楽天は営業体制を見直せ
2014年06月12日 14:30
2014年06月12日 14:30
本紙では5月、楽天の仮想モール「楽天市場」に現在出店、過去に出店していた企業を対象に、「楽天のECコンサルタントから不当表示の提案があったか否か」についてアンケートを実施した。その結果、53店舗が楽天社員から不当表示の提案を受けていた疑いのあることが分かった。こうした回答がすべて仮に事実であれば不当表示の提案が組織的に行われていた疑いがあると言われても仕方あるまい。楽天はこうした疑念を生じさせないためにも、改めて二重価格問題の再調査と社員の管理・教育を徹底すべきではないか。
楽天は4月、同社ECコンサルタントが、不当な二重価格を設定するように楽天市場出店者に指示していたと一部報道機関が伝えことを受けて、出店者への調査を実施した。その結果、不当な二重価格の「提案」を行ったECコンサルは、対象となる661名のうち18名、当該社員がこうした提案を行った店舗は合計28店舗だったと公表していた。しかし、本紙調査では不当表示の提案を受けた店舗数が倍近くに達した。
数字が乖離した理由として考えられるのは回答者を明らかにする「記名式」という楽天の調査方法ではなかろうか。実際、匿名を前提に実施した本紙調査では異なる結果となっており、また、本紙調査に回答した店舗からは「記名調査なので回答することによる不利益を恐れた」という声が少からず聞かれた。楽天は、自分たちの調査が必ずしも事実を正確に把握できていない可能性があることを認識すべきではないか。
そして、不当表示に関する楽天社員の関与についても再度、見直す必要があるのでないか。楽天は先の調査で、対象となる社員18人の所属と提案の時期などにばらつきがあること、ECコンサルタントへのヒアリング調査からも組織的な指示があったことを示す事実がないと判断したという。しかし、今回の本紙調査の回答を分析する限り、そうとも言い切れない可能性もある。
例えばある店舗は、楽天が店舗向けに実施した無料セミナーで不当表示の提案を受けたという。「(不当表示をしている店舗は)良く売れているため、まねて販売するように教えられた」というものだ。また、「通常販売しているページのコピーを作り、定価を上げてセールに参加してほしい」という趣旨のアドバイスがあったという回答が複数店舗からあり、組織的な提案も疑われる。
これらが仮に事実であれば不当な二重価格表示を「テクニック」として店舗に推奨していたことを示唆するものではないか。楽天の調査でどのような事例が「不当表示の提案」として認定されたのかは不明だが、こうした声が挙がっている以上、ECコンサルタントの営業実態を精査し、公表すべきであろう。
楽天は今回の問題の幕引きを図るべく、不当な二重価格を防止するための施策を打ち出しているが、本紙調査では「楽天の事後処理や対応」に関する店舗からの不満が聞かれ、「過剰規制」ではないかとの指摘もある。店舗に負担を求めるような規制を強化する前に、楽天は組織や営業体制に問題がなかったか、いま一度総括すべきではあるまいか。