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専門家に聞く ヤフーとグーグル、検索で連携での通販事業者への影響は?

2010年 8月 5日 10:15

"ヤフー依存"のEC事業者は要注意、小手先では難しいグーグル対策

 ヤフーは7月27日、検索サービスでグーグルと提携すると発表した。年内をメドに、検索エンジンと検索連動型広告配信システムをグーグルのエンジンとシステムに切り替える予定だという。搭載される検索エンジンが変わる以上、「ヤフーの検索サービス」に対して、新たな対策が必要になる可能性は高そうだ。検索エンジンマーケティングに詳しいアウンコンサルティングの棚橋繁行取締役兼常務執行役員(=写真)にネット販売実施企業に与える影響と採るべき対策について聞いた。
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――今後、ヤフーの検索対策はどうすべきか。

 SEO(検索エンジン最適化)のベースはリンクされている数などいくつかの要素で検索順位が決定されるなど、対象エンジンによって多少の差異はあるが、基本は同じだ。ただし、これまでヤフーの検索は『リンク集』を作り、リンク数を増やすなど簡単な対策で検索結果を上位にできた。一方、グーグルの場合は精度がしっかりしており、付け焼刃の施策では簡単には上位に表示されにくい。なので、グーグル対策は手間とコストがかかる。そういったことで現状、ヤフーの検索対策のみしか実施していないEC事業者は多いのではないかと思う。無論、これまでは日本最大のポータルサイトであるヤフーを押さえておけばいいと割り切ることもできたが、今後は、グーグルのエンジンがヤフーの検索サービスに採用される以上、グーグル対策は避けて通れなくなるだろう。

――ヤフーの検索対策しかしていない通販事業者は、とりあえず何からすればよいか。

 まずは事態の把握だ。現時点でグーグル検索で自社サイトの検索順位がどのくらいの位置にいるのか、関連キーワードを入力して、把握しておいた方が良い。その上で実際にどういった対策が必要でどうやればよいのか、投資の規模などを調べておく必要がある。また、アクセス解析を入れてあれば、現状、ヤフー検索から流入がどれだけあって、グーグル経由はどうなのかなどの現状把握は必要。ヤフー経由の流入が大半でグーグル経由の流入がヤフーよりも著しく少ない場合は抜本的な対策と新たなコスト負担がかかってくる可能性がある。

――どういうことか。

 先ほどこれまでのヤフーの検索対策は比較的、簡単だといった。例えば、SEOでは非常に重要であるサイトへのリンク数を増やすために、リンク集を作って、リンクさせたりすると、検索順位が上がるが、こういう意図的な対策はグーグルでは意味がないどころか、かえってマイナスになる。こういったマイナスになるリンクをはずさなければいけないが、SEO代行業者などに対策を任せているサイトはどこからリンクさせているのかわからないところも多そうで混乱が起こりそうだ。

 あとはやはり、対策の費用だ。『ヤフー対策』を専門にやるSEO業者の料金は月々数千円、数万円と格安だ。これは繰り返しになるが、対策が比較的、簡単だからだ。ただ、グーグルのSEOは手間がかかるので、その分、業者にお願いすればコストもかかる。

――検索連動型広告については。ヤフーの「スポンサードサーチ」はグーグルの「アドワーズ」に吸収されるのか。広告主はグーグルのアドワーズからヤフーにも出せるようになる?

 それはない。スポンサードサーチは残したまま、裏側の仕組みにアドワーズのテイストが入ってくるはず。ヤフーに検索連動型広告を出したければ、ヤフーのスポンサードサーチに申し込みが必要だ。

――リスティング広告の出稿際のガイドラインは同じになる?

 それもないだろう。ガイドラインはあくまでも、各社の考えが反映される。システムが同じだから、検索順位のロジックとか、数字集計のロジックなどでアドワーズの仕組みが反映されるだけで、ガイドラインも同じになることはないはずだ。特にヤフーはこれまでも厳しかったし、掲載基準は変わらないと思う。

――広告料金はどうか。

 裏側のシステムが同じになることで、ヤフーとグーグルの検索連動型広告料金の乖離は少なくなるかもしれない。単価を決めるロジックが一緒になるので。ただ、ヤフーがグーグルの検索エンジンを採用したからといって、ヤフーの利用者数は変わらない。むしろ、使い勝手が良くなり増えると思うので、キーワードによっては高くなったりする可能性はある。


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