不当表示撲滅に取り組め

2013年11月14日 10:25

2013年11月14日 10:25

「楽天市場」の「楽天日本一セール」において、不当な二重価格表示を行った疑いのある店舗が含まれていた問題で11月11日、楽天は17店舗が審査を経ることなく元値を大幅に引き上げ、不当な価格表示により商品を出品していたことを明らかにした。また、3店舗が審査に通っていながら、事実上の不当表示を行っていたことも認めた。楽天は消費者の信頼を失いかねない不当表示を排除する仕組みを構築すべきだ。

 楽天によると、審査を経ないで不当な価格表示をしていたのが17店。大きく報じられたシュークリームのほか、スルメイカ、ダイコンの計3店については「新規登録された商品で過去の比較できる元値がなかった場合や、以前からその元値が表示されており、元値の不当な引き上げとセール前の審査で認定できなかった事例」(楽天市場事業PR推進グループ)としている。ただ、卸元が1個260円で販売しているシュークリームを、小売りが1個1200円で販売するとは考えにくい。報道によれば、審査を通った3店への処分はないようだが、果たして消費者は納得するのか。そもそも、新規登録された商品に「通常価格」が存在することが不自然であり、もう少し慎重に対応すべきではなかったか。

 本紙では今年6月から楽天市場における「二重価格表示」問題を取り上げてきた。楽天では本紙の問い合わせに対し「出店者には適切な販売活動をするよう調査・働きかけをしている」「問題が発覚した場合には厳正な対処を断行している」などと回答してきた。「日本一セール」での不当表示が大手マスコミで取り上げられたことで調査を実施した形だが、今に始まった問題ではないのだ。今回のセールでも公式サイトで紹介された、タイムセール商品に不当表示の疑いがあることが本紙調査で分かっている。セールの「顔」ともいうべき商品に不当表示の疑いがあるのでは、楽天がこれまで行ってきた対策の実効性を疑わざるをえない。

 最大の責任が不当表示を行う業者にあるのはもちろんだ。とはいえ、こうした形で楽天市場がやり玉に挙げられると、ネット販売自体の信頼性が損なわれかねず、法を守っている事業者の活動にも影響が出かねない。現に、一般用医薬品のインターネット販売に関する薬事法改正案問題で、甘利経済再生担当相が今回の不当表示問題を引き合いに出したという報道があった。「ネット販売に規制をかけるな」という真っ当な主張まで色眼鏡をかけて見られてしまう恐れがある、ということを楽天や三木谷氏は自覚すべきだ。

 また、楽天は有効な再発防止策を講じるとともに、今後のセールについても見直すべきではないか。在庫処分などを除けば「普段の半額以下」などという商品を店舗がたくさん用意するのは難しい。表示に対する消費者の目が厳しくなることは確実で、これまでのやり方では店舗が参加しにくくなることも考えられる。

 ただ、こうした不当表示は楽天だけの問題ではない。ネット販売黎明期から続いている問題ともいえる。業者の意識改善はもちろんのこと、「見て見ぬふり」をせず、業界全体で対策に取り組むべきだ。

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