通販サイト構築システム「BASE」を手掛けるBASEは7月18日、中小企業向け通販サイト構築システムとして「ショップサーブ」を手掛けるEストアー(同)を完全子会社とした。代表取締役CEOには6月30日付でBASEの山村兼司執行役員が就任。創業者の石村賢一氏は取締役会長に就いている。山村CEOにEストアーの成長戦略を聞いた。
――CEO就任の抱負は。
「ショップサーブは歴史のある通販サイト構築システム。約11万社の自社通販サイト構築を支えてきた歴史がある。その歴史をしっかりと引き継いで、既存の顧客に対しても、より良いサービスを作っていきたい。BASEの子会社となったということもあり、プロダクトに関してはUIやUXの部分でもう一段支援ができると思う」
――就任から1カ月、何に取り組んだか。
「まずはBASEとの連携や、社内の情報流通がうまくいくように、いろいろなインフラを整えた。また、店舗を支援する際のデータ提供に関しても、まだまだ改善の余地がある。データはたくさんあるが、簡単に取り出し、使える形で店舗に提供できるようにするなど、そのあたりの仕組みも整えている」
――Eストアーやショップサーブについてこれまでどう見てきたか。
「『BASE』よりも顧客の事業規模が大きく、有名なブランドもたくさん入っている。また『BASE』よりも多機能で、1店舗ずつ専任のスタッフがつくなど人的サポートもしっかりしている。『BASE』と住み分けしながらうまくやっていければと思う」
――Eストアーの業績推移に関しては。
「優良店舗にフォーカスする戦略なので、利用店舗数自体は減っているが、サポートを手厚くすることで流通額を維持してきた。特に、地方の食品関連など、オンライン化が進みきっていない企業を支援していくという戦略をとっており、そこは共感できる部分だ。人間によるサポートがより活きる部分に注力し価値提供していく方向性については、今後も強めていきたい」
「月商があまり大きくない店舗については、『BASE』などに流れていた部分もある。ただ、そこを追いかけて低価格プランを作るという選択肢は取っていなかった。今後は『BASE』を卒業するようなEC企業をしっかりカバーしていくという形で、住み分けがより進んでいくのではないか」
――両社のシナジーに関して。
「両社を合算した流通総額は5000億円規模となり、各種原価や手数料圧縮による、コストメリットが見込める。また、資金調達サービス『YELL BANK』や、決済サービス『Pay ID』、さらには昨年買収したwant.jpの越境EC支援など、BASEが持っている、店舗に付加価値を提供する機能をショップサーブの店舗にも提供できるようになる。逆に、ショップサーブは通販サイトを構築するだけではなく、運営代行やクリエイティブ制作・広告の代行といった支援事業を手掛けているので、『BASE』上位店舗にも提案できるのではないか」
――Eストアーの2025年3月期業績は、売上高が112億2100万円、営業利益が7億4600万円だった。中長期的な業績目標などはあるか。
「まだ具体的な目標は設定できていない。10月からBASEに連結するので、どういったシナジーが出せるかなどを具体的に詰めて、BASEの25年12月期決算を発表する段階では、中期計画に組み込んだ形で発表できると思う」
――「BASE」を卒業した店舗がショップサーブを使うことでかなりの成長が見込めるのか。
「そういったケースもあるが、そこまで件数が多いわけではないし、企業の規模も大きくないので、業績にどれだけインパクトがあるかは分からない」
――ショップサーブのサービスを今後どのようにブラッシュアップしていくのか。
「EC関連の機能については一通り揃っているが、CRM機能についてはもっと強化していきたい。集客など、売り上げを増やすために重要となる、外部との連携が必要な機能については、もう一段対応していく必要がある。既存の店舗についても、過去のやり方を踏襲するだけで、SNS活用もあまり進んでいない。逆に、SNS活用などは『BASE』の得意領域だ。現状はメールでの販促がメインの店舗が多いので、そこにSNSでの集客を加えると、既存店舗の選択肢も広がるはずだ」(つづく)
通販サイト構築システム「BASE」を手掛けるBASEは7月18日、中小企業向け通販サイト構築システムとして「ショップサーブ」を手掛けるEストアー(同)を完全子会社とした。代表取締役CEOには6月30日付でBASEの山村兼司執行役員が就任。創業者の石村賢一氏は取締役会長に就いている。山村CEOにEストアーの成長戦略を聞いた。
「ショップサーブは歴史のある通販サイト構築システム。約11万社の自社通販サイト構築を支えてきた歴史がある。その歴史をしっかりと引き継いで、既存の顧客に対しても、より良いサービスを作っていきたい。BASEの子会社となったということもあり、プロダクトに関してはUIやUXの部分でもう一段支援ができると思う」
――就任から1カ月、何に取り組んだか。
「まずはBASEとの連携や、社内の情報流通がうまくいくように、いろいろなインフラを整えた。また、店舗を支援する際のデータ提供に関しても、まだまだ改善の余地がある。データはたくさんあるが、簡単に取り出し、使える形で店舗に提供できるようにするなど、そのあたりの仕組みも整えている」
――Eストアーやショップサーブについてこれまでどう見てきたか。
「『BASE』よりも顧客の事業規模が大きく、有名なブランドもたくさん入っている。また『BASE』よりも多機能で、1店舗ずつ専任のスタッフがつくなど人的サポートもしっかりしている。『BASE』と住み分けしながらうまくやっていければと思う」
――Eストアーの業績推移に関しては。
「優良店舗にフォーカスする戦略なので、利用店舗数自体は減っているが、サポートを手厚くすることで流通額を維持してきた。特に、地方の食品関連など、オンライン化が進みきっていない企業を支援していくという戦略をとっており、そこは共感できる部分だ。人間によるサポートがより活きる部分に注力し価値提供していく方向性については、今後も強めていきたい」
「月商があまり大きくない店舗については、『BASE』などに流れていた部分もある。ただ、そこを追いかけて低価格プランを作るという選択肢は取っていなかった。今後は『BASE』を卒業するようなEC企業をしっかりカバーしていくという形で、住み分けがより進んでいくのではないか」
――両社のシナジーに関して。
「両社を合算した流通総額は5000億円規模となり、各種原価や手数料圧縮による、コストメリットが見込める。また、資金調達サービス『YELL BANK』や、決済サービス『Pay ID』、さらには昨年買収したwant.jpの越境EC支援など、BASEが持っている、店舗に付加価値を提供する機能をショップサーブの店舗にも提供できるようになる。逆に、ショップサーブは通販サイトを構築するだけではなく、運営代行やクリエイティブ制作・広告の代行といった支援事業を手掛けているので、『BASE』上位店舗にも提案できるのではないか」
――Eストアーの2025年3月期業績は、売上高が112億2100万円、営業利益が7億4600万円だった。中長期的な業績目標などはあるか。
「まだ具体的な目標は設定できていない。10月からBASEに連結するので、どういったシナジーが出せるかなどを具体的に詰めて、BASEの25年12月期決算を発表する段階では、中期計画に組み込んだ形で発表できると思う」
――「BASE」を卒業した店舗がショップサーブを使うことでかなりの成長が見込めるのか。
「そういったケースもあるが、そこまで件数が多いわけではないし、企業の規模も大きくないので、業績にどれだけインパクトがあるかは分からない」
――ショップサーブのサービスを今後どのようにブラッシュアップしていくのか。
「EC関連の機能については一通り揃っているが、CRM機能についてはもっと強化していきたい。集客など、売り上げを増やすために重要となる、外部との連携が必要な機能については、もう一段対応していく必要がある。既存の店舗についても、過去のやり方を踏襲するだけで、SNS活用もあまり進んでいない。逆に、SNS活用などは『BASE』の得意領域だ。現状はメールでの販促がメインの店舗が多いので、そこにSNSでの集客を加えると、既存店舗の選択肢も広がるはずだ」(つづく)