今後もJADMAの貢献に期待
2013年10月24日 09:50
2013年10月24日 09:50
当時の主要通販実施企業たちが通販の社会的信用の低さなどを憂い、通販市場全体の社会的地位向上を目指して立ち上げた日本通信販売協会(JADMA)が設立30周年を迎えた。JADMAがこれまで通販市場の発展に果たしてきた功績は大きい。通販がまだ世間から認知を受けていない黎明期から、先人たちが自らの手足を縛り、自主規制を行いながら、市場・企業の適正化や健全化を促し行政の過剰な介入を未然に防ぎ、また、活発な会員企業間での情報やノウハウの共有などにより現在の通販市場を作りあげてきたわけだが、この中核的な役割を果たしてきたのがJADMAであり、その功績は誰もが認めるところだろう。
この30年間で通販市場は大きくその姿を変え、また、市場規模も格段に拡大した。そうした市場の発展・拡大はJADMAを中心に、その会員である通販企業が懸命に通販市場の信頼性や地位向上などの市場環境の整備を進めてきたことの上に成り立っていることは間違いない。そのベースがあったからこそ、例えば、今や通販を席巻するインターネットに代表される新しいメディアによる通信販売もスムーズに消費者に受け入れられ、また、急激に世の中に浸透できたわけで、飛ぶ鳥を落とす勢いのネット通販企業もJADMAや通販業界の先人たちの恩恵を受けていることは忘れてはならない。
これまで通販市場の発展や市場整備に多大なる貢献を果たしてきたJADAMAだが、この先の30年に向けて、同団体が今後、果たすべきことや求められる役割とは何なのだろうか。通販市場は30年前と比較して複雑化している。通販にとって「売り場」となるメディア、また市場を構成する事業者も既存通販企業はもちろん、ネット通販専業者や有店舗小売業者、メーカーなど多様化している。かつて通販企業はある程度、利害や求めるものが一致しており、JADMAとしてはその統一された業界利益の代表として、進むべき道を決めることができたわけだ。
しかし、現在では通販メディアも事業者の立場もそれぞれ多様化し、当然のことながら、同じ通販事業者であっても「求めるもの」が大きく異なる。企業間の利害もしかりだが、今後の市場発展のためには、業界団体として「通販の社会的責任」なども考えていく必要があるだろう。また、業界特有の「媒体制作」や「物流」といった技術を後世まで伝え業界全体の発展に寄与する役割も求められそうだ。アウトサイダーも含めた広告表現の適正化の努力を一層強める必要もあろう。過度な規制が生じそうな場合には業界団体として行政と渡り合い、交渉力を発揮し、危機を未然に食い止める役割も一層求められるだろう。
多様化する要求・要望をどう受け止め、どう形にしていくのかJADMAはこれまで以上に難しい舵取りが求められそうだ。しかし、だからこそ通販市場の利益代表団体として今後もJADMAが通販市場になくてはならない存在であるわけで、その重責を背負い、適切に通販市場が進むべき方向を示し、現在、そして未来の会員社とともにこの先30年も通販市場発展に貢献して欲しい。