景表法の課徴金導入はやめよ
消費者委員会の景品表示法への課徴金導入に関する専門調査会が5月28日に公表した「とりまとめ案」にはがっかりだ。そもそも景表法への課徴金導入、特に不実証広告への導入については通販事業者の営業活動の萎縮を招きかねず、そうした事業者の実情を把握していないメンバーのみで議論が進む「導入ありきの議論」については危惧してきた。これについては5月初旬に日本通信販売協会も意見表明を行っているが、今回の「とりまとめ案」でも不当表示(優良・有利誤認)だけでなく不実証広告に関しても課徴金の対象にすべきとした。ただ拙速に結論付ける話の進め方は到底、納得できない。繰り返すが、課徴金の導入は通販事業者のビジネス活動を委縮させるだけであり、抑止効果などのメリットよりも弊害の方が大きい。調査会は現実に目を向け、実情に即した議論を進めるべきだ。
「とりまとめ案」は確かに評価できる部分もある。例えば、課徴金については措置命令とは別とし、効能・効果に関する合理的根拠の資料などが一定期間内に提出されなかった場合に課すものとすべきだとしている。加えて、取引業者の虚偽の説明などを信じ、意図的でなく結果として不当表示に至ったケースなどの場合は「一定の注意義務」を果たしていると判断されれば、課徴金を徴収しない例外も認める方向性も考えられるとした。さらに課徴金の納付命令後も裁判で争うことができるというような規定を設けるべきだとも指摘している。これらについては一定の評価はできよう。ただし、これらについても最悪、景表法に課徴金が導入された場合の最低限のセーフティーネットであるだけだ。また、表示の根拠が合理的であるか否か、注意義務を果たしていたか否かの判断を行うのは所詮は行政サイドであり、ブラックボックスだ。また、裁判で課徴金処分を争えるようにするというが、現実問題として目を付けられれば、やっかいな存在である行政サイドに戦いを挑む無謀な事業者がどれだけいるというのだろうか。
景表法への課徴金導入には改めて反対だ。繰り返しになるが、確認犯的に誇大広告を繰り返す悪徳業者への抑止力という意味では確かに一定の効果を発揮することになるかもしれないが、それ以上に通販企業を含む一般のまっとうな事業者の広告宣伝活動を委縮させるだけであり、むしろデメリットの方が大きい。課徴金の導入を実現するべく、様々な"特例"を設けたところで、多くの事業者は景表法に課徴金が導入されれば「萎縮」してしまう。金額によっては事業継続が困難になる可能性があるからだ。そうなれば表示を厳密にチェックする作業を強いられ、多額のコストが発生するなどし、成長分野であった通販市場の失墜を招きかねないのではないか。
行政の本来的な役割は過度な規制を課すことではなく、事業者のビジネス活動を後押しし、国内事業を拡大させることではないか。不当表示被害への対応も別段、課徴金が導入されずとも、まっとうな事業者であればすでに返品返金を行っている。少なくとも現段階で景表法への課徴金導入は差し控えるべきだ。
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「とりまとめ案」は確かに評価できる部分もある。例えば、課徴金については措置命令とは別とし、効能・効果に関する合理的根拠の資料などが一定期間内に提出されなかった場合に課すものとすべきだとしている。加えて、取引業者の虚偽の説明などを信じ、意図的でなく結果として不当表示に至ったケースなどの場合は「一定の注意義務」を果たしていると判断されれば、課徴金を徴収しない例外も認める方向性も考えられるとした。さらに課徴金の納付命令後も裁判で争うことができるというような規定を設けるべきだとも指摘している。これらについては一定の評価はできよう。ただし、これらについても最悪、景表法に課徴金が導入された場合の最低限のセーフティーネットであるだけだ。また、表示の根拠が合理的であるか否か、注意義務を果たしていたか否かの判断を行うのは所詮は行政サイドであり、ブラックボックスだ。また、裁判で課徴金処分を争えるようにするというが、現実問題として目を付けられれば、やっかいな存在である行政サイドに戦いを挑む無謀な事業者がどれだけいるというのだろうか。
景表法への課徴金導入には改めて反対だ。繰り返しになるが、確認犯的に誇大広告を繰り返す悪徳業者への抑止力という意味では確かに一定の効果を発揮することになるかもしれないが、それ以上に通販企業を含む一般のまっとうな事業者の広告宣伝活動を委縮させるだけであり、むしろデメリットの方が大きい。課徴金の導入を実現するべく、様々な"特例"を設けたところで、多くの事業者は景表法に課徴金が導入されれば「萎縮」してしまう。金額によっては事業継続が困難になる可能性があるからだ。そうなれば表示を厳密にチェックする作業を強いられ、多額のコストが発生するなどし、成長分野であった通販市場の失墜を招きかねないのではないか。
行政の本来的な役割は過度な規制を課すことではなく、事業者のビジネス活動を後押しし、国内事業を拡大させることではないか。不当表示被害への対応も別段、課徴金が導入されずとも、まっとうな事業者であればすでに返品返金を行っている。少なくとも現段階で景表法への課徴金導入は差し控えるべきだ。