通販実施企業の顧客情報の漏えいが相次いでいる。7月には通販保険大手のアリコが、先月は大手芸能事務所のアミューズの通販サイトから、今月も三菱商事の通販子会社であるデジタルダイレクトの通販サイトからもクレジットカード情報を含む顧客情報の漏えいが発覚。情報漏えいが発覚した企業はその都度、「再発防止に向け、対策を徹底したい」などと繰り返すが、カードの不正利用などの実害が出ていることは無論のこと、知名度の高い企業からの相次ぐ顧客情報の漏えいだけに、消費者の通販に対する信頼を大きく毀損する可能性が高い。当該企業は自社だけの問題と捉えるのではなく、通販業界の今後の浮沈を左右しかねない事態に陥らせてしまったことを認識して、猛省すべきであろう。
しかし、一方で腑に落ちないのは、なぜ、通販企業からの顧客情報の漏えいが絶えないのかということ。内部犯行の可能性が高いアリコのケースは別として、アミューズやデジタルダイレクトの顧客情報漏えいの原因は運営する通販サイトが海外から不正アクセスを受け、情報を盗み取られるというものだ。同手法による顧客情報の漏えい事件はここ数年で急増しており、その危険性は当の通販企業も認識しているはずで、事前に対策は施せたはずである。それにも関わらず、同じ手法で個人情報が漏えいしてしまっている事態は消費者から怠慢と非難されても仕方あるまい。
通販サイトの安全対策の遅れは、資金面や手間、そして「うちだけは大丈夫」という根拠不明の思い込みがあるようだ。確かに万全なセキュリティ対策を施そうとすれば、少なくないコストを投じる必要があろう。また、以前から通販サイトを構える企業の場合、開発時にぜい弱なウェブアプリケーションを使用していることが多いため、対策を講じるためには、あらゆる箇所をチェックする必要があるなど、膨大な手間がかかることは言うまでもないであろう。
しかし、これだけ通販サイトの顧客情報漏えい事件が多発している状況にあって、対策にかかる多額のコストや手間を前に、労を惜しみ、「今までも問題なかったから大丈夫」などと楽観している場合ではあるまい。今やセキュリティ対策の甘い通販サイトは悪質な海外のハッカーから、狙い打ちにされており、いつ顧客情報が盗み取られてもおかしくはない。「対岸の火事」と問題視していないと、近いうちに手痛いしっぺ返しを喰うことになりかねない。
一旦、事が公になれば、渋っていたセキュリティ対策費は無論のこと、顧客への説明や対応、そして売り上げを支えてくれた既存顧客の信用を一気に失うことになる。また、個人情報が流出した通販企業で商品を購入しようと思う消費者はまずいなくなる。つまり、未来の顧客をも失うことになり、それこそ、関連するコストや損失は事業基盤を揺るがすほど甚大な額となるだろう。
使い勝手の改善や集客策、販促策など通販サイトにはいくらでもやらねばならない事項がある。しかし、安全対策はそれらの優先事項を上回る最優先事項と認識しなければならない時期に来ている。
通販実施企業の顧客情報の漏えいが相次いでいる。7月には通販保険大手のアリコが、先月は大手芸能事務所のアミューズの通販サイトから、今月も三菱商事の通販子会社であるデジタルダイレクトの通販サイトからもクレジットカード情報を含む顧客情報の漏えいが発覚。情報漏えいが発覚した企業はその都度、「再発防止に向け、対策を徹底したい」などと繰り返すが、カードの不正利用などの実害が出ていることは無論のこと、知名度の高い企業からの相次ぐ顧客情報の漏えいだけに、消費者の通販に対する信頼を大きく毀損する可能性が高い。当該企業は自社だけの問題と捉えるのではなく、通販業界の今後の浮沈を左右しかねない事態に陥らせてしまったことを認識して、猛省すべきであろう。
しかし、一方で腑に落ちないのは、なぜ、通販企業からの顧客情報の漏えいが絶えないのかということ。内部犯行の可能性が高いアリコのケースは別として、アミューズやデジタルダイレクトの顧客情報漏えいの原因は運営する通販サイトが海外から不正アクセスを受け、情報を盗み取られるというものだ。同手法による顧客情報の漏えい事件はここ数年で急増しており、その危険性は当の通販企業も認識しているはずで、事前に対策は施せたはずである。それにも関わらず、同じ手法で個人情報が漏えいしてしまっている事態は消費者から怠慢と非難されても仕方あるまい。
通販サイトの安全対策の遅れは、資金面や手間、そして「うちだけは大丈夫」という根拠不明の思い込みがあるようだ。確かに万全なセキュリティ対策を施そうとすれば、少なくないコストを投じる必要があろう。また、以前から通販サイトを構える企業の場合、開発時にぜい弱なウェブアプリケーションを使用していることが多いため、対策を講じるためには、あらゆる箇所をチェックする必要があるなど、膨大な手間がかかることは言うまでもないであろう。
しかし、これだけ通販サイトの顧客情報漏えい事件が多発している状況にあって、対策にかかる多額のコストや手間を前に、労を惜しみ、「今までも問題なかったから大丈夫」などと楽観している場合ではあるまい。今やセキュリティ対策の甘い通販サイトは悪質な海外のハッカーから、狙い打ちにされており、いつ顧客情報が盗み取られてもおかしくはない。「対岸の火事」と問題視していないと、近いうちに手痛いしっぺ返しを喰うことになりかねない。
一旦、事が公になれば、渋っていたセキュリティ対策費は無論のこと、顧客への説明や対応、そして売り上げを支えてくれた既存顧客の信用を一気に失うことになる。また、個人情報が流出した通販企業で商品を購入しようと思う消費者はまずいなくなる。つまり、未来の顧客をも失うことになり、それこそ、関連するコストや損失は事業基盤を揺るがすほど甚大な額となるだろう。
使い勝手の改善や集客策、販促策など通販サイトにはいくらでもやらねばならない事項がある。しかし、安全対策はそれらの優先事項を上回る最優先事項と認識しなければならない時期に来ている。