楽天の「楽天市場」海外事業者の出店加速、店舗1千超 販促支援武器に

2025年12月19日 12:16

2025年12月19日 12:16

 楽天グループでは、海外から商品を個人で輸入するユーザーの増加を受けて、海外事業者の出店を加速化させる。仮想モール「楽天市場」における海外事業者数は今年1000店舗を突破。現在は年間150店舗ペースで出店者が増えているが、今後は店舗の増加ペースを3〜4倍まで伸ばしたい考えだ。


1219153450_6944f20aa57d1.jpg コマース&マーケティングカンパニー楽天市場海外営業戦略部の金谷崇史ヴァイスジェネラルマネージャー(=写真)は、海外事業者の出店を推進する理由について「新規顧客の獲得と、既存顧客のロイヤル化だ」と説明。例え楽天市場では近年、韓国コスメの販売を強化しており、韓国事業者の出店による品揃え充実が新規顧客獲得につながっているという。


 同モールで海外事業者の出店が始まったのは2015年。今年1〜11月の店舗数・流通額はともに2桁成長を記録している。現在出店可能な国・地域は22で、中国、韓国、アメリカの順に多いという。今年9月にはベルギー、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、スイスと、ニュージーランドからの出店が可能になった。段階的に出店可能国を解禁することで、モールの安全性を維持しながら、店舗や商品のバリエーションを拡大している。


 出店審査は厳格に行っており「楽天市場のユーザーが期待しているサービスレベルを提供できる事業者を獲得する」(金谷氏)のが指針だ。具体的には日本語対応や、競合プラットフォームでの販売実績などを審査基準にしている。


 海外業者が楽天市場に出店申し込みをしてから開店・店舗運営におけるまで、全工程で英語・中国語・韓国語でサポート。さらに開店前後に、バイリンガルの専任コンサルタントがサポート。店舗運営システム「RMS」やウェブ帳票閲覧システムなど、店舗運営に必要なツールも多言語対応している。配送面では、出店者の物流業務を請け負う「楽天スーパーロジスティクス」において、国内の在庫保管・配送を行う。


 また、同社では有名店舗が講師(リーダー店舗)となり、他の出店店舗にネット販売に関するノウハウを伝授する企画「NATIONS(ネーションズ)」を開催しているが、来年3月からは海外事業者を対象とした「ネーションズグローバル」を開始する予定。まずは中国からスタートし、他の国や地域でも行う。中国事業者向け講座は、すでにリーダーも決まっており約20店舗が参加する予定という。


 韓国コスメを販売する「VTcosmetic」では、店舗限定オファーと積極的なSNSマーケティングにより、「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー」を3年連続で受賞。同モールにおいて最も売れている韓国コスメブランドへと成長したという。


 国内における他のプラットフォーマーと比較した場合、国や地域ごとのサポート体制を整えていることや、ECコンサルタントによる販促支援がある点が強みとなる。金谷ヴァイスジェネラルマネージャーは「日本全国の楽天会員にアプローチできることや、グループサービスの多さも強み」とする。楽天市場という販売チャネルだけではなく、日本国内におけるマーケティング活用やブランディングができる場として、グループのソリューションを海外事業者に活用してもらいたい考えだ。


 特に伸びている中国事業者の出店においては、深圳や広州の事業者を中心に営業活動を行ってきたが、今後は他の地域での営業を強化。現地での勉強会やセミナーを開催する。

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