通販協は質を伴う拡大目指せ
6月4日、日本通信販売協会(JADMA)の通常総会が開かれ、新会長にファンケルの宮島和美会長が選任された。前回は、会長就任を固辞する通販事業者トップが相次ぐという事態の中で、大学教授の上原征彦氏が会長に選任されたという経緯があったが、通販業界を発展させようと考えるのであれば、業界から会長が出てしかるべきだろう。その意味で今回のJADMA会長人事は、通販業界からリーダー役が出たことにより、本来あるべき姿に戻ったわけだ。会員企業の伸び悩みが続く中、新体制となったJADMAの今後の取り組みが注目されよう。
宮島新会長の就任に対し期待を寄せる通販関係者は少なくない。というのも年々拡大を続け4兆円規模を超えた通販市場にあって、業界団体としてのJADMAの存在感が薄れていたからだ。実際、この数年は会員企業数が伸び悩んでおり、現状506社に止まっている。この背景には、通販市場拡大のけん引役でもあるネット販売事業者の取りこぼしなどがあると見られるが、一番の問題は、こうした事業者がJADMAへの加盟メリットを感じられないということだろう。
この点については、宮島会長としても危機感を持っており、就任会見で具体的な施策として法律相談と広報機能の強化と、会員のウォンツを吸い上げ、それに則した対応を行っていく意向を表明した。これを足掛かりに会員組織の拡大につなげる考えだが、同時に質を伴った会員組織作りにも目を配る必要もあろう。これは既存会員への対応の部分もあるが、JADMAに加盟していなくてもコンプライアンス意識等の高い事業者についてはフォローを行い、加盟に必要な力をつけさせることも重要ではないか。難しい面はあるだろうが、こうした取り組みを通じ、質の高い会員組織ができれば、JADMAマークに対する消費者の信頼感が高まり、選択の基準にもなる。ひいては通販事業者の間にJADMA加盟を目指すという流れを作ることにもつながるはずだ。
一方、懸念事項として挙げられるのは行政の横槍だ。通販業界が目立てば行政が新たな規制をかけてくることは想像に難くない。その意味では、行政に対し業界としてものを言っていかなければならない場面が出てくるはずだ。この点については、宮島会長自身が消費者庁の検討会委員を務め、対外的に通販業界としての意見を述べることの場数を踏んでいる。行政への対応についても期待したい。
通販は数少ない成長分野で、高齢化社会に対応した販売チャネルとしても有望視されており、参入を目指す企業も未だに後を断たない。インターネットなどの新たなメディアの台頭によるところは大きいが、国内の通販の歴史を振り返っても、恐らく今ほど期待感を持って注目されたことはあまりないだろう。
こうした状況を考えれば、通販業界は今、産業としての地位を確立できるかどうかの潮目にあると言ってもいい。その中でJADMAが果たすべき役割は重要だ。その意味でも、強い会員組織作り上げ、存在感を示していかなければならない。
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宮島新会長の就任に対し期待を寄せる通販関係者は少なくない。というのも年々拡大を続け4兆円規模を超えた通販市場にあって、業界団体としてのJADMAの存在感が薄れていたからだ。実際、この数年は会員企業数が伸び悩んでおり、現状506社に止まっている。この背景には、通販市場拡大のけん引役でもあるネット販売事業者の取りこぼしなどがあると見られるが、一番の問題は、こうした事業者がJADMAへの加盟メリットを感じられないということだろう。
この点については、宮島会長としても危機感を持っており、就任会見で具体的な施策として法律相談と広報機能の強化と、会員のウォンツを吸い上げ、それに則した対応を行っていく意向を表明した。これを足掛かりに会員組織の拡大につなげる考えだが、同時に質を伴った会員組織作りにも目を配る必要もあろう。これは既存会員への対応の部分もあるが、JADMAに加盟していなくてもコンプライアンス意識等の高い事業者についてはフォローを行い、加盟に必要な力をつけさせることも重要ではないか。難しい面はあるだろうが、こうした取り組みを通じ、質の高い会員組織ができれば、JADMAマークに対する消費者の信頼感が高まり、選択の基準にもなる。ひいては通販事業者の間にJADMA加盟を目指すという流れを作ることにもつながるはずだ。
一方、懸念事項として挙げられるのは行政の横槍だ。通販業界が目立てば行政が新たな規制をかけてくることは想像に難くない。その意味では、行政に対し業界としてものを言っていかなければならない場面が出てくるはずだ。この点については、宮島会長自身が消費者庁の検討会委員を務め、対外的に通販業界としての意見を述べることの場数を踏んでいる。行政への対応についても期待したい。
通販は数少ない成長分野で、高齢化社会に対応した販売チャネルとしても有望視されており、参入を目指す企業も未だに後を断たない。インターネットなどの新たなメディアの台頭によるところは大きいが、国内の通販の歴史を振り返っても、恐らく今ほど期待感を持って注目されたことはあまりないだろう。
こうした状況を考えれば、通販業界は今、産業としての地位を確立できるかどうかの潮目にあると言ってもいい。その中でJADMAが果たすべき役割は重要だ。その意味でも、強い会員組織作り上げ、存在感を示していかなければならない。