決済規制議論の再燃を許すな

2010年10月07日 10:30

2010年10月07日 10:30

コンビニエンスストア店頭での各種料金収納代行の事業者団体・日本代理収納サービス協会(代理収納協会)が9月27日、正式に発足を発表した。収納代行に関する調査研究や広報、指針の策定などを主な活動内容としたもので、収納代行業者と収納窓口となるコンビニエンスストア本部を中心に構成する。コンビニ店頭の料金収納代行は、通販事業者にとっても欠かせない決済手段であるだけに、事業者自らがより安全なサービスの利用環境作りに動き出したことは評価したい。
 
収納代行を巡っては、一時、金融庁が銀行法で規定する為替取引の疑義があるとして、規制をかけようとする動きを見せていたが、代理収納協会発足の本質的な狙いは、この問題への対応がある。

 規制自体は、収納代行は商取引に伴う代理受領と主張する収納代行業者や経済産業省の反発もあり、導入が見送られた。だが、金融庁は依然、収納代行に為替取引の疑義があるとの見方を崩しておらず、何か問題が発生すれば規制議論を再燃させてくる可能性が高い。このため、代理収納協会を軸に収納代行業界として自主的に環境整備に取り組むことで、金融庁による規制議論の再燃を回避しようというわけだ。

 収納代行に規制が加われば、事務処理や対応コストなど、収納代行業者側の負担が増えるだけではなく、サービスを利用する通販事業者や顧客にも、利用料金の上昇や利便性の低下などの悪影響が出る恐れがある。その意味で代理収納協会の発足は、通販業界としても前向きに捉えていいだろう。

 だが、今後、代理収納協会がリーダーシップを発揮していく上で、幾つか課題もある。そのひとつは、金融系やシステム系など素性が異なる収納代行業者の意見を協会としてまとめられるかだが、さらに重要なのは、収納代行業者をどれだけ組織化できるかだろう。

 この点については、コンビニ本部と直接契約を結ぶ1次収納代行業者全てが同協会に加盟する見通しだが、1次収納代行業者のサービスを活用して事業を行う二次収納代行業者については、企業数などの実態が把握しきれていない。

 収納代行ついては、顧客への2重請求の防止や事業者自身が破綻した場合の対策、あるいは悪質なサービス利用事業者を排除するための審査体制の整備といった問題が指摘されているが、こうした課題を解消するためには、2次収納代行業者を協会に取り込み、対応の徹底を図っていくことが不可欠になるはずだ。

 商品代金の決済は通販を構成する重要な要素であり、サービスを提供する収納代行業者は、通販業界を構成するプレーヤーという側面もある。その意味では、日本通信販売協会との連携の方向性なども検討すべき課題だろう。代理収納協会では、これから具体的な活動テーマを決め、来年度から本格的な活動を始める意向だが、金融庁に規制議論を再燃させる隙を与えないような取り組みを進めていくことが期待される。そのためには、まず収納代行業者自身が通販業界のプレーヤーの一員という意識を持つことが必要だ。

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