JIHFSが輸入原料のGMP本格運用 10月に初認証、品質の向上図る

2025年10月15日 16:09

2025年10月15日 16:09

 日本健康食品規格協会(=JIHFS)が 輸入原材料GMPの運用を本格化する。機能性表示食品は、制度改正でGMPの義務化など品質管理の水準が上がる。輸入原材料は、国内に流通する製品の7~8割程度に使われているとみられるが、品質担保が難しい。認証を通じて健康食品の信頼回復につなげる。


 10月1日には、原料商社の中原が輸入販売するグルコサミン(D-グルコサミン塩酸塩)を認証した。輸入原材料GMPの認証は初めて。

 JIHFSは、国内原材料、製品の品質担保を目的に「製造工場単位」でGMP認証を行ってきた。ただ、近年、海外でしか入手できない原料や安価な輸入原材料が増え、市場に浸透している。海外の製造工場は、品質の同一性の確認や監査が難しいことから「品目単位」で書面監査を中心に認証する。

 輸入原材料GMP(GMP-IM)は、海外の製造工場の製造管理の状況、品質管理方法・管理体制の適否、GMPの運用状況を輸入販売事業者が提出した書面、データで確認する。輸入販売事業者に対する実地監査も行い審査する。

 とくに輸入原材料は、輸送中の品質の劣化、異物混入の懸念があることから、製造元が発行した品質規格、品質試験の妥当性を検証し、輸入後の原材料を使用した解析結果との同一性を評価する。市販後も必要に応じて検証できるよう検体の保管を求める。3年毎の更新時に行う実地監査と書面監査で、認証の継続性を維持する。

 今年4月の機能性表示食品の制度改正では、GMPの義務化などの届出要件が新たに加わった。品質管理にでは、製造における原材料の受入れ段階で、同一性等を確認する試験が必要になる。現在は経過期間だが、来年9月以降、国よる工場監査も始まり、問題があれば指示・命令の対象になる。

 業界団体は、「原料受入れ試験」を念頭に独自のチェックシートを策定するが管理項目が細かく、実効性を発揮できるか未知数だ。

 このため、販売企業が「届出者」である場合も、実務では専門的知見を持つOEM企業が担保するケースが増えるとみられる。一方、数百以上の原料を扱う製造企業が、ロット単位で各原料の品質を確認するのは難しく、負担も増える。

 JIHFSは今年4月、GMP審査委員長を務めている袴塚高志氏(元国立医薬品食品衛生研究所生薬部室長)が副理事長に就任した。現在、健食の「原料GMP」は20工場、「製品GMP」は30工場を認証する。輸入原材料を含め取り組みを強化し品質管理の水準を高める。

 医薬品のGMPは、国、販売事業者による海外工場の監査など、国際基準を前提に厳格な品質管理が求められている。健食は、輸入品を含む原材料や製品のGMP適用は「望ましい」とするにとどまるが、要求される水準は高まっている。

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