通販各社は次代の競争に備えよ
2013年12月27日 11:50
2013年12月27日 11:50
通販新聞がこのほど行った「第61回通販・通教売上高ランキング」調査では、上位300社の合計売上高は前回調査比6・5%増の5兆1183億円となった。今回の調査でも、依然、アマゾンが6200億円でトップを快走し続け、未だ様々な事業者がネット販売に参入している状況をみても、ネット販売が通販市場の拡大をけん引している形だ。この流れは2014年も続くと見られ、ネット販売が日常の生活に密着した商品購入チャネルとして地位を確立することになりそうだ。
これまでネット販売市場は、順調に拡大を続けてきた。その意味では、消費者から商品を購入する場として認知されていることは間違いない。だが、以前の利用ニーズは、どちらかというと趣味嗜好的な要素が強く、日常の生活基盤とまで言いえる存在にはなり切れていなかった。
だが、GMSや食品スーパーがネットスーパー、ネット販売の展開に力を入れ始めたことなどもあり、この1、2年で食品や日用雑貨などをネットで購入する土壌が徐々に整備されてきた。ネット系でもヤフーとアスクルが食品、日用雑貨を扱う「ロハコ」の展開を始めるなど、日常の買回り品をネットで購入するスタイルが定着しようとしている。
14年は、この流れがさらに進むと見られるが、そのけん引役となりそうなのは一般用医薬品を足掛かりとしたドラッグストアなどのネット販売参入だろう。13年1月に第1、2類医薬品のネット販売を一律に禁止する省令は違法とする最高裁判決が出て以降、家電量販店系通販サイトやネット専業販売事業者で医薬品の販売を開始する動きが見られた。一方で、医薬品ネット販売のルールが整備されるまで、ネット販売参入を見合わせる事業者も少なくなかったが、先の臨時国会で一般用医薬品の販売ルールを盛り込む薬事法及び薬剤師法の改正法が成立しており、施行が見込まれる14年春以降、ドラッグストアを中心に医薬品ネット販売への参入が活発化するはずだ。
こうした新規プレーヤーの参入は、ネット販売市場の拡大に寄与するものだが、特に、医薬品や日用雑貨などをメーン商材とするドラッグストアの本格的な参入は、日常生活に密着したチャネルとしてのネット販売の存在感を高めることにもなろう。
さらに、日常生活に密着したチャネルとしてネット販売を一般化させる要因となりそうなのが有力小売事業者の間で広がるオムニチャネルの施策だろう。この一環として13年12月、セブン&アイ・ホールディングスがニッセンホールディングスの買収を発表し話題となったが、実店舗や通販サイト、カタログなどあらゆるチャネルを統合し、その全てで同じ購買経験を提供するオムニチャネルの施策が定着すれば、顧客のネットとリアルの意識的な壁が取り払われ、さらにネット販売が日常的に使われる可能性も考えられる。
今後ネット販売は、日常の生活基盤という新たなステージに向け一層の成長が見込まれるが、この流れが進むにつれ、新規参入事業者や他チャネルとの競合も激化する。既存の通販・ネット販売各社は、次代の競争に備える必要があるだろう。