通販協は変革し市場を導け
6月11日に経済産業省が公表した「消費者向け電子商取引実態調査」によると、ネット販売市場を構成する事業者の8割が年商3000万円以下であるという。「2〓8の法則」よろしく極少数の大手通販事業者の売上高が市場規模の大半を占めているとは言え、同市場は非常に多くの小規模な事業者によって構成されている。売上規模だけでなく、それぞれの立ち位置もまた様々である。アマゾンのようなネット販売専業社、ユニクロなどの有店舗小売業者、カタログ系通販企業やメーカーなど当たり前の話だが立場によって、それぞれにとって必要な情報や戦略、抱えている課題もまた異なるわけだ。
多様な事業者で構成される現在の通販市場、通販業界を取りまとめる役割を担う業界団体、日本通信販売協会(JADMA)は先日、新たな会長にファンケル会長の宮島氏を向かえ、同氏を中心に「変革」を表明。通販市場を取り巻く環境や前述したように同市場を構成する事業者の多様化によって、現行の協会の活動では通販事業者のニーズを満たすことができず、事業者にとって加盟するメリットが少なく、結果として業界の取りまとめ役になり得なくなる危機感から、手始めに広告表示に関する関連法の相談対応の強化を進めるなど通販事業者にとって価値のある業界団体となるべく、動き始めた。
こうしたJADMAの変革の動きに通販事業者から歓迎する声が多く出てきている。しかし一方で、「法律相談だけでは全く足りない」「本当に我々のニーズを理解できるのか」というJADMAの変革に対して不安視する声が早くも加盟社、また、今後、加盟しようと考える新規の通販実施企業から多く出てきている。
確かに事業者からこうした声があがるのは理解できる。通販市場は多様な立場の事業者によって構成されている一方、JADMAの中心メンバーはいわゆるカタログ通販企業がメーン。彼らが求める「ニーズ」は必ずしも新規に通販を開始した、例えばネット販売専業社にとって最優先に必要なニーズではないかも知れない。その逆もしかりだ。その際、どのようにそれぞれの「ニーズ」に優先順位をつけながら対策を考え、サポートや情報提供などをどう具現化していくのか。そうした作業は非常な困難が予想されるからだ。
ただし、変革への不安の声はJADMAに期待するからこそ。インフラやデバイスの発達、社会環境の変化で成長し、今後もより一層の拡大が期待される通販市場だが、それだけに一定の秩序は必要である。また、成長市場には必ず行政から厳しい監視の目が向けられ、無用な規制がかけられる可能性もある。通販市場の構成メンバーは多様なのかも知れないが、消費者から、また行政からすれば否が応でも通信販売は通信販売である。それぞれが団結して事に当たらねば、市場の健全さは担保できず、結果的に規制を呼び込み、市場の発展を阻害してしまう。それだけにJADMAの変革には期待したい。事業者の多様なニーズを汲み取り、既存、新規の通販業者にとって加盟に値する必要な団体に変わって欲しい。通販市場のより良いこれからを導くには強い業界団体が必要だ。
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確かに事業者からこうした声があがるのは理解できる。通販市場は多様な立場の事業者によって構成されている一方、JADMAの中心メンバーはいわゆるカタログ通販企業がメーン。彼らが求める「ニーズ」は必ずしも新規に通販を開始した、例えばネット販売専業社にとって最優先に必要なニーズではないかも知れない。その逆もしかりだ。その際、どのようにそれぞれの「ニーズ」に優先順位をつけながら対策を考え、サポートや情報提供などをどう具現化していくのか。そうした作業は非常な困難が予想されるからだ。
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