「通販番組批判」など無視せよ
改正放送法に伴う省令で総務省がテレビ局各局に課した「番組の種別ごとの放送時間の公表」が始まった。地上波およびBS各局は半年ごとに放送した番組を教養、教育、報道、娯楽、その他、通販の6種別に分けて、それぞれの放送時間を公表するよう義務付けられており、その初回の公表が11月初旬までに各局で行われた。それによるとBS局は総じて通販番組の放送割合が高く、最も多いのはグループの通販専門放送局のQVCジャパンの番組を流すワールド・ハイビジョン・チャンネル(WHC)で半数弱が通販番組だった。この数値を巡って、早くも「通販番組が多すぎる」などの声があがり始めているようだが、飛んだ茶番である。総務省や一部の消費者団体により恣意的に作られた「世間からの批判」などテレビ局は無視すべきだ。安易な自主規制など行なえば、それこそ思うツボである。
番組の種別ごとの放送時間の公表は「通販番組が多すぎる」という一部の消費者や消費者団体からの意見に応じて、総務省が通販番組の総量規制を検討したが、民間の放送局の番組内容に注文をつけることは「表現の自由」を侵害する恐れもあるため、まずはあくまで次期BS放送の参入条件に限定するという形で「広告放送(通販番組)を全体の放送時間の3割以下にする」とし、総務省として「基準」を内外に示した上で、次の手として、改正放送法に伴う省令で番組種別ごとの放送時間の公表を各局に義務付けたわけだ。
総務省はあくまで「放送法に定めのある『番組調和原則』の適正な履行を確保する目的で通信販売番組に対して何ら規制を課すものではない」とするが、放送法での番組種別は教育・教養・報道・娯楽とCMなどを含むその他と規定しており、通販は含まれていない。「通販番組」を単独で公表しなければならないとしていることからも、それはおためごかしに過ぎないことは明白だ。
今回、公表された各局の通販番組の放送時間の数値を見て、特にそれがWHCのように総放送の半数近くを占めていれば、多くの人が「通販番組は多すぎる」と感じることは当然のことだ。総務省はそうした世間の声を世論として、放送局にプレッシャーをかけつつ、暗に示していた「通販番組は総放送時間の3割以下」という基準に地上波およびBS局を含めた既存のテレビ局を従わせたい考えだと見られる。
これまでも繰り返し述べてきたが、通販番組であろうと何であろうと、番組の内容に行政が口出しすべきでない。通販の総量をどうするかは民間事業者であるテレビ局各局の自由だ。通販番組が視聴されず、売り上げも上がらなければ、おのずと通販番組はなくなる。通販番組が増えているということであれば、それだけ世間が求めているということだ。行政や一部の反対勢力により作り出された恣意的な「世論」を信じるか、市場原理で証明された「世論」を信じるか。過剰な自主規制で元気のない市況下でも成長著しいテレビショッピング市場の今後を潰すことなく、放送と通信の融合でますます密接な関係になりつつあるテレビと通販の両業界の発展を期待したい。
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総務省はあくまで「放送法に定めのある『番組調和原則』の適正な履行を確保する目的で通信販売番組に対して何ら規制を課すものではない」とするが、放送法での番組種別は教育・教養・報道・娯楽とCMなどを含むその他と規定しており、通販は含まれていない。「通販番組」を単独で公表しなければならないとしていることからも、それはおためごかしに過ぎないことは明白だ。
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