共通ポイントとの争いを注視せよ

2014年10月23日 10:26

2014年10月23日 10:26

共通ポイントを巡って各勢力間でのシェア争いが激化している。これまでカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)傘下の「Tポイント」と三菱商事系の「Ponta(ポンタ)」が先行していたが、楽天が10月1日に共通ポイントサービスに参戦し、「Rポイントカード」を開始した。近年では"ポイント"による販促力や新規開拓効果などを高めるべく、ニッセンやネットプライスなど自社ポイントを共通ポイントに切り替える通販企業も出てきているが今後もそうした事例は増えそうだ。通販企業は共通ポイントのシェア争いの行方を注視していく必要がありそうだ。

 共通ポイントの"強さ"の指標の1つとなるのは「会員数」と「加盟店数」となるが、新たに参戦した「Rポイント」は楽天が展開するポイントサービス「楽天スーパーポイント」が基盤となっており、すでに楽天会員の約9400万人が「会員数」と同義ともいえ、一定数の利用者をすでに確保していると言える。

 また、加盟店数も仮想モール「楽天市場」の出店者約4万2000店という存在に加え、今回、リアル店舗も多数参画し、スタート時点ではサークルKサンクス、J・フロントリテイリングなど12社・団体が加盟店となり、合計約1万2600店の実店舗でも使用可能となった。「Rポイント」の場合、加盟店は自社ポイントとの併用も認めており、また、「1業種1企業」といった縛りもない。さらに「楽天の持つビッグデータには圧倒的なパワーがある。プライバシーを侵害しない範囲で、パーソナライズされたマーケティングサービスを提供していく。楽天のメールマガジン購読者やアプリ利用者は多く、セールなどを通知する能力は他のポイントサービスより優れているのでは」(三木谷会長兼社長)とし、加盟店には"縛り"を強めず、また、マーケティングデータの付与、販促手段の提供というメリットでさらにその版図拡大を図る考えだ。

 とは言え、先行者の牙城は固い。「Tポイント」の直近1年間で利用実績があり、かつ複数枚の「Tカード」保有者の重複分を除いたアクティブ・ユニーク会員数はすでに5000万人を突破。加盟店数もネットではヤフーなど、リアルではファミリーマートやTSUTAYA、変わったところでは地域の商店街なども導入しており、ネットとリアル合計で23万店超まで拡大、先行メリットも相まって生活に密着した幅広い分野で利用可能な共通ポイントの地位を確かなものにしている。「ポンタ」もすでに会員数は6000万人を超え、加盟店もローソンやゲオ、そして来春にもリクルートグループのポイントが統合される見込みで着実に勢力を伸ばしている。

 オムニチャネル時代を迎え、通販企業もカタログ、ネット、店舗など各販路を複合的に考えた販売戦略が必要となるが、その際、共通ポイントはチャネル間をつなぐ1つの手段になり得る可能性を秘める。ポイントの効果性向上も含め、今後、自社ポイントを廃し、共通ポイントに切り替える通販事業者が増えそうだが、どの勢力に乗るべきか。慎重な見極めが必要となりそうだ。

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