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新型コロナでニーズ拡大か<広がるECでの「置き配」> 楽天やアマゾンも積極展開

2020年 4月23日 13:30

 再配達の数を減らす試みとして注目されている「置き配」。プラットフォーマー各社の自社配送サービスにおいても利用が広がっており、楽天の「楽天エクスプレス」では利用が急増しているほか、アマゾンジャパンでも置き配を30都道府県の一部地域で標準配送としている。新型コロナウイルスの感染拡大で、対面での受け取りを忌避する消費者も増えており、今後ますます利用が広がりそうな置き配。各社の取り組みと課題を探った。 
 




利用率10倍超に買い物カゴ実装へ


 楽天では2016年から自社配送サービス「楽天エクスプレス」を展開している。「楽天ブックス」や「爽快ドラッグ」「楽天24」といった直販で扱う商品のほか、出店者の物流業務を請け負うサービス「楽天スーパーロジスティクス」利用店舗の荷物出荷も行っている。

 これら荷物の配達時の置き配に対応したのは18年6月のこと。サービス開始時に比べると、10倍以上の利用率だという。特に直近では、新型コロナウイルス感染拡大の影響から、対面での荷物の受け取りを避けようとする動きが加速しており、利用率は平時の1・5倍程度まで高まっている。さらに「在宅時でも非対面で荷物を受け取りたい」という顧客からの声に対応し、訪問時に顧客からの要望があった場合、その場の置き配も期間限定で始めた。

 荷物の紛失・盗難に関しては「今のところゼロ」(執行役員コマースカンパニーロジスティクス事業ディレクターの滝澤志匡氏)。その理由について、滝澤執行役員は「置き配できる商品を1万円以下に限定しているほか、時間指定した上での置き配を可能にしているため、荷物の滞留時間が少ない点が大きいのではないか」と推測する。

 とはいえ「本当に盗まれないのか」というユーザーの不安があるのも事実。そこで同社では、4月20日~6月19日までYperが提供する置き配バッグ「OKIPPA」と組んだキャンペーンを開始する。デザインを楽天バージョンにしたOKIPPAを、抽選で1万名にプレゼントするというもので、キャンペーンを通じて「置き配が安全に利用できる」ことをアピールしていきたい考えだ。

 実際に盗難・紛失が発生した場合はどう対応するのか。同社では「荷物を届けた時点で所有権が注文者に移転する」と認識しており、こうした事態が発生した場合はユーザーが警察に盗難届を出すことになる。その上で、キャンセル・再注文を選ぶという流れだ。そのため、在庫が少ない商品に関しては置き配対象として選べないようにしているという。

 滝澤執行役員は「今のところ配送事故はないが、今後置き配を選べる商品の上限金額を徐々に上げていく予定で、置き配がもっとスタンダードになったらどうなるか分からない部分もある。『事故時はユーザー負担』ではなく『当社負担』に変える必要もあるだろう」と語る。

 一方で、その場合は取り込み詐欺などのリスクも出てくる。現状でも荷物を置いた場所の緯度・経度情報をログとして残しているほか、配達時の写真も撮影しており、こうした情報を活用しながらリスクを下げていきたい考えだ。滝澤執行役員は「各社で対応が違うとユーザーも混乱するので、業界として事故時のルールを決めた方が良いのではないか」と提言する。

 現在、楽天ブックスにおいては、注文時から配達方法として置き配を選ぶことができる。その他の直販サービスについては、配送前のメールからの指定となっているため、今後は買い物カゴを改装することで置き配をもっと使いやすくしていきたい考えだ。さらに、当日・翌日配送へのニーズも高まっており、例えば夕方以降に注文があった商品を、翌日朝に置き配で届けるなど、よりユーザーが利便性を感じられる仕組みも導入していく。

 ヤマト運輸でECソリューション課長を務めた経験もある滝澤執行役員は「今までの宅配サービスは『個人が個人に送る』のが主流だったが、ネット販売は自分が注文した商品を受け取るわけだ。何が届くか分かっている以上、今後は置き配や宅配ロッカーが主流になるのではないか」と予測する。

30都道府県で置き配を標準に

 アマゾンジャパンもすでに置き配の対応を始めている。これまで一部の地域で実験的に導入してきたが3月23日からはむしろ、標準配送を置き配にするというチャレンジングな試みを展開し始めた。配送方法の初期設定を「玄関先に配達する置き配」として、顧客から指定がない場合は留守、在宅問わず、玄関先に商品を届けるものだ。

 同日から置き配を標準配送として導入したのは東京、北海道、愛知、大阪、福岡など30都道府県の一部地域。なお、東京23区は全区が対象となっている。対象となる商品はアマゾンが配送を委託している業者のうち、ヤマト運輸や日本郵便などの大手配送業者を除く、「デリバリープロバイダ」と呼ばれる中小規模の配送業者および「アマゾンフレックス」と呼ばれるアマゾンが直接、配送業務を委託している個人事業主のドライバーが運ぶ荷物となる。同社の物流代行サービス「FBA」を活用していればアマゾンのマーケットプレイスに出店して商品を販売する出品事業者の商品についても置き配に対応するようだ。

 配送方法について顧客が何らかの指定を行わない限り、不在・在宅問わず、顧客宅の玄関先に商品を配達する。置き配の配達場所は標準設定では玄関だが、顧客が事前に指定した場合、配送ボックスやガスメーターボックス、自転車のかご、車庫、建物内受付/管理人にも対応する。天候やそのほかの事情で指定場所に配達できない場合は配送員が顧客に連絡し配送方法を相談するという。

 なお、従来の標準配送であった対面受け渡しにも対応する。

 置き配による配送を完了後、配送員が専用タブレットで撮影した商品を配達した場所の写真とともに顧客に配達完了メールで通知する。また、利用者はアマゾンのサイト内の配達状況確認ページでも確認できるという。

 なお、アマゾンでは置き配によって、荷物が盗難にあったり、配送完了後も商品が顧客の手元に届いていないなどのトラブルがあった場合は同社が補償するよう。「お客様から状況を伺い、商品の再送や返金する」(同社)としている。事故による返金、商品の再送のための詳しい条件については明らかにしていないが、「(事故が起きた場合)これまでお客様に商品の再送や返金をしなかったケースはない」(同)としており、事実上、置き配に関わるトラブルについては完全補償を行なっているようだ。

 同社では昨年11月に岐阜・多治見市で、また今年1月に都内の一部(江東区、文京区、練馬区)や大阪市内(都島区、西淀川区、生野区)の一部、名古屋市、札幌市でそれぞれ約1カ月間にわたって置き配を標準の配送方法として利便性や効果などを検証する実証実験を実施。その結果、それぞれの地域で期間中、通常時と比べて5割の再配達削減につながるなど効果があったことなどから本格的に置き配の標準配送化に踏み切ったようだ。同社では配送コスト削減を図る狙い。また、顧客の利便性アップや配送員の負担軽減、配送時の二酸化炭素排出削減による環境負荷軽減などにもつなげたいとしている。

 スタート時点では30都道府県にとどまる置き配の対象エリアについても徐々に他地域へ広げていく考えだ。 



盗難対応や大手宅配の取組み
<置き配普及の課題は?>



  今後、普及が加速すると見られる置き配だが、課題も少なくない。盗難や個人情報漏洩の懸念などだ。また、大手宅配便会社で置き配に積極的に取り組んできたのは日本郵便だけであり、同社以外の宅配便事業者の取り組みも普及に向け不可欠となる。

 置き配に関しては昨年3月に国土交通省や経済産業省などが「置き配検討会」を立ち上げ、これまで5回の会合で通販企業や宅配便事業者などが討議してきた。今年3月末の第5回会合では宅配便の置き配を実施するに当たっての留意点に関する「置き配の現状と実施に向けたポイント」を策定。それによると、盗難の懸念・防止策・対応策、不在を示すサインとなりかねないこと、外装表示によるプライバシー保護への対応などを課題としてあげた。

 それぞれの課題については法的側面からや、実施する上での対応策について触れており、対応策の方では通販企業などの取組事例を紹介。楽天やアマゾンジャパン、日本郵便、簡易宅配ボックス「OKIPPA(オキッパ)」を展開するYper(イーパー)などの施策を紹介し課題クリアのケーススタディーとして取り上げた。

 一方、日本郵便以外の宅配便事業者の置き配への取り組み姿勢も変化が見られる。これまで消極的だったヤマト運輸だが、親会社ヤマトホールディングスの長尾裕社長は1月23日の会見で「ただ単にサービス提供する側の不在にしたくないという論理での置いて帰るというのでなく、受け取り側のニーズに沿って、安全性をある程度担保する仕組みも併せて提供できるのであれば、必要なのではないか」とコメントし、置き配を行う意向のあることを示した。佐川急便も一部で置き配の実証実験に参加するなどしており、大手3者が取り組むようになれば、通販企業側でも置き配に対応するところが増えることになる。 
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