キューサイがプラットフォーム事業に参入した。ウェルエイジングの実現に向け、パートナー企業との「共創」で多様な商品サービスを展開する。2030年を最終年度とする中期計画では、24年比で約3割増の330億円の売り上げを目指す。単品通販モデルから脱却して事業成長を図る。
10月29日から新サービス「myme(マイミー)」のβ版(=画像)の展開を始めた。来年中に運用を本格化する。
「マイミー」は、生活習慣の提案と商品・サービスの両面からアプローチするモデル。顧客データ等をもとにAIが生成した〝未来の自分〟との対話を通じて適した生活習慣、商品の提案を行う。ユーザーがアンケートに答えることでエイジングの進行の程度を把握し、必要に応じて遺伝子検査も提供する。健康行動アプリや医療機関等による指導より親しみが感じられるとみる。
商品は、雑貨や美容、リラクゼーションサービス、フィットネス、趣味や旅行などライフスタイル関連で、パートナー企業を募り、共創プラットフォームを構築する。現在は、17社が参加。将来的に300社の参加を目指す。
パートナー企業は、「商品提供」、「サービス連携」、「健康経営等の導入企業」で募る。強みを持つヘルスケア・スキンケア領域を含め、ウェルエイジングの観点から連携する。パートナー企業には、新たな顧客接点、テスト販売、ユーザーの関心や購入、リピート等を実証できる事業機会を提供する。自社によるプロモーションやパートナー企業との連携により、将来的に800万人(新サービスの登録案内数)への案内を行う。
キューサイは、これまで健康食品や化粧品を中心に、「単品通販モデル」で事業展開してきた。約46万人の顧客基盤を築き、インフォマーシャルに強みを持つ。ただ、既存モデルだけで「(中期計画の)達成に向けた成長は難しい」(石川順朗社長)とみる。持続的な成長に向け、中計では同モデルからの脱却を進める。
すでにマルチチャネル化、マルチプロダクト化を進めていた。近年はドラッグストア販路の開拓に注力。ヘルスケアで約1万店舗、スキンケアで約4000店舗に流通する。商品数は、800SKUを超える。
24年12月期の売上高は約255億円。今期売上は260億円半ば、利益は5・4億円の上積みで増収増益を見込んでいる。
「マイミー」では、コンセプトをウェルエイジングに絞り、専門性が高い新たな価値創出を目指すことで、大手プラットフォームと差別化を図るとみられる。2025年問題を背景にした年齢にネガティブな感情を持つ「セルフエイジズム」について「消費、労働、社会活動の意欲減退につながる」(同)と社会課題と捉える。
ウェルエイジングを意識した商品・サービスの市場を7400億円と試算する(22年、自社調べ)。年間約13万円をウェルエイジングにかけると試算する。
キューサイの新事業
事業規模、売上の1割目指す
キューサイは今年10月に創業60周年を迎えた。その節目に新事業を立ち上げた。石川順朗社長、山田淳史副社長兼営業戦略本部長に聞いた。
◇
――新サービスに対する投資方針は。
山田「非開示だが、サービスの認知、パートナー企業との連携に向けてPRを継続する」
――通販事業に上乗せして投資する。
山田「そうなる。時期は精査中。認知に向けた動画タイアップ等を予定する。導入企業の社員、顧客への案内で利用を図る」
――800万人に登録案内を行う。登録者の目標は。
山田「来年の製品版展開時点で1万人のユーザー獲得を目指す。800万人への案内は3年後(29年中)までに行う」
――独自の強みは。
山田「3つある。一般的なサービスは他者の指導・励ましで行動変容を促す。『マイミー』は未来の自分からパーソナライズされたメッセージが届く共生型対話AIの仕組みで最適な生活習慣を発見でき、持続可能な行動変容を実現する」
「2つ目は、生活習慣の行動変容に向けた共創プラットフォ―ム。ユーザー、企業、社会の三者に価値を生み出す構造で、参加企業に新規顧客との接点、自然な購買動機の創出、クイックなテスト販売の面でメリットを提供できる」
「3つ目は単なる生成AIを用いたチャットボット、セルフチェックではなく、医療機関・専門家の監修、科学的根拠に基づき信頼できる測定で答えを発見できる」
――アプリによる提供も行うのか。
山田「将来的な選択肢として検討している」
――現在パートナー企業は17社。どう評価している。
山田「順調な進捗。今後は規模拡大を図る」
――初年度の品目数は。
山田「現状は51商品。3年をめどに500商品を目指す」
――化粧品、サプリメントの競合企業の参画は。
石川「相談させていただきながらになる」
――パートナー企業へのデータ提供は。
山田「慎重な取り扱いが必要なものはあるが、マーケティング支援の観点で検討している」
――事業の収益化はどう行う。
山田「前提として収益化ではなく、パートナー企業と共通テーマで社会にメッセージを発信することが目的。PF利用料、特別なサービスに対するユーザー課金、サブスクリプションなどを検討しているが反応をみて検証・設計する。セルフエイジズム解消による社会の活性化、ウェルエイジング文化の醸成の観点では、将来的に売り上げの約10%の規模(24年実績で約25億円)が当社、社会への事業インパクトの目安になると思う」
――社会に発信したいメッセージは。
石川「単なる新規事業ではない。人が前向きに歳を重ねる世界を実現するという社会課題への取り組み。ウェルエイジング№1企業を目指しチャレンジしたい」
――競合はプラットフォーム企業かアプリ開発企業か。
山田「健康支援のサービスは多く存在するが『マイミー』は健康行動アプリ等と異なる。類似のサービスは国内にないと認識している」
キューサイがプラットフォーム事業に参入した。ウェルエイジングの実現に向け、パートナー企業との「共創」で多様な商品サービスを展開する。2030年を最終年度とする中期計画では、24年比で約3割増の330億円の売り上げを目指す。単品通販モデルから脱却して事業成長を図る。
「マイミー」は、生活習慣の提案と商品・サービスの両面からアプローチするモデル。顧客データ等をもとにAIが生成した〝未来の自分〟との対話を通じて適した生活習慣、商品の提案を行う。ユーザーがアンケートに答えることでエイジングの進行の程度を把握し、必要に応じて遺伝子検査も提供する。健康行動アプリや医療機関等による指導より親しみが感じられるとみる。
商品は、雑貨や美容、リラクゼーションサービス、フィットネス、趣味や旅行などライフスタイル関連で、パートナー企業を募り、共創プラットフォームを構築する。現在は、17社が参加。将来的に300社の参加を目指す。
パートナー企業は、「商品提供」、「サービス連携」、「健康経営等の導入企業」で募る。強みを持つヘルスケア・スキンケア領域を含め、ウェルエイジングの観点から連携する。パートナー企業には、新たな顧客接点、テスト販売、ユーザーの関心や購入、リピート等を実証できる事業機会を提供する。自社によるプロモーションやパートナー企業との連携により、将来的に800万人(新サービスの登録案内数)への案内を行う。
キューサイは、これまで健康食品や化粧品を中心に、「単品通販モデル」で事業展開してきた。約46万人の顧客基盤を築き、インフォマーシャルに強みを持つ。ただ、既存モデルだけで「(中期計画の)達成に向けた成長は難しい」(石川順朗社長)とみる。持続的な成長に向け、中計では同モデルからの脱却を進める。
すでにマルチチャネル化、マルチプロダクト化を進めていた。近年はドラッグストア販路の開拓に注力。ヘルスケアで約1万店舗、スキンケアで約4000店舗に流通する。商品数は、800SKUを超える。
24年12月期の売上高は約255億円。今期売上は260億円半ば、利益は5・4億円の上積みで増収増益を見込んでいる。
「マイミー」では、コンセプトをウェルエイジングに絞り、専門性が高い新たな価値創出を目指すことで、大手プラットフォームと差別化を図るとみられる。2025年問題を背景にした年齢にネガティブな感情を持つ「セルフエイジズム」について「消費、労働、社会活動の意欲減退につながる」(同)と社会課題と捉える。
ウェルエイジングを意識した商品・サービスの市場を7400億円と試算する(22年、自社調べ)。年間約13万円をウェルエイジングにかけると試算する。
キューサイの新事業
事業規模、売上の1割目指す
◇
――新サービスに対する投資方針は。
山田「非開示だが、サービスの認知、パートナー企業との連携に向けてPRを継続する」
――通販事業に上乗せして投資する。
山田「そうなる。時期は精査中。認知に向けた動画タイアップ等を予定する。導入企業の社員、顧客への案内で利用を図る」
――800万人に登録案内を行う。登録者の目標は。
山田「来年の製品版展開時点で1万人のユーザー獲得を目指す。800万人への案内は3年後(29年中)までに行う」
――独自の強みは。
山田「3つある。一般的なサービスは他者の指導・励ましで行動変容を促す。『マイミー』は未来の自分からパーソナライズされたメッセージが届く共生型対話AIの仕組みで最適な生活習慣を発見でき、持続可能な行動変容を実現する」
「2つ目は、生活習慣の行動変容に向けた共創プラットフォ―ム。ユーザー、企業、社会の三者に価値を生み出す構造で、参加企業に新規顧客との接点、自然な購買動機の創出、クイックなテスト販売の面でメリットを提供できる」
「3つ目は単なる生成AIを用いたチャットボット、セルフチェックではなく、医療機関・専門家の監修、科学的根拠に基づき信頼できる測定で答えを発見できる」
――アプリによる提供も行うのか。
山田「将来的な選択肢として検討している」
――現在パートナー企業は17社。どう評価している。
山田「順調な進捗。今後は規模拡大を図る」
――初年度の品目数は。
山田「現状は51商品。3年をめどに500商品を目指す」
――化粧品、サプリメントの競合企業の参画は。
石川「相談させていただきながらになる」
――パートナー企業へのデータ提供は。
山田「慎重な取り扱いが必要なものはあるが、マーケティング支援の観点で検討している」
――事業の収益化はどう行う。
山田「前提として収益化ではなく、パートナー企業と共通テーマで社会にメッセージを発信することが目的。PF利用料、特別なサービスに対するユーザー課金、サブスクリプションなどを検討しているが反応をみて検証・設計する。セルフエイジズム解消による社会の活性化、ウェルエイジング文化の醸成の観点では、将来的に売り上げの約10%の規模(24年実績で約25億円)が当社、社会への事業インパクトの目安になると思う」
――社会に発信したいメッセージは。
石川「単なる新規事業ではない。人が前向きに歳を重ねる世界を実現するという社会課題への取り組み。ウェルエイジング№1企業を目指しチャレンジしたい」
――競合はプラットフォーム企業かアプリ開発企業か。
山田「健康支援のサービスは多く存在するが『マイミー』は健康行動アプリ等と異なる。類似のサービスは国内にないと認識している」