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参入企業が拡大傾向【Cafe24Japanの正代誠社長に聞く 越境EC事業の現状と展望㊤】 成長市場に台湾やベトナム
Cafe24Japan
越境EC
参入企業が拡大傾向【Cafe24Japanの正代誠社長に聞く 越境EC事業の現状と展望㊤】 成長市場に台湾やベトナム
2023年01月12日 09:31
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2023年01月12日 09:31
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Cafe24Japanでは、国内外向けのECサイト構築サービスの「Cafe24」の導入企業数が拡大している。とりわけ、コロナ特需の反動減で縮小気味の国内EC市場とは対照的に、堅調に拡大する越境EC市場への参入企業が増加。台湾や東南アジアなど新たに成長が見込まれる国・地域も出ている。直近の市場動向や展望について正代誠社長に聞いた。
――昨年の越境EC市場について。
「感覚として、前年と比べると海外に目を向けるプレイヤーが増えたと思う。問い合わせや商談の機会が特に後半ごろから増えた。今までは中小企業が『国内ECが厳しいので海外に』という向きだったが、円安も追い風になって大手上場企業からの問い合わせも来るようになった。
背景には越境ECそのものにスポットが当てられて、関連する講演やメディアでの露出機会が増えたことがある。また、海外市場は未開拓で、これからどんどんいけるのではという認知が広がったことも大きい。加えて、円安にもなり日本商品が安く買えるため、日本の通販サイトを閲覧する海外消費者が増えたことも関係する」
――直近のクライアント企業の成功事例は。
「あるジュエリー企業では前年同期比で売り上げを4倍に増やしたところがある。ここは対象国・地域を絞らずに英語で通販サイトを作っているため、英語圏の多くの国で検索されて、アメリカだけでなく台湾やシンガポールなどからも注文を受けることができている。今後は本格的に台湾向けのサイト構築を考えているようだ」
――近年、海外で好まれている商材は。
「伝統工芸品を扱う企業からの相談も増えた。例えば京都の反物や、歴史的な甲冑などを欧米で売りたいという話がある。日本の伝統工芸品に対する欧米からのニーズが非常に動いていることを感じる」
――越境ECを巡る市場環境としては。
「まず、国内EC市場は、コロナ禍の初年度に新規参入企業が増えて、EC化率が伸長した。伸び率で見ると、2019年は対前年比約6・8%増、20年は同8・1%増、21年は同8・8%増となっている。ただ、想定はしていたが、コロナの感染状況が緩和されていくとすべての人がECのファンではないため実店舗で購入する環境に戻っていき、22年は同7・4%増の伸びに収まるのではと言われている。前年よりもやや鈍化する予想だ。
一方、日本も含めた世界の越境EC市場は22年が同10%増となっているようで、こちらは鈍化の傾向が見られず、まだまだ成長を続けている。海外に行って商品を買う動きがまだそこまで活発になっていないことも関係しているだろう」
――参入を検討する企業からの声は。
「やはり、中国向けの展開を望んでいる話を聞く。実際に有名な化粧品や大手ドラッグストアなどの日本商品を中国で購入するケースは増えており、ドラッグストアの場合はこれまでのインバウンド購入の分が越境ECに置き換わっていっている状況。
ただ、自社通販サイトで販売するとなるとプロモーションや物流面、関税などのハードルもあるため、『アリババ』や『京東』など大手モールに出店して当たりを待つ形になると思う。そうしたことを考えると、自社通販サイトで進めるのであれば、まずは親日家が多くて日本の商品に興味を持っている人もいる台湾や東南アジアから始めて、そこから費用をあまりかけずに徐々に横展開する方法を勧めている」
――東南アジアでの注目国は。
「ベトナムだ。ベトナムを含む東南アジア全域でスマートフォンの普及が進んだことで、5年以上前からEC化率が上がり、国内・越境ECが伸びている。また、GDPも急激に上がっていて今は対前年比で約7・6%増となり、日本以上の伸び率だ。現地では(ベトナム国内よりも高級な)海外製の商品が買いやすい状況になっていると感じる。現地で興味を持たれている商材としては、化粧品やアパレル、衛生関連用品などがある」
――越境ECでの現在の懸念事項は。
「円安になったとはいえ、ウクライナ侵攻の問題などで輸送料金は上がっている。航空輸送の場合は貨物そのものの運賃に加えて燃油サーチャージがかかるため、価格転嫁ができない商品を扱う場合はそれが見えにくい負荷となる。(消費者も)商品価格が円レートで安くなっても、間接費を払うことで結局は高くつく。大型商品や嵩張るものは輸送料に跳ね返るため、そうしたものをメインで扱うところは円安の恩恵をそのまま受けているとは言えないかもしれない。
基本的に燃油サーチャージは輸送距離が離れているところほど影響が出やすい。そのため、欧米向けなどは物流コストが大きくなり、逆に韓国などアジアではそこまで極端に大きな負担にはなっていない。当社の場合、佐川急便が国際物流でパートナーとなっており、特にエリアとして台湾や韓国に強く、そういったこともあってクライアント企業に台湾などを勧めている面もある」(つづく)
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――昨年の越境EC市場について。
「感覚として、前年と比べると海外に目を向けるプレイヤーが増えたと思う。問い合わせや商談の機会が特に後半ごろから増えた。今までは中小企業が『国内ECが厳しいので海外に』という向きだったが、円安も追い風になって大手上場企業からの問い合わせも来るようになった。
背景には越境ECそのものにスポットが当てられて、関連する講演やメディアでの露出機会が増えたことがある。また、海外市場は未開拓で、これからどんどんいけるのではという認知が広がったことも大きい。加えて、円安にもなり日本商品が安く買えるため、日本の通販サイトを閲覧する海外消費者が増えたことも関係する」
――直近のクライアント企業の成功事例は。
「あるジュエリー企業では前年同期比で売り上げを4倍に増やしたところがある。ここは対象国・地域を絞らずに英語で通販サイトを作っているため、英語圏の多くの国で検索されて、アメリカだけでなく台湾やシンガポールなどからも注文を受けることができている。今後は本格的に台湾向けのサイト構築を考えているようだ」
――近年、海外で好まれている商材は。
「伝統工芸品を扱う企業からの相談も増えた。例えば京都の反物や、歴史的な甲冑などを欧米で売りたいという話がある。日本の伝統工芸品に対する欧米からのニーズが非常に動いていることを感じる」
――越境ECを巡る市場環境としては。
「まず、国内EC市場は、コロナ禍の初年度に新規参入企業が増えて、EC化率が伸長した。伸び率で見ると、2019年は対前年比約6・8%増、20年は同8・1%増、21年は同8・8%増となっている。ただ、想定はしていたが、コロナの感染状況が緩和されていくとすべての人がECのファンではないため実店舗で購入する環境に戻っていき、22年は同7・4%増の伸びに収まるのではと言われている。前年よりもやや鈍化する予想だ。
一方、日本も含めた世界の越境EC市場は22年が同10%増となっているようで、こちらは鈍化の傾向が見られず、まだまだ成長を続けている。海外に行って商品を買う動きがまだそこまで活発になっていないことも関係しているだろう」
――参入を検討する企業からの声は。
「やはり、中国向けの展開を望んでいる話を聞く。実際に有名な化粧品や大手ドラッグストアなどの日本商品を中国で購入するケースは増えており、ドラッグストアの場合はこれまでのインバウンド購入の分が越境ECに置き換わっていっている状況。
ただ、自社通販サイトで販売するとなるとプロモーションや物流面、関税などのハードルもあるため、『アリババ』や『京東』など大手モールに出店して当たりを待つ形になると思う。そうしたことを考えると、自社通販サイトで進めるのであれば、まずは親日家が多くて日本の商品に興味を持っている人もいる台湾や東南アジアから始めて、そこから費用をあまりかけずに徐々に横展開する方法を勧めている」
――東南アジアでの注目国は。
「ベトナムだ。ベトナムを含む東南アジア全域でスマートフォンの普及が進んだことで、5年以上前からEC化率が上がり、国内・越境ECが伸びている。また、GDPも急激に上がっていて今は対前年比で約7・6%増となり、日本以上の伸び率だ。現地では(ベトナム国内よりも高級な)海外製の商品が買いやすい状況になっていると感じる。現地で興味を持たれている商材としては、化粧品やアパレル、衛生関連用品などがある」
――越境ECでの現在の懸念事項は。
「円安になったとはいえ、ウクライナ侵攻の問題などで輸送料金は上がっている。航空輸送の場合は貨物そのものの運賃に加えて燃油サーチャージがかかるため、価格転嫁ができない商品を扱う場合はそれが見えにくい負荷となる。(消費者も)商品価格が円レートで安くなっても、間接費を払うことで結局は高くつく。大型商品や嵩張るものは輸送料に跳ね返るため、そうしたものをメインで扱うところは円安の恩恵をそのまま受けているとは言えないかもしれない。
基本的に燃油サーチャージは輸送距離が離れているところほど影響が出やすい。そのため、欧米向けなどは物流コストが大きくなり、逆に韓国などアジアではそこまで極端に大きな負担にはなっていない。当社の場合、佐川急便が国際物流でパートナーとなっており、特にエリアとして台湾や韓国に強く、そういったこともあってクライアント企業に台湾などを勧めている面もある」(つづく)