ベルーナのカタログ通販が「収益性重視」に舵切り、採算合う規模に軟着陸

2025年08月27日 16:17

2025年08月27日 16:17

 ベルーナのカタログやチラシなど紙を使った通販を中心とした、アパレル・雑貨事業を取り巻く状況が厳しさを増している。2025年3月期の同事業のセグメント赤字は16億9600万円だった。赤字幅は縮小したものの、各種費用の上昇など環境は悪化する一方。同事業においては今後、収益性を最優先する方針だ。一方、ホテルなどの「プロパティ事業」や、化粧品・健康食品通販や食品通販、看護師向け通販などの「専門通販事業」を軸に、全社ではさらなる成長を目指す。

〈通販新聞 9月4日付 第2004号 (2025年8月28日発行) 1面〉


 「商売は70~80点の仕事で儲けが出ないと駄目。現状、カタログ通販は120点を取らないと黒字にならない」。安野清社長はこう言って渋面を作る。「なぜ70~80点かというと、そのレベルなら毎年取れるので、事業に継続性がある。120点はもし取れたとしてもあくまで一過性だ」。

 同社の前期アパレル・雑貨事業の売上高は、前期比0・8%増の748億3600万円、セグメント損益は16億9600万円の赤字(前年同期は29億9200万円の赤字)だった。円安や原材料・資材価格高騰を受けて仕入れ原価が上昇。紙代・印刷代も値上がりしたため、収益性を重視し紙媒体の発行数量を減らすなど広告宣伝費の抑制を図った。新 規顧客数は獲得効率が改善したことにより増加したものの、稼働顧客数は既存顧客のリピート率が計画に届かず横ばいとなったが、赤字幅は縮小している。

 連結業績は売上高が前期比1.2%増の2108億5600万円、営業利益は同21.5%増の118億8700万円で増収増益だった。安野社長は「カタログ通販はサンセット・インダストリー(衰退産業)。用紙代と印刷代、運賃が上がった上に、急激な円安の直撃を食らったことが大きい。加えて、EC化の進展で紙を使った通販への需要も減っている。ホテル事業と専門通販事業、データベース活用事業でカバーすることで帳尻を合わせた。つまり、本業が移り変わっているということだ」と前期を振り返る。

この続きは、本記事のご購入後に閲覧いただけます。

¥550 (税込)

年間購読者の方は、電子版(PDF)でご覧ください。

カテゴリ一覧