ヤマト運輸と奥尻町が客貨混載ライドシェア運行 集配車活用、配送員ら運転

2025年09月03日 16:18

2025年09月03日 16:18

 ヤマト運輸は8月29日から、北海道・奥尻島で集配用ワゴン車両に島民ら乗客を乗せて運行する取り組みを開始した。奥尻町と共同で行う客貨混載型公共ライドシェアの実証運行で地域住民や観光客の移動を担う新たな交通手段として本格運行したい考え。


0903161734_68b7eb8e2ba93.jpg 同実証運行はヤマト運輸の集配用ワゴン車両を活用し、同社の配送員が日中の業務時間帯の空き時間を活用して客貨混載で運行する(=写真)ほか、副業または地域貢献として参加する奥尻町の町民が主に夕方から夜間帯にかけて奥尻町が管理またはリースしている車両を使って運行する。運行エリアは奥尻島全域で時間は午前8時から午後7時。実証運行期間中の運賃は無料。ただ、利用にはヤマト運輸の奥尻営業所への電話予約が必要となる。

 実証運行は今年12月末まで行う予定で、期間中に島民や観光客の利用時の時間帯やエリア、利用目的など移動ニーズの把握、運行時の配車や予約受付、ドライバー体制、運行管理・安全体制の確認など運行スキームの検証、本格運行時の利用料金体系やドライバーへの報酬設定など費用構造・運賃設計の検討、町民ドライバーの参加形態や育成手法、資格要件などの検討などを行い、来年以降の有償による本格運行につなげていく狙い。

 奥尻町では日常の買い物や通院、観光客の周遊などにおける移動手段の確保が課題となっているが現在、島内のタクシーは1社のみ。バスも1日9便と限られていたという。こうした状況を受け、奥尻町とヤマト運輸は「公共ライドシェア制度(自家用有償旅客運送)」を活用し、地域にある車両・人材・物流の力を掛け合わせることで島内の移動手段作りに取り組むことしたという。

 なお、同実証運行は国土交通省の「『交通空白』解消緊急対策事業(令和7年度『交通空白』解消等リ・デザイン全面展開プロジェクト)」の採択を受けた「奥尻島民で助け合い『島のりあい』実証プロジェクト」の一環として実施したとしている。

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