フェリシモで人間国宝のアトリエが監修の紬織手機作品をプリント化

2026年02月12日 15:45

2026年02月12日 15:45

 フェリシモは1月22日、ファッションブランド「el:ment(エル:メント)」における新商品を発表した。ともに取り組みを行った「アトリエシムラ」は、染織家で人間国宝の志村ふくみさんの芸術精神を受け継ぐ染織ブランド。アトリエシムラ監修のもとでエル:メントがデザインを行い、ワンピースとイヤカフの2点を発売した。


0212154419_698d76c3caf49.jpg フェリシモでエル:メント企画を担当する蜂谷華穂ディレクターは「商品販売を通して、伝統産業を支援する仕組みを作りたいと考えていた。この商品をきっかけに、手機織りの芸術世界や伝統産業に興味を持ってくれる方が増えると嬉しい」と取り組みのきっかけを語った。

 アトリエシムラの代表を務めるのは、志村ふくみさんの孫である志村昌司さん。昌司さんは、ふくみさんが過去に織りためてきた裂(きれ=織った布地の切れ端)をデータ化し、芸術世界に触れられるようさまざまなアイテムに展開していきたいと考えていたそう。「気候や生活スタイルの変化により、着物を着る人の数は年々減っている。新たに日常に寄り添ったアイテムが作りたいと考えるようになった」(昌司さん)。

 第1弾商品となる「染織家・志村ふくみさんのテキスタイル まとえる美術品プリントワンピース」(=画像、税込3万800円)は、ふくみさんの2作品「色と光のこころみ」「紫白段(むらさきしろのだん)」からそれぞれインスピレーションを受けて制作された。数百点にのぼるアーカイブ作品から、この2柄が選出されたという。

 「色と光のこころみ」はふくみさんにとってターニングポイントとなった作品で、ゲーテの色彩論に感銘を受けて制作されたもの。「紫白段」に用いられた紫は、冠位十二階の最高位の色として知られる。ふくみさんが幼少期を過ごした武蔵野が紫草の自生地だったという背景も選出の決め手となったようだ。

 ワンピースの他には、「植物の生命の色で染めたシルク糸遣い 桐生刺しゅうイヤカフの会」(同6600円)を販売する。アトリエシムラが草木染めしたシルク糸を使い、花モチーフの刺しゅうイヤカフに仕上げた。刺しゅうを手掛けたのは、織物の産地として有名な群馬県桐生市にある村田刺繍所。デザインは「ミモザ」「桜」「ヒヤシンス」の3種類となる。

 商品の開発に要した期間は約1年。蜂谷ディレクターは、「裂の持つ空気感や、手紡ぎ糸の質感を再現するのが難しかった。衣類は、フェリシモのお客様にも人気の商品カテゴリで、テキスタイルのダイナミックさを最大限に表現でき、どこか着物を思わせるワンピースを選んだ」と企画を振り返った。

 エル:メントのカタログでは、志村ふくみさんの芸術精神や、作品の背景にあるストーリーまで丁寧に伝えることを意識したという。今回の商品が掲載された2026年春号では、アトリエシムラとの取り組みを筆頭に、「たがやす」というテーマで誌面を制作。「写真と思いを一度に伝えられるメディアとしてカタログは優れている。私たちの思いを丁寧に伝えてくださるのはフェリシモさんの魅力だと感じた」(昌司さん)。

 今回はアトリエシムラとの初の取り組みとなるが、「第2弾以降の商品開発も視野に入れている」(蜂谷ディレクター)という。

カテゴリ一覧