プロジェクトのポータルサイト『NISO(国家サービスアウトソーシング人材研究院)』を合弁会社で開発している。10月下旬に立ち上げ、主要4カテゴリーのうち「職業訓練」の項目をクリックすると中国子会社のサイトに遷移するようになる。受講の申し込みが始まるのは春節が明ける来年2月中旬くらいだ」
――講座の価格は。
「日本の半値くらいで、例えばプロジェクトマネージャ講座は約4万4000円になる。売値の半分以上が当社に入ってくる契約を結んだ」
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「当社はグループでの中期計画の中で売上高1000億円の構想を持つが、中国事業では最低でも100億円(合弁会社で200億円)を目指す。中国での土台固めに力を注ぎながら、来年は米国、再来年には欧州でも通信教育を始めたい。先代会長の思いもあり、3極に進出してはじめて海外展開だと考えている」
――IT系以外に中国での講座開発は。
「中国文化に照準を当て、書道で古い中国の文字『繁体字』を教える講座などを検討している」
――通信教育以外への広がりは。
「有料老人ホーム事業を神戸で展開しているが、中国も高齢者の介護政策を見直してきており、日本での経験を移植することで、中国の高齢者問題にも貢献したい」