通販企業は二次流通に取り組め

2014年08月21日 16:28

2014年08月21日 16:28

通販企業は衣料品を販売するだけでなく、古着の回収や販売といった「二次流通」にも積極的に取り組むべきだ。企業の社会的責任が当たり前のように求められる中で、他業態の大手小売りに比べて通販企業の二次流通に対する取り組みは必ずしも十分とは言えないであろう。CSRの観点からは食品の廃棄問題と同様に衣料品の廃棄問題も深刻化しており、年間約100万トンの衣類が焼却処分されているというデータもある。販促面でも、例えば大型家具などを販売する通販企業は商品を届ける際に不用品を引き取ることで新品の購入を後押しする手法が一般的になっているが、服についても昨今の住宅事情もあってクローゼットに空きスペースを作るためにも、古着の引き取りなどは必要と言えそうだ。

 衣料品メーンの大手小売りは古着の回収に積極的で、ファストファッションのH&Mは実店舗全店に古着回収ボックスを設置。自社商品に限らず、服であれば穴が開いていたり、シミがあっても受け付ける。状態の良いものは古着として世界各地で販売され、状態の悪い古着は他の布製品に加工されたり、繊維としてリサイクルされて車の制振材などに生まれ変わるようだ。ユニクロは自社商品に限定して全商品を対象に店舗で引き取り、難民や災害時の救援衣料などに役立てているという。

 大手通販企業では、以前からカタログハウスが繊維リサイクル業のナカノを通じ、衣類だけでなくカーテンや毛布なども引き取っている。最近では、中古ブランド品や古着の買い取り、販売を手がける企業と組み、宅配キットで顧客から不用になったブランド品などを引き取って、査定と買い取りはリユース企業が行い、通販会社は買取額に応じて次回の買い物に使えるポイントやオンラインクーポンを顧客に付与する取り組みが増えつつある。千趣会は昨年8月にコメ兵と提携してブランド品の買い取りサービス「うるらく」をスタートしたほか、今年7月にはディノス・セシールも「ディノス」事業で中古ブランド品の販売・買取サイト「ブランディア」と連携を始めた。衣料品ネット販売専業では、以前からマガシークがリサイクルショップ運営のトレジャー・ファクトリーと提携してファッション商材の買い取りサービスを展開している。

 一方、服の二次流通をビジネスチャンスととらえ、一歩踏み込んだのが衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイだ。11年6月にオークションサイト運営のクラウンジュエルを完全子会社化し、通販サイト内に人気ブランドを中心に扱う古着専門店「ゾゾユーズド」を開設して古着の買い取りと販売を開始。「ゾゾユーズド」は14年3月期に約23億円を売り上げ、今期は40億円を計画するなど好調を維持しているようだ。

 最近では一部の通販会社もリユース企業と組んで古着の回収や買い取りを始めているが、日本通信販売協会が公表している会員企業150社の売上高調査において、13年度の「衣料品」売上高は全体の約22%を占める主力商材であることからも、二次流通にはさらに積極的にかかわっていく必要がありそうだ。

カテゴリ一覧